337 ザロメニア城塞の攻防 26
遠距離攻撃が集中する中をオリンピアサドニスが空中ジャンプを繰り返し驚くほど早くに接近してくる。攻撃は殆どその双剣で防がれている。多少命中していると言えども高い防御力によってダメージは小さい。
キルがオリンピアサドニスを迎え撃とうと飛び出した。全員の遠距離攻撃が止まる。
此処からは近接戦闘の時間だ。遠距離からの攻撃はキルに当たってしまうことだってあり得るからだ。
「ガキーン!」
キルとオリンピアサドニスの剣が大きな音を立ててぶつかった。空中で弾け飛ぶ二人。
クリスとケーナがなれない剣を握りオリンピアサドニスの隙をうかがう。そのそばで、ユミカが拳を握りしめる。
この三人は四つの神級ジョブを持ちキルに次いでステータスが高いのだ。オリンピアサドニスの攻撃を受けても即死しない可能性がキルに次いで高いのはこの三人なのだ。三人はキルと一緒に近接戦闘も想定して戦いに臨む。
他のメンバーはもう少し遠巻きにキルとオリンピアサドニスを取り囲む。彼らは遠距離攻撃のタイミングを逃さないように隙をうかがった。
キルとオリンピアサドニスの剣が再びぶつかりあった。
「ガシーン! ガン! ガン! ガン!」
オリンピアサドニスの連撃をキルが受け止めた。
二人の離れ際にクリスが無詠唱気魔法攻撃を行った。
ファイヤーボムがオリンピアサドニスを襲う。オリンピアサドニスはその火球を剣で受けずに空中ジャンプで躱した。剣で受ければ爆発してダメージを負う事が分かったからだ。
クリスは、ク! と唇を噛み締め悔しさを滲ませる。
オリンピアサドニスの飛んだ先にユミカが突っ込み攻撃した。
「千手真拳豪衝連撃!」
オリンピアサドニスに幾多の拳が襲いかかった。
オリンピアサドニスが双剣を使ってその多数の拳を防ぎきった。
ユミカがオリンピアサドニスから距離を取る為に後ろに下がった。
キルがオリンピアサドニスの斬りかかる。此処で攻撃しなければユミカが攻撃されると感じたからだ。オリンピアサドニスに攻撃の隙を与えてはならない。
「ガキーン! ガシーン! ガシーン!」
キルの連撃をオリンピアサドニスは受け止めた。
その隙にユミカがハイヒールで自分の拳を治癒していた。ドラゴンナックルが傷ついていた。ユミカの拳もダメージを負っていたのだろう。ドラゴンナックルの自己再生能力も発動中だがまだ再生は完全では無い。
オリンピアサドニスの双剣も刃に凹みができている。武器の耐久性は星8と言えど武器固有の耐久値に能力で追加したバフによって決まるので最強とは言い難いのだ。
「なるほど! ドラゴンナックルか。拳はもう使えまいと思ったが再生しだしているな。おもしろい」
オリンピアサドニスが双剣を構え直した。
キルとオリンピアサドニスに間合いができたのを見て周りのメンバーが遠距離攻撃を集中した。全方位からの様々な種類の攻撃がオリンピアサドニスを襲った。
オリンピアサドニスは上方に飛んでその攻撃を躱わす。そしてケーナを狙って動き出す。
キルがオリンピアサドニスを牽制する為にファイヤボムを放ってケーナを守った。そしてオリンピアサドニスに再び斬りかかる。同時にクリスもファイヤボムを放つ。
オリンピアサドニスはキルのファイヤボムを避ける為に反転ジョブしたがキルの剣を受け止めるのがやっとであった。クリスのファイヤボムをもう片方の双剣で受け止めたがそこで爆発を受けるのは避けられない。
「ドカーン!」
大きな爆発音が響きわたりオリンピアサドニスが爆発に包まれた。近くにいたキルも爆風は受けたが影響はない。続け様に剣撃をお見舞いする。
オリンピアサドニスは、下がりながらキルの剣を受け止める。クリス攻撃で左手がダメージを受けているのが目に見えて分かった。
だがオリンピアサドニスの表情を歪めるほど大きなダメージではないようだ。
キルは追撃の手を緩めなかった。
「千斬剣!」
無数の剣撃がオリンピアサドニスを襲う。
オリンピアサドニスが両手の剣を使って剣を弾き返す。
「穿通牙!」
キルは連続で剣士のアーツをくりだした。
オリンピアサドニスは、キルの突き技を右手の剣で弾き左手の剣が反撃を繰り出す。
キルが高い器用さでなんとかオリンピアサドニスの剣を躱して距離を取った。
すかさず周りの仲間全員がが遠距離攻撃を集中する。
「ドガガガガーン!」
何発かの攻撃を身に受けながら集中攻撃を躱して逃げるオリンピアサドニス。全身から爆煙が上がっている。
「ウオーー!!」
オリンピアサドニスが大声で叫び身体中から光を発した。
キルの目にはオリンピアサドニスの戦闘力が一段と上昇したように見えた。
やばいな、俺がなんとかしなくては……と思う間もなくオリンピアサドニスが空中ジャンプをする。今までよりもスピードも飛距離も凄かった。
キルが全力で飛び、ケーナに斬りかかったオリンピアサドニスの剣を叩き伏せた。
だが右手の剣を叩き落としたその刹那、回転したオリンピアサドニスの左手の剣がキルをきりふせた。キルは背中からまともに切り伏せられて墜落していった。
三重のエネルギー障壁を突き破りキルに大きなダメージを与える一撃だった。
下に居たマリカがいち早く反応して、全力で飛びながらパーフェクトヒールでキルを回復する。
キルは重症状態から蘇って再びオリンピアサドニスを睨みつけた。
オリンピアサドニスがキルにとどめを刺そうと飛び込んでいた。
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