第9話 幽霊館

 ホタルはどうやら、この丘の近くに住んでいるらしく猫は使い魔のさくらというらしい。

「ちなみにさくらって何なの?」

「えっとね、東の方にある国の綺麗な桃色の花なんだってさ。ほら、この子の瞳、桃色でしょ?」

 そう言われ猫の瞳を覗き込むと、確かに綺麗な桃色だった。でも一個だけ気になることがある。猫の目って桃色になることある?

 人間だってそうだろうがというツッコミはいらない。魔力やら何やらの関係で色は変化するから。でも猫に魔力はないよ?

「ホタル…この子どこで見つけたの?」

「この辺歩いてたの〜!」

 多分ただの猫じゃないな、そんじょそこらの猫じゃないぜ…まあ、ホタルが満足してるならそれでいいか…

「魔女の使い魔といえば黒猫じゃないの?」

「私が黒猫だとどこかの偉い貴族みたいになっちゃうから…それに、出会ってすぐに近づいてくれたのなんてティナとこの子だけだもん」

 そういえばそうだったな。光の子というのは崇拝対象にすらなり得るのに、庶民の出だからという理由で避けられていた。

 …私勇者かもしれない。普通に話しかけたよ。



 そう、あれは初めての学校の日だった。五つのクラス全部回るってことでEから順番に行った。そしてCクラスにホタルはいた。

 Dクラスの三分の一いるかいないかの教室の中、光を浴びていたホタルは天使のようにも見えた。

「わあ…!綺麗な髪ですね。初めまして、ティーナ・エフェクターです。仲良くしてください。」

「あ、りがとうございます。ホタル・シルヴァーです。」

「よろしくね、ホタルちゃん!」

 


 最早黒歴史だよ。思い出したくなかった…紫の髪と緑の瞳っていう最高位の色持った人から綺麗とか言われて不快じゃなかったかな?

 私なら腹立つね。嫌味か?って。でも別にこの色に生まれたくて生まれたわけじゃないから。

 今でもホタルの色は私の色より断然綺麗だと思う。透き通るような美しさっていうのかな?おとぎ話のお姫様みたいなんだよね。

「現実のお姫様もそういえば桃色だわ…」

「え?どうしたの突然」

 ほほ〜ん、猫ちゃんの正体分かっちゃったよ。何してんのマジで。動物変身魔法確かにあるしさ、動物の魔力は目に現れるっていうもんね。

 何してんの本当に??今度絶対問い詰めよ。オメーのとこの妹、美女の膝でゴロゴロしてましたよ〜って。

「何でもないよホタル…そういえばホタルは何してたの?こんなところで。」

「…私先月からBクラスの主席なんだけど…」

「あっ、じゃあこれからは一緒に学校行こ?」

「…この近くに任務与えられて、しばらく常駐してるの。」

「じゃあまだ行けないのか…」

 寮に住んでいる生徒は、時々国から要請を受けて任務が与えられることがある。ホタルが実際に今その例みたいだ。

「幽霊館の、お化け退治なんだよね…」

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