284 驚きの鑑定結果

「これは凄いよ!掘り出し物かも?これは宝箱だよ」キルが鑑定結果を告げた、


「宝〜箱?」


鑑定結果にピンと来ないマリカ。


「宝箱って………空の?」とモレノ。


「モレノ!」ルキアがモレノを睨む。


「中は、開けて見ないとわからないけれど多分……この感じは金貨と……石……かな?4000カーネルは安い買い物だったね」


「開けるには〜壊す〜の〜かしら?」


「これは宝を木の中に埋めて、入れた穴が埋まるまで木を育ててから周りの彫刻した物だから中身を取り出すには壊すしか無いね」


「なら〜壊さないで〜この〜ままに〜しておき〜ますね〜」


「え〜!中のお宝を見て見たくないの?」

またモレノが口を挟む。モレノが中身の宝を見て見たいのがわかる。

皆んなもそういう気持ちは少なからずあるだろう。


「中身を取り出した後で、元通りに戻せれば良いのじゃないかしら?できるように取り出せないの?キル君」サキも実は中身を見たいらしい。


少女達が期待のこもった視線をキルに向けた。


キルは宝箱を持ち上げて色々な方向から調べてから言った。

「たぶんこの辺をスパッと切って中身を取り出してから付け直せば大丈夫かな………と思います」


今度は皆んなの視線がマリカに集まった。


「なおして〜くれるのなら〜いい〜わ〜よ」


「マリカの許可も出たっすから、キル先輩、やってくださいっす!」


「わかった」


キルはミスリルの剣を抜き水平に薙ぐ。


一瞬の閃光に後にキルは剣を鞘に納める。


モレノが鍋蓋を取るように宝箱の上部を持ち上げて中を覗き込んだ。

「宝入って無いよう?ただの木?」


「真ん中をえぐると宝がでてくるからちょっと待って」

キルが続きの作業を始めた。小刀で真ん中を削っていくと金貨と宝石が現れた。


結局金貨15枚と3cmほどのルビーとサファイアが入っていた。


「マリカ凄ーい!」「うん。うん」

「マリカの優勝であるな」

「こんなことがあるのですね!」

「信じられないっす!」


「後は接着剤で着けて元通りにすれば良い」

キルは接着剤で木の宝箱を元通りに復元完了した。


「金貨はかなり古い金貨かな?初めて見るやつだ」

モレノが金貨を掴んで確かめている。


「どれどれ、ややや!これは5〜600年前のロンバルド金貨じゃな!一枚500万カーネルはするんじゃないか!」ロムが金貨を見て驚きの声を上げた。


「「「500万カーネル!」」」


それを聞いた皆んなが叫ぶ。


「金としてはそれほどしないが歴史的価値があるからコレクターはそのくらい出すじゃろう。オークションにかけたらもっとするかもしれんぞ」


「取り出してよかったね!マリカ」モレノが自分のおかげだと言うようにマリカを祝福した。


「ありがーとう。モレノ〜の、おかげ〜ね」


「いや、全然違うじゃろう。どちらかと言うとキル君のおかげじゃ!」


「別に俺はどうでも良いですけど」キルはつぶやく。


「で!それどうするの?オークションにかけるの?」


「お金は〜、ある〜から、別に〜いい〜わ〜よ」


「じゃあ一時マジックバッグに収納しておけばいいわね!」サキがマジックバッグに収納する。


「そう〜ね〜」



「いや〜!たまにはこういうこともあるんすかね!」


「たまには露天で買い物をするのも良いであるな」


いや君達が買ってきたのはゴミ屑でしょ……と思ったがキルはその言葉を飲み込んだ。

確かにほとんどゴミだが中には掘り出し物も混ざっている事も有るのだ。


今回の事は異例中の異例だと思う。


売っている人間は中にこんな宝が入っているとは気付いていなかっただろうし勿論キルが鑑定しなければマリカもわかってはいなかった。

キルが気づかなければ、誰もがわからないまま置き物としてゴミの中に埋もれてきていた宝なのだ。


鑑定しながら露天商を回るのも良いのかもしれないと学習したキルであった。

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