通称、『公安』にて

 公安につくと睦月は真ん中の席の机に座って文庫本を読んでいた。睦月の方から僕に気づいて「やぁ」と一言、続けて「急に呼び出して悪いね」と言った。

「構わないよ、特に予定もないし」

 睦月の口もとが緩んで、目から輝きが消えた。

「さて、本題だ。単刀直入に言うけど今朝、鞄を落としたのは『安心』したからではないのだろう?寧ろ、驚いていた」

「そうだ」

 確かに僕は驚いた。

「私の変わりように」

「そうだ。君の変わりように正直、驚いた。教えてくれないか?何があったのか…昨日、メッセが途切れたことに何か、関係しているんじゃないか?」

 睦月はやれやれと指を額に当てた。

「まったく…あなたは察しが良いな。わかった、昨晩のことをすべて話そう…だが、辛くなったら遠慮せず言ってくれ」

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