329 ザロメニア城塞の攻防 18
ザロメニア城塞の兵六万に援軍五万が加わりロマリア軍は合計十一万となった。そして新たにSランク冒険者三人が加わった。
剣聖ヒッコルト、槍聖ダネージヨ、弓聖ファーブルの三人だ。
それぞれが別のパーティーのリーダーでそのパーティーのメンバーも今回の出兵に参加していた。
将軍達はSランク冒険者三人をパーティーごと軍議に呼んで話をした。彼等の運用について意見を聞いて三つのパーティー十二人で一つの特別部隊を作ってリンメイの元に配属することになった。
軍の編成はザロメニア城塞にペロロバンとキョクアが一万、それぞれの将軍が二万五千の兵を率いる事になった。『15の光』はビッグベン軍の特別部隊だが独立友軍の形で参戦する。オリンピアサドニスに対してキルが相手をする予定である。
今回の戦いは獣人軍を全滅させるのが目的だ。獣人軍は残り六万くらいと推定していた。
バットウ軍、リンメイ軍、ビッグベン軍、キングナバロ軍の順で十万の軍が出撃したのだった。
* * *
「獣王様! 流石でございます!」
ピートキャストが帰還したオリンピアサドニスを褒め称えた。
「獣王様、ありがとう御座います。獣王様を見て敵の空軍も一目散に逃げて行きましたな!ハハハハハ!」
グラムヒューイットも笑った。
「おかげで我が軍への空爆が止み助かりました。王の出陣がなければ被害は甚大なものとなっていた事でしょう」
ピートキャストもオリンピアサドニスを褒めそやす。
「うむ。だが此度は我が軍の損害、かなりのものになったようだな。一方的な負け戦というのも久しぶりだ。いや、これ程のやられようは初めてだな」
オリンピアサドニスが顔を顰めながら辺りを見回す。ヘプタグラムズもヘキサグラムズも相当数がいなくなっていた。
「うーむ。ケントドラグマも死んだのか……ヘプタグラムが三人もやられるとは! ロマリア軍に、必ずこの報いを与えねばならぬな」
オリンピアサドニスは怒りに震えていた。
ノートザンギが王に進言する。
「獣王様、お気持ちはわかりますが、この戦い、我が軍が不利にございます。どうかご自重くださりませ」
「ノートザンギは、わしに戦わせたくないようだからな。だが、わしが戦えば彼奴らなど、大した事はないわ!たたかいは、これからぞ!」
「おー! 流石は獣王様!」
「あの空軍さえなんとかなれば、あとは大したことはありませんからな!」
ピートキャストとグラムヒューイットが喜びの声をあげる。
ノートザンギは苦虫を噛み潰した様な顔で押し黙った。
「ノートザンギよ! 軍の再編成は任せたぞ! 良いな」
オリンピアサドニスがノートザンギに強い口調で言い渡した。
「は! すぐに行います」
ノートザンギは首を垂れて答えるのだった。
「五万の兵がいると思われますので、ピートキャストとグラムヒューイットに一万。私が二万を率いましょう。王の守りに一万と残りの国民を一緒におつけいたします。王の親衛隊のヘキサグラムズ五名をピートキャストとグラムヒューイットと私にの副官にお貸しください」
「わかった。編成を急げ!」
「は! ビルアダムス、お前はピートキャストの副官だ。良いな?」
「は」
「マルスケーリッヒ、ライトノア、お前達はグラムヒューイッヒの軍だ」
「「は」」
「ガッツドゴラ、ゴメスキメラ、俺の副官だ。ついて来い。それではピートキャスト、グラムヒューイット、軍の編成に行く」
ノートザンギが素早く指示を出し兵の再編の為に幕舎を出た。ピートキャストとグラムヒューイットと副官達が後に続いた。
ノートザンギ達が兵達の再編成を始める。
兵士達には怪我をしている者も多数見かけられる。5五万の兵士がいるはずだがその一割以上が矢傷を負い一割以上が爆発による怪我を負っていた。だが、獣人兵の顔には生気がみなぎっている。
獣王オリンピアサドニスが敵の空軍を追い払ったのを見ていた為だ。今度こそあの空軍を獣王様がやっつけて地上では俺たちが人間共を皆殺しにしてやるという思いが全兵士の顔色から伺えた。
そんな獣人兵の中を歩き回りながら、ノートザンギは編成を終わる。
そしてノートザンギがオリンピアサドニスに編成を終えた事を報告した。
「獣王様、兵士の中に怪我を負っている者も多くいます。およそ二割の兵が負傷兵と考えて良いでしょう。少し回復時間をとってから戦いに臨むべきかと思われます」
ノートザンギが獣王の前で跪いて意見を述べた。
「そうか。二割の兵士ということはおよそ一万の兵が怪我人か! 仕方ないしばらく回復を待ってから行動開始としよう。兵の様子、敵の様子、逐一報告してくれ」
オリンピアサドニスは、少しイラついている様にも見えた。
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