転生少女と厨二少年と体育会
さて、二学期といえば何かと行事が多いイメージがあるのでは無いだろうか。うちの学校も例に漏れず、体育会や文化祭が二学期に行われる。
そう、体育会である。一部の陽キャや運動が得意な者が輝く行事。その一方で私のような運動音痴にとっての絶望の塊。そんな体育会がもうすぐやってくるのだ。
「よーし、体育会の競技決めをやるぞ。一人一つは最低でも参加しろよ」
神は死んだ。一つは必ず参加しないといけないなんて。私はもともとそれほど運動が得意では無い。前世ではギリ平均値ともいえなくもないレベルだった。だが、今世では絶望的に運動ができない。
なぜ運動が出来なくなったのか。心当たりはある。いざ、運動をしようとすると、死ぬのではないかと脳裏をよぎるのだ。私は前世の死に際の記憶は無い。当然死因もわからない。でも、少しでも身体に危険がありそうな行為を行おうとすると、もしかしたらこれが前世の死因なのではと考えてしまう癖があった。そのせいで身体がすくんで思い通りに動かせない。
だから私は運動もできない、のだと思う。そもそもの身体能力が低いだけな気もするが。
「混合リレーは得点が一番でかいからな……取り敢えずアオ、お前は確定な」
「ふっ……俺にかかれば他クラスのやつなど敵ではない」
いつの間にかアオくんが混合リレーに抜擢されてた。さすが。スポーツ万能だもんね。
さて、私は何をするべきか。そう考えながら競技一覧を見る。走競技しかない。私はめちゃくちゃ足が遅いのだが、走るしかないのか。いや、借り物競争なら行けるかもしれない。あれなら借り物を探す時間がメインで、足の遅さは関係無さそう。よし、借り物競争にしよう。そうしよう。
無事に競技も決まり、本格的に体育会練習が始まった。どうやらアオくんは応援団にも参加するようだ。
アオくんの応援団姿。何それ需要しかない。
「とまー、こんな感じで札めくってお題にそった物か人連れてきてゴールすれば良いんで。じゃ、解散」
なお、借り物競争の説明は秒で終わった。つまり暇である。やることない。適当に駄弁っとくかと思いながらあたりを見回すと、混合リレーの練習が目に入った。
爽やかな風の中を爆速で走るアオくんは、とても綺麗だった。サラサラな髪の毛は光の反射でキラキラしており、学校指定の体操服ですら着こなす圧倒的な美。
走り終えたアオくんはこっちに向かってきた。
「アオくんー!すごかったね、さすが堕天使様。本番も頑張ってね!!」
「ありがとう。体育会当日にはハルちゃんにもきっと祝福があるだろう」
祝福……!?かっこいい。これなら体育会頑張れる気がしてきた。今からでも本気で練習してみようかな。
と意気込み、私は猛練習した。ちなみに体育会は台風による大雨で延期となった。
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