322 ザロメニア城塞の攻防 11
「キングナバロ殿! 獣人軍が動き出したらしいですぞ!」
ペロロバン侯爵とキョクア騎士団長だキングナバロに駆け寄って来て急変を告げた。獣人軍を探れせていた密偵から報告を受けたらしい。
「とうとう動き出したか!」
キングナバロが眉根を寄せる。
「主だったものを集めろ!」
キングナバロが部下に命令した。
「は!」
部下が返事をして走り去った。
「どうやら全軍で移動しているとの報告を受けています」
キョクアが落ち着いた口調で言った。
「それでは軍議に行きましょうか?」
キングナバロが二人を誘って歩き出した。
主だった者が集まると軍議が始まった。四将軍とペロロバン侯爵、とキョクア騎士団長、『15の光』からはグラ、サキとキルが軍議に参加した。
「それでは軍議を始める。実は獣人軍が此方に移動を開始した。先の戦いから三日、軍を再編して動き出したというところだろう。此方も軍の再編は済んでいるがまだ援軍がやってくるには、暫くかかりそうだ。なんとか今の戦力で援軍到着までしのぎきりたい」
キングナバロナバロがリーダーシップをとって話し始めた。
「机の上に地図と獣人軍を表す模型が置いてある。見てわかるように五つの軍団に分かれて同じ道を真っ直ぐ此方に移動中だ。先頭から一万の軍が三つ。続いて二万の軍、三万の軍と続いている。
なお最後尾の三万の軍には非戦闘員も含まれている。おそらくここに獣王がいるだろう」
キングナバロが一気に説明を続ける。
「おそらく前の三軍は一度戦った指揮官の軍隊だ。真ん中の二万は新手。後方の三万は実質兵は二万と見ていいだろう。さてどうするか。皆んなの意見を聞きたい」
剣王バットウが話始める。
「8万に城を囲まれる前に奇襲をかけて時間を稼ぎたいな。できれば敵の兵も削りたい」
「そうだな。ここはやはり空から空爆をしてもらうのが良いのではないか?」
盾王ビッグベンがグラ達を見つめる。
「どうだ、やってくれるか?」
キングナバロがグラを見つめた。全員からの熱い視線がグラに集まった。
「敵にも空中ジャンプで攻撃してくるものもいるでしょう。おそらく今回はそういう能力者を集めて一軍を組織してくると思われます。かなり危険を伴う任務となるでしょう」
そう言いながらグラはキルと先の方を見た。
「そうね。でも敵が空軍を作ったとして、魔法でまとめて倒せるんじゃないかしら。魔法に耐えられるほど強いのはそれほど数がいないんじゃない。生き残った獣人は空中戦でグラ達に倒してもらうことになるけれどきっとこっちの方が数も質問上じゃないかしら」
サキがグラの視線に応えてそう言った。楽観的な意見かもしれないが、星5レベルの実力がなければサキの魔法攻撃を受ければ死ぬだろう。そのくらいの防御力が無ければ数の内に入らない。
そして星5(ヘキサグラム)以上の実力者はそこまで多いはずはない。キルもサキの言葉に頷いた。
サキもキルも敵空軍に勝てるという自信があるのを知って、グラも決意を固める。そしてキングナバロの方を向き直ると言った。
「かなり危険な任務ですが、その任務お受けします。どうやら我々の魔術師は敵空軍がいたとしてもさほど気にはならないようです」
「それはありがたい。では軍議が済み次第行動に移ってくれ。そして我々だが、基本はこの城塞を守って戦おう。援軍到着を待って反転攻勢をかけるのだ。それでは空軍の皆んなの活躍に期待する」
キングナバロは一刻も惜しいというように軍議の終わりを告げ行動に移るよう指示を出す。
全員椅子から立ち上がり行動を開始した。グラ、サキ、キルの三人は『15の光』のメンバーの元に急いだ。
「空爆で敵の出鼻をくじき、足止めする事になったよ。敵が空軍で応戦してくる可能性が高いと思うからそのつもりでいてくれ」
グラはメンバー皆んながいる事を確認する。
「先鋒を任されたようなものよ。この際敵を殲滅しちゃいましょう」
「今から出撃するのじゃな。準備はできておるぞ」
「空中戦であるか? 少しは歯ごたえのある者がいると良いであるな」
ユミカはワクワク顔だ。
「魔力回復薬を使ってとことん戦うのですか?」
クリスが聞いた。
「いや。そこまでは必要ないだろう。まずは足止めして時間を稼ぐ事が目的だ。魔力が残り二割くらいになったら一旦戦いをやめて引き返す事にしよう。でも、もしもの時は回復薬を使っても構わないよ。今日だけでなく、明日も出撃すると思っておいた方が良いから、無理する事はないさ」
グラが余裕の笑みを見せる。
「ミノタロスの大量発生の時を思い出すね!」「うん。うん」
「そうっすね。あの時も空からみんなで撃ちまくったっすよね」
「あの時も楽勝だったし、今度もきっと余裕だよ!」
「モレノの言う通り」
ルキアも自信をのぞかせる。
「少し〜だ〜け、薬も〜使って〜良いよ〜ね」
マリカが魔力回復薬を確認した。
敵に陸軍にも多少は遠隔攻撃能力を持つ者もいる。多少は注意が必要だろう。キルは精霊も召喚して戦わせるつもりだった。
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