転生少女と厨二少年と魔のテスト
ああ、またあの時期がやってきてしまった。避けては通ることのできない、あのおぞましいイベント。そう、テスト返しである……!
「今日のホームルームはテストの結果を配るぞー」
テストの結果の配布が始まってしまった。とはいうものの、テストの点自体はもうわかっている。各教科の授業のときにテストが返却されたからだ。では、今日は何が行われるのか。テストの結果……要するに順位が書かれた用紙が手渡されるのだ。
とうとう私の番が来てしまった。担任の教師から用紙を受けとる。だが怖くて見ることが出来ない。あーだこーだ考えていると、アオくんの席の周りから声が聞こえた。
「またアオのやつが学年一位とってるぞ」
「マジ?入学してからずっと一位じゃね。ヤバ」
「厨二病を患わせてるし順位落ちてそうって思ってたけど一位か」
「やっぱあいつ天才だなー。一回俺と頭の中交換して欲しい」
どうやらアオくんはまた学年一位だったらしい。さすが堕天使様である。それに比べて私は。前世の記憶というアドバンテージがある筈なのにそれを活かせてない。しょせん私は凡人である。
もう一思いに結果を見てしまおう。
「え……!!」
私はテストの結果を見て歓喜した。順位はなんと!なんと!七十七位である!
別にとても良い順位というわけではない。でも、ラッキーセブンが二つ並んでいるのだ。幸運の証である。さらに、うちの学年の人数は百五十三人。私はど真ん中の順位。キリが良い。何かいいことありそう。
ニヤニヤが止まらない。七十七位。すごく嬉しい。ついニヤニヤしてしまう。
とか思ってたら放課後になってた。ヤバい。テスト結果配られた後からの記憶がない。慌ててノートを見てみるが、白紙。
「ハルちゃん」
背後から清んだ声が聞こえた。振り返るとアオくんがいた。
「今日一日、授業に集中出来てなかったな」
「な、なんでそれを」
「実はこの学校は敵組織に監視されている。そしてやつらが今日、妙な動きをはじめた。」
「敵組織!?」
「ハルちゃんはそういったやつらに無意識下で気をとられていたのだろう」
「つまり私が集中出来てなかったのは敵のせい」
「そういうことだ。ということでノートを貸してやろう」
「ありがとうアオくん!さすが堕天使様!」
アオくんがノートを貸してくれた。あのアオくんが!今なら私、どんな難問がテストに出ても解ける気がする。
「あれ?でも、何で私は敵組織に気をとられてたのかな。別に気配に敏感な歴戦の戦士でもないのに」
「それはハルちゃんの家系の影響かもな」
「家系?」
「ハルちゃんの家系は裏では有名な光の一族。俺の家も歴史は古いが、ハルちゃんの家はさらに古い」
「光の一族か。なんかよくわかんないけどかっこいいね」
「ああ。光の一族は悪意に敏感とも言われている。」
兎に角我が家はすごいのか。そういやおばあちゃん家、歴史ありそうなすごい建物だったな。
「アオくんの家は歴史が古いのか。そしてアオくんは堕天使。アオくん家は堕天使一家……?」
「いや、堕天使は俺だけだ。ややこしいが、正確には古いのは俺の家というよりこの身体の本来の持ち主の家だ」
「???」
「この身体の持ち主アオと、俺の相性が良かった。だから俺はこいつに憑依した」
「き、君はアオくんではないということ?」
「そういうことだ。俺はあくまでアオの身体を借りているだけだからな。勿論、アオ本人の記憶も持ってはいるぞ」
難しい。正直話の三割しか理解出来てない。
「と、取り敢えずこれからもよろしくね?」
「こちらこそよろしく頼む」
そして謎の沈黙になった。気まず。
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