286 オークダナダンジョン 2

一眠りの後でキル達は再び先を目指して進み始めた。睡眠中の警戒は召喚した精霊達に任せておいたために全員十分回復している。


第12階層に潜るとそこではミノタロスと遭遇した。

ケーナがミノタロスの頭部を射抜く。ミノタロスの頭部が爆発してその後全身も煙となって魔石に変わった。ケーナのアーツ、エナジックスナイプガレオンだ。


「この階層はミノタロスっすか」ケーナが魔石を拾いながら余裕の笑みを見せる。

おそらくミノタロスは上級冒険者なら単独で互角の戦いができる程度の強さしかない。ケーナのアーツなら一撃で魔石にできるのだ。


止まる事なく進んでいきキル達7人はフロアボスのグレートミノタロスを倒して第12階層を抜ける。


第13階層は思った通りレッドオーガが相手だった。


青眼銀髪の盾使いルキアがシールドバッシュでレッドオーガにカウンター攻撃、レッドオーガを魔石に変えながら進んでいった。


「弱すぎ!」ルキアは一言で切り捨てる。


「まあ、レッドオーガだからね」モレノも当然という反応。


「次のオーガはモレノに任す」ルキアがモレノに指令を出した。


「しょうがないな〜」モレノは現れたレッドオーガに乱れ突きをお見舞いして魔石に変えなた。

この辺りの魔物では準備運動にもならない。


フロアボスのブラッドオーガはエリスが剣を横に一閃すると魔石に変わった。一撃である。

エリスはピンク色のショートヘアを触る。「やれやれね!」


第14階層はシザードウルフチーフとシザードウルフ2匹のパーティーが徘徊している。いつも3匹がセットで行動している。


「風よ切り裂け! ……」クリスが無詠唱で魔法を発動すると3匹は風に切り刻まれて魔石に変わった。


フロアボスのツインヘッドシルバーウルフをキルが瞬殺し第15階層に移動した。


「良いペースで魔物の強さが上がってましたね」「うん。うん」


「そうっすね」


「もう少しでドラゴンかしら?」


「あれ?魔物の気配が……」モレノが不審そうな表情を見せた。


「いない……」


「この感じは……此処がラストかしら?」


「この先にダンジョンコアが有りそうっすね!」


第15階層が最終フロアで奥にダンジョンコアの部屋が有った。


「よかったですね、もっと深くまで有るのかと思ってましたから」「うん。うん」

エリスがピンク色の瞳を輝かせる。ユリアはエリスの腕にしがみ付いて首を縦に振る。


キルは宝の箱を2つ見つけて一つがミミックなのを見破った。ミミックを一刀両断にし宝の箱は開ける。


「エリクサーですね」


宝の箱にはエリクサーが入っていた。そのエリクサーはケーナがマジックバッグに収納した。


「さて、引き返そうか」


ドラゴンはいなかったがこのダンジョンはエンペラードラゴンが今後もいることがない事を確かめられた。これも一つの成果と言える。


「グラさん達はどうだったっすかね?まだ潜っているっすよね」


「たぶんな」キルが頷く。


先頭でエリスとユリアが剣撃を飛ばして道を開いていた。まだ今日倒したフロアボスは復活していないだろう。7人は帰り道を急ぐ。


グレートミノタロスの復活前に第11階層に戻ってそのまま外を目指す。第5階層まで戻ってきたところで野営を行い翌日にはダンジョンを出た。


「まだ早いからオークデルダンジョンまで飛ぼうか?」


「そうですわね。まだ余裕がありますし向こうまで飛んで宿屋をとりましょう。グラさん達を探すのは明日でも良いのではないでしょうか」クリスが頷く。


「1番大きそうな宿屋をとれば良いっすよね」


「そういう手筈だったな」


「今日のうちに行っておいた方が良いですよね、グラさん達もダンジョンを攻略し終えているかもしれないし」「うん。うん」



キル達はオークデルダンジョンに飛んでダンジョン街で1番大きそうな宿屋を訪れた。

窓にサキの帽子はかかっていない。7人分の部屋はなんとかとれたのでそこに泊まった。


翌日ダンジョン街を見て回りながらグラ達の消息を探る。索敵で神級冒険者の気配を探しても街中には無いのでおそらくまだダンジョン内にいるのだろう。


「どうしよう、ダンジョン内まで探しに行く必要はあるのかな?」


「必要は無いと思いますが、キルさん単独で迎えにいきますか?」「うん。うん」


「キル先輩なら速攻で見てくる事ができそうっすよね!」


「そうだな、俺1人なら魔物の横をすり抜けて急いで進む事もできるからその方が良いかもしれないな。じゃあちょっと見てくるよ。宿屋で落ち合おう」


キルはダンジョンに潜って行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る