第7話  関係性  早百合

 香澄の誕生日は無事に終わり、プレゼントもとても喜んでくれた。そして今日は4人で、早百合の家で遊ぶことになった。


「早百合、私お庭を見に行きたいですわ」


「私もお庭見てみたいな」


「いいですよ。でも私、このあと食べるケーキを作って来るので、雪に案内してもらってください」


 雪さんは早百合の家のメイドさんで、香澄の誕生日会の準備も手伝ってもらったの。 


 瑠花ちゃんと香澄はお庭を見に行くのか、お庭も見てみたいけど、ケーキ1人で作るの大変だろうし早百合のこと手伝いに行こうかな。


「ねぇ、2人とも。私、早百合のところに行ってくるからお庭は2人で見てきて」


「何をしに行くんですの?」


「ケーキ作るの見てみたくって」


「わかりましたわ。それじゃあお庭は2人で見てきますわね」


「私たちもお庭見終わったら2人のところに行くね」


「うん。それじゃあまた後でね」


 えっと、早百合はどこに…あっいた!


「早百合!ちょっと待って」


「えっ、どうしたんですか?」


「ケーキ作るの手伝おうと思って」


「いいんですか?お庭見に行かなくて」


「うん!大丈夫。それに、1人でケーキ作るの大変でしょ」


「ありがとう、美波」


 早百合は、たまにでるタメ口がかわいいんだよね~。こっちに来て良かった!


「ねぇ、早百合。何のケーキ作るの?」


「今日はチョコレートケーキを作ります」


「わぁ〜本当!私ケーキの中で1番チョコレートケーキが好きなんだ〜」


「本当ですか!チョコレートケーキを選んで良かったです」


「早百合はよく、ケーキとか作るの?」


「はい。私、料理をするのが好きでケーキ以外にも色々と作ってるんです」


「へ〜すごいね!私今までちゃんと料理、したことなんてないよ」


 前世でも料理は苦手であんまり作ったことなかったからな〜。あれ?私料理苦手なのに早百合の手伝いなんてできるのかな。でも流石に切ったり、混ぜたりするくらいなら私でもできるよね!


「早百合!まずは何からすればいい?」


「そうですね、えっと、まずはデコレーション用のフルーツを切ってください」


「うん!よ〜し頑張るぞ〜!」


 どうしてだろう。どうしてフルーツを切るだけなのに、こんな殺人現場みたいになってるんだろう。


「全然大丈夫ですよ、美波!失敗してしまったものは、スポンジの間にはさめばいいんです」


「ごめんね、早百合。私のせいでよけいに大変だったよね」


「そんなことないですよ。手伝いに来てくれて嬉しかったです。それに、先程私が作ったカップケーキを食べてくれたでしょう。実は私、自分が作ったものを誰かに食べてもらったのは初めてだったんです。あのカップケーキを美波が美味しいと言ってくれて、とても嬉しかったんです」


「そうだったの?でもあのカップケーキはすっごく美味しかったよ!毎日食べたいぐらい!」


「それなら、また作ってきましょうか?」


「えっ、本当!やった〜また食べたかったんだ!」


 早百合のケーキは本当に、お店を出せるくらいに美味しかったからまた作ってきてくれるなんて嬉しすぎる!


「美波!早百合!おまたせしましたわ」


「あっ、2人ともお庭見終わったんだ」


「うん。とっても綺麗だったよ!あれ?ケーキ作り終わったの?」


「はい。終わりましたよ。早速みんなで食べましょう」


「ええ、早く行きましょう!ケーキ楽しみですわ!」


 そういえば、早百合が作ったものを初めて食べる相手は小説の中だと香澄だったけど、小説の流れには関係ないよね。


「美波!早く来て〜」


「は〜い」


 このときの私は、小説の内容を大きく変えてしまったことをまだ知らなかった。







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