少女と少年

 高校に入学した春、私は一目惚れというものをした。


青い髪に青い目のクール系イケメン。顔の造形が天才すぎた。しかしこの恋は、三秒後に崩れ落ちた。


そのイケメンの隣で、それまた可愛い女の子が歩いていたのだ。しかもイケメンは、女の子にはでれでっれの笑顔向けてる。確定で好きじゃん。


さて、奇しくも私はその二人と同じクラスになった。イケメンはアオくん、女の子はハルちゃんという名前らしい。


「アオくんとハル?あの二人は付き合ってるぽいよ」


と、二人と同じ中学だった子は言っていた。


私は怖いもの知らずなのか何なのか、本人達に本当に付き合ってるかを聞いてみた。


「「付き合ってないけど?」」


いや嘘だろ。あの距離感で付き合ってないの!?というか、同じ中学だった子の話と違うではないか。


「あれ?でも私、アオくんに告白っぽいことしたな」

「たしかに告白もどきをされたな」


おーっと?状況が掴めない。私にはこの二人の関係性がいささか難しいようだった。


そんなこんなで高校生活を過ごしていたある日のこと。アオくんが行方不明になった。


最初のうちはクラスでも騒いでいたが、いつの間にか風化してしまった。


ハルちゃんは、何とも言えない顔をしていた。そして、学校にも来なくなった。と思ったら突然、学校に来るようになった。


そのときのハルちゃんの表情は以前の通りで、いや、以前よりも明るかった。


やはり怖いもの知らずな私は、ハルちゃんにどうしてそんなに明るいのか聞いてしまった。


「だって、アオくんはまた私に出会うから」


不思議な言い回しだった。どうやらハルちゃんは、アオくんと再会できると信じているようだ。


しかも、ただの強がりではなく、確信めいた言い方だった。そのときのハルちゃんが纏う雰囲気は、私の目には不気味に映った。

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