第20話 既視感
瑠花ちゃんと早百合に私のことがバレてから1週間が経った。
ちなみに香澄の誕生日まで後1ヶ月ちょっとだ。
そんな今日この頃、私には困っていることがある。
それは、
「美波〜何やってるの?」
「美波さん寝不足ですか?」
「眠ってはダメですわよ美波!まだ後1時間授業が残っていますわ!」
これのことだ。
最近、早百合と瑠花ちゃんが休み時間に私のクラスに来て話しかけてくるのだ。
この2人は私の話をちゃんと聞いていなかったのだろうか。
このクラスには香澄もいるんだから、いきなり2人が私と仲良くしだしたら勘付かれるかもしれないじゃん!
ということで、私はこの1週間ずっと解決策を探しているのだ。
「早百合と瑠花ちゃんはそろそろ教室に戻ったほうが良いんじゃない?」
「まだ大丈夫ですわ!それより眠気は治まったんですの?」
「あ〜、さっきのは眠かったわけじゃなくて、ちょっと考え事をしてたの」
「あら、そうだったんですのね」
はぁ〜、どうすればいいの、もう後2分くらいで次の授業始まるんだけど!?
「瑠花、やっぱりもう戻ったほうがいいかも」
早百合!いいこと言ってくれるじゃん!ナイスだよ!!
「え〜、まあ確かにそうですわね、それじゃあ美波また放課後に来ますわ」
そう言って瑠花ちゃんと早百合は自分たちの教室に戻っていった。
私は心の中でガッツポーズをキメながら、周りの視線から解放されていくのを感じていた。
そういえば早百合が前に私にだけ敬語を使わないで話すことにする、なんて言ってたのに『タメ口使うのに慣れちゃった』とか言って、今は誰に対してもタメ口で話すようになった。
ちぇ〜だ、別にいいもんね〜。ちょっと残念だな〜とか思ってないもんね〜だ。
そんなことを思っていると、どこからか視線を感じた。
「どうかしたんですか?美波さん」
辺りをキョロキョロと見ていると彩芽ちゃんにそう聞かれた。
「ううん、なんでもないよ」
私がそう答えた後、ちょうどチャイムがなり6限目の授業が始まった。
授業が始まるとさっきの視線はもう感じなかった。
誰だったんだろう。いつもだったら私への視線は早百合と瑠花ちゃんがいなくなったら無くなるのに。
はぁ〜、なんか既視感を感じるんだけど気のせいだよね。
これからはもっと目立たないように生活していこう。
「…白鳥美波、」
今更目立たないようにしても意味がないことを、このときの私はまだ知らないのであった。
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