第10話 別れ
「美波〜今日も泊まっていっていい?」
木々が赤や黄色に色づき、季節はすっかり秋になった今日この頃、なんだか香澄との距離が近くなった気がする。
「私もお泊りしたいですわ」
「わたしも泊まりたいです」
「いいけど、こんなに泊まりに来てて家の人心配しない?」
「大丈夫だよ!」
「私も大丈夫ですわ」
「私も平気です」
前言撤回、香澄だけじゃなくてみんなとの距離が近くなった気がする。みんなと仲が良くなったのは嬉しいけど、そろそろ私が引っ越すこと伝えないとだよね。
私の父と母は仕事でめったに家に帰ってこない。実際、私が父と母に会ったのは一週間前が初めてだった。
「久しぶりですね、美波」
「元気にしてたか?随分と背が伸びたみたいだな」
ずっと娘をほったらかしにしているから、どんなに怖い親なのかと思っていたけど、意外と優しい普通の親だった。
「挨拶はこれぐらいにして早速本題だが、ちょうど美波の誕生日の日に海外に引っ越すことになった」
「引っ越しですか?」
まぁ知ってたけど。
「ああ。流石に今回は期間が長くてな。美波にもついてきてもらいたい」
「お友だちのこともあるし、ついていきたくない気持ちもわかるわ。でも
「大丈夫ですよ。私もついていきます」
…へ?ついてきてくれるの?」
「はい」
「そうか。話が早くて助かる」
「私たちもできるだけ早く帰れるように、お仕事頑張るわね!」
そう言って、父と母はまた仕事に戻っていった。
私が引っ越すこと香澄たちにどうやって伝えよう。う〜ん、普通に伝えればいっか!
「美波!やっと来ましたのね」
「ごめんごめん、考え事してたら遅くなっちゃった。それで、今日はなにするの?」
「今日は恋バナしよう!」
恋バナか。みんなのタイプ気になるかも。
「じゃあまず、美波はどんな人がタイプなの?」
「えっ、私?」
「うん!」
「私は、えっと、優しくて私のどんなところも受け入れてくれる人かな」
「見た目はどうですの?」
「見た目、見た目はとくに希望はないかな」
「それなら、好きな人にしてもらいたいことはありますか?」
「ん〜料理かな」
「ならなら、ーー」
この後も私への質問は続き、結局みんなのタイプは聞けずに寝ることになってしまった。
「おはようございますですわ」
「ん、おはよう。ねぇ、みんな。みんなに伝えたいことがあるんだ」
「伝えたいこと?」
「どうしたんですか?そんなにあらたまって」
「あのね、私引っ越すことになったの」
「えっ、どういうこと?」
「今年の12月16日、私の誕生日に海外に引っ越すことになったの」
「もう帰ってこないんですの?」
「ううん。親の仕事が終わったら帰ってくるよ」
「どれぐらいで帰ってこれそうなんですか?」
「たぶん、17歳になる前には帰って来れると思うよ」
「随分と会えなくなりますわね」
「そんなに暗くならないで!年に何度かは帰ってくるからさ」
「絶対だからね!」
「うん」
「では、残された時間はみんなで沢山の思い出を作りましょう」
「そうですわね!悲しんでいても仕方ないですわ!」
その後は、みんなで色んな場所に行って思い出を作った。昨日は、1日早いけど私の誕生日会もしてくれた。そして今日、私はみんなとお別れをする。と言っても、一生のお別れではないけどね。
「美波!私たちのこと、忘れないでね!」
「たまには帰ってきてくださいね!」
「絶対ですわよ!」
「うん!みんな、またね!」
そして私はみんなと別れて新たな場所に来た。少し寂しいけど、小説の内容を変えないためにも私は、私の取るべき行動をしないとね!
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