今朝
昨日、あれで寝ちゃったな…起こしに来なかったあたり、用済みなんだろう。軽い朝食を作る前に昨日片付けなかった宿題を片づける。
冷蔵庫は昨日よりも明るく、光に慣れない目には眩しかった。
「あ、買い物か、クソが…」
暴言がいくら零れても聞く者がいなければそれでいい。
「手前らが行けよ、私がなんで…!」
口が悪くなると父と似た口調になってしまう。それでも構うものか。
「結果はもう何回も、何百回も繰り返して来たっ…‼︎」
あぁ、ね…こんなことを口にしたって変わることは無いんだよな。昼はおにぎりにするとして、朝は何を食べよう。まぁ、アレよな?家事を押し付けられて、家事力はついたから金銭面をどうにかすりゃ一人暮らしはいつでもできるんだよ。そこはありがたい、かな…。
片栗粉とココアパウダー、卵があったからこれを混ぜてレンチンして食べることにした。そうと決まれば米を研いでつけている間に投稿の準備をする。制服に着替え、包帯を巻き直し、髪を結ぶ。台所が定位置の財布を鞄に入れ、気が沈んだ。つけ置き時間が終わったら炊いてる間に三つを混ぜて二分、温める。いま思うとかんでうちにココアパウダーがあるのだろうそれはさておき、味噌汁を作る。それから両親を起こす。面倒極まりない。それでも両親の寝室をノックする。
「失礼致します。父上、母上、お食事の準備が整いました。できたてのうちにお召し上がりくださいませ」
「……。」
起こされたのが気に食わないのか、父は寝覚め早々機嫌が悪いと伝わる顔をした。
「次はできてから、じゃなくて…できそう、な時に起こしに来なさい」
「はい」
前はできてから起こせと言ったろ、気が変わったのか、混乱させたいのか…そんなことを考えるだけ時間の無駄だ。
「私はもう出るので、お食事が終わったら流しに置いておいてくださいね。では、失礼致しま…」
「————!」
父親に足を強く掴まれた。これでは動きが取れない。钁を叩かれ、姿勢を崩した。
「動くな、動いたら殺す…」
何が起きたか理解できなかった。自分の目の前に刃物があることも、今の姿勢も何もかも。突然すぎて。
「学校には行かせん。テメェは俺らの狗として最期まで」
「っ——‼︎」
「離してやりな」
「なんだ、母さん」
ドサッ…
何分だろう、動けなかったのは…沈黙はどのくらい…?でもたぶん、とても長く感じたほんの数分。
「まずはウザいから学校に行け、だが…!」
父にカッターをよこすよう手で指図した母は私の結ばれた髪を切った。
「さぁ、行きな。そして嗤われろ」
「行って参ります」
もう遅刻する時間、間に合わない。遅刻の電話をかけながらバス停に向かった。
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