第32話 決闘
図書室は前から利用していた。この部屋は会員にならないと入れないため、毎日追い回される私は度々ここで休憩をしていた。
そのためか、司書さんや常連の生徒とも少し話すようになっていた。
会員証をだし、図書室に入った。
首が痛くなるほど見上げてもまだ終わりの見えない本棚は、世界中の本が集められている。
「こんにちは…」
「あら、ティーナさん。お久しぶりです。何か調べ物ですか?」
「最近よく悪夢見るので対処法とかないかなーって」
「なら右奥の本棚の5列目の棚にありますよ」
「ありがとうございます」
会員になるには国王と長々と話す必要があるというのと授業中というのもあって人がいない。
…正確には、他には一人しかいない…かな。
私と同じく、真っ黒なローブを目もとまで被ったおそらく女性。クラス章はDクラスなので、そこだとは思うけれど…
正直仲良くなりたいんだよね、うるさくないし、こっちに興味無さそうだし。やっぱり話すなら話しやすい人がいいんだよね。
そこに、突然扉が開く音がした。うっそでしょ授業中だよアホなの??これで本当に授業抜け出してきてるタイプだったらどうしよ…
うわー非会員であれ、すぐに帰って欲しい…
「おっ、ティーナ!ここにいたのか!」
「うぇ…なんで…ここ会員制ですよ…?」
「うん?留学生は自由に立ち入りが許されているんだ!」
「わかったから静かにしろよ…要件は?」
ドラゴンって体も声もデカいの…?本当にうるさいんだけど、さっさと追い返したい…ようやく私も調べ物できそうだったのに…
「強いて言えば、君が気になってしまった!…何故、そのローブを被っている?」
「寒がりだからっすかね」
そんなこと聞きにきたの?アホなの?ちょ、拒絶反応出てきた…寒がりで通じるかな…今夏だけど。
「嘘を吐くのは漢じゃないぞ!」
「あー、こう見えて人科の雌なんですよ」
「…?漢気というのは男女問わずあるものだろう!」
「すいません卑怯者なんですよ私」
ねぇマジで…管理人さんもすごい顔でこっち見てるって。ローブのもう一人も多分これ迷惑だよね、マジごめんなさい!!!
「わかった、わかったから静かにして。…氷魔法打つわよ」
「それは困る!炎属性の竜だからな!」
「表出な、うるせぇ」
慌ててとりあえず校庭に出しちゃったけど、これ大丈夫かな…
そういえば私は元々氷属性なので、炎属性は弱点なんだよなぁ…やらかしたかな…
「…おい、大丈夫か?ドラゴン族では広いところに出たら戦闘が始まるものだぞ」
「戦闘民族かよ。」
「…<モード・バーミリオン>」
「!」
突然攻撃を仕掛けられた。いやいやいや、ここは校庭だよ!?何百人もの生徒に見られたら…ゾッ…
モード…確か前見た本には一部の選ばれた能力で…属性強化とか属性を一時的に変更するやつだったはず。
「やめてくれない?こんなところでやったらお互い助からないよ」
「お互い?助からないのはお前だけだ」
なんかここで引くのもいやだな…一旦決闘を受けてたってやろうかな。正直あまり気乗りはしないけど。
…あえてローブ着たまんまやろうかな。
「どうせやるなら全力で。これ私の教訓。」
水魔法展開、氷魔法展開。氷結、レベル82。
ドラゴンの体に一気に冷水を被せ、それを氷魔法で氷結。もちろん動きは止まる。
「…!?なんの魔法かは知らんが…炎魔法、獄炎・劣化」
炎自体のレベルはやけに高いし、もし当たりでもしたら即死…少なくとも大怪我をするであろう魔法をバンバン撃ってくる。
ドラゴンを目の前で倒すのも少し憚られるし、これ一生続きそう…最悪すぎる、なんで私これ受けちゃったんだろ。帰りてぇ〜…
なんてくだらないことを考えていたら油断していたみたい。
ローブ、飛ばされちゃった。てへぺろ⭐︎とか言ってる場合じゃないんだよなぁぁぁぁめっちゃこっちガン見されてるし生徒たちも気づき始めたよ!!
クソが!!
「紫の…髪…」
「あーあ、やっちゃった。で、どうします?早く終わらせて帰りたいんだけど」
「…そうだよな、ごめん…」
さぁてさっさと逃げよう!ローブ着て鞄!!さぁさっさと寮に戻ろう!ごめんなさいねキリさん!!
箒も忘れて全力で走ってきちゃった…
「ただいま…」
「ティナ、おかえり。そういえば転校生きたんだってな。しかもAクラスだから部屋準備が忙しいんだ、少し待っててくれ」
そっかやば、寮一緒か…最悪すぎる。さっさと部屋戻っておこう。面倒なことになる前に…
そして多分、まぁまぁな時間を私は本を読んで過ごしていた。すると、扉の近くで大きな炎の音が突然鳴り出した。
「うわっ!?なんだこれ」
「何してんだドラゴン。」
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