第9話  香澄side ②

 モヤモヤする、何なんだろう。このモヤモヤの正体を考えてたら、気づくと夕方になっていた。ずっと、2階のバルコニーにいたからちょっと寒いな。そろそろ中に入ろう。


 あっ、美波たちがいる。下を見ると美波たちがいた。楽しそうに美波が笑ってる。前は私の前でしか笑わなかったのに。人見知りが治ったのは嬉しいけど、なんか寂しいなぁ。


 んっ、目があった。


「お〜い、香澄〜!」


「な〜に〜」


「瑠花ちゃんと早百合ちゃんが〜もう帰るんだけど~香澄ももう帰る〜?」


 2人はもう帰るのか。


「もう少しだけ残る〜」


「わかった〜。2人見送ったら〜そっち行くね〜」


「は〜い。待ってるね~」


 美波と2人きりになるのは久しぶりだな〜。美波と話したらこのモヤモヤした気持ちの正体がわかるかな。


「香澄〜おまたせ〜。紅茶とお菓子持ってきたよ」


「ありがとう。こうして美波と2人で過ごすのは久しぶりだね」


「そうだね。最近は3人で過ごすことが多かったからね。でも、3人で過ごすのもいいけど、こうやって2人で過ごすのもいいね」


 美波が笑ってる。さっき、瑠花ちゃんたちと笑ってたときには寂しくなったのに、今はとっても幸せな気持ちになる。


 あぁ、そういうことか。わかった気がする、このモヤモヤの正体が。私はきっと美波のことが好きなんだ。だから私は美波を独り占めしたくて、美波と仲良くなった瑠花ちゃんと早百合ちゃんに嫉妬してたんだ。あ〜あ、自覚したらなんだかスッキリしちゃった!


 そういえば、瑠花ちゃんはわからないけどたぶん早百合ちゃんは美波のことが好きだと思う。なんとなく、そんな気がする。でも、絶対負けない!私が美波の1番になるから。


 そのためにはまず、美波に私のことを意識してもらわないとだよね。でも、私が美波のこと恋愛感情として好きだってバレたら嫌われちゃうかな。だけど美波はきっと、私が好きって言葉にして伝えなかったら一生私の気持ちに気づかないだろうな。


「香澄!このクッキーすっごく美味しいよ!」


 フフッ、まぁもう少しだけ、このままの関係でもいいか。


 今思えば、美波の人見知りが治って良かったかも。そのおかげで私は美波への気持ちに気づけたから。


「ねぇ美波!大好きだよ!」

 

「へ?え、えっど、どうしたの?急に」


「美波は?私のこと好き?」


「え?うん、好きだけど…」


 フフッ、やっぱり少しは攻めていこうかな。今から攻めないと、意識してもらうのに一生かかるかもしれないからね。


 絶対に私のこと意識させてみせるから、覚悟しててね美波!

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