278 ミノタダンジョン 1

ゴブトレダンジョンの次の目的地はミノタダンジョンだ。

このダンジョンの第1階層はミノタロスで、第2階層はコカトリス、第3階層はハーピーという情報が手に入っている。これまでとは違ったパターンの魔物の出現の仕方だ。


『15の光』は宿屋で1泊した後ミノタダンジョン攻略に向かった。

Aランクパーティーが利用者の中心でそのためダンジョンは混んでいない。


その代わりダンジョンの入り口の警備員は大人数だ。


第1階層に入り出会ったミノタロスを斬り倒して先に進む。先頭はキルが務めている。


キルは鎌鼬でミノタロスが見えた途端に遠距離攻撃で斬り倒すのでメンバー達は無人の野を歩いている様な錯覚な陥る。


「どうしてダンジョンの中って時々こういう広い平原と明るい空がある場所があるのかしらね?」


「よくは判らんが階段や扉を潜ると別空間につながっているんじゃないだろうか?」

サラの疑問にグラが答えた。


「それをダンジョンコアがやっているの?そしたらダンジョンコアを壊したら別空間とのつながりが切れたりしないのかしら?」


「ダンジョンコアは魔物を出現させているだけらしいぞ。多分。ダンジョンコアを破壊して帰れなくなった話は聞いたことがないからな」


「あら、ダンジョンコアを破壊した事ってあるのね」


「そりゃあ、昔からダンジョンはあるから今までにダンジョンコアを破壊した事は有るさ。ただダンジョンコアを破壊したダンジョンはじきにに崩れていくらしいぞ」


「深層から段々崩れて最後には塞がってしまうらしいな、言い伝えじゃがな」

ロムも話に加わった。


先頭のキルと殿のホドが警戒していれば他のメンバーは気を抜いていても問題は起きない。


なのでグラ達はお喋りをしているわけだ。


キルが倒したミノタロスの魔石はケーナが回収してマジックバッグに収納している。

ケーナは何も言わずによく働く偉い子だ。


「第2階層のコカトリスは自分にやらせて欲しいっす。ダメっすかね?」

ケーナはフロアボスのグレートミノタロスを倒したキルに問いかける。


「ああ!頼むよケーナ」

キルはケーナの希望を聞き入れてコカトリスの相手をケーナに任せて先頭を交代した。


クリスがケーナをバックアップするためにケーナのすぐ後ろに身構える。


2人を見てキルはふと気がついた。王都で弓と杖を買ったのだった。


「クリス、ケーナ、これを使ってみないか?」

キルは王都で買った弓矢と杖をケーナとクリスに手渡した。


「良い弓矢っすね。どうしたんすか?」


「凄い大きな魔石!この杖は高かったのではありませんか?」


「たまたま王都で手に入れたものなんだけれど、しまったまま忘れていたよ。良かったら使ってくれると武器も有効利用というものだろう」


「もらって良いんすか?」

「こんな高価な物受け取れませんわ!」


「それを使って強くなってくれた方が俺のためにもなるんだけどね……受け取ってくれよ」


クリスとケーナが顔を見合わせる。


「わかりましたわ」

「わかったっす」


2人は新しい武器を手に入れた。


第2階層を先頭に立って進む2人。ケーナが新しい弓矢を使ってコカトリスを撃ち抜く。

遠距離からの強射でも、ケーナが新しい弓矢を使って放つ一撃はコカトリスが魔石に変わるのには十分な威力があった。


「凄い威力っす。射程もかなり伸びたっすよ。その分弓を引く力も必要っすけど、神級の自分には問題無いっすよ」


ケーナはもらった弓の凄さを満面の笑顔でキルに話した。


「うん。ケーナにピッタリの弓矢の様で良かったよ」

キルも満足そうに笑った。


「こういう広い平原フィールドは弓矢に向いているな、特に射程の長いものなら反撃を許さないしな」


「そうっすね。キル先輩のくれた弓は特に長い射程があるから有効っすね」


「もうすぐフロアボスが見えそうですわよ」


「エナジーサウザンドアローを一点集中で撃ってみるっす」

ケーナは遠くに見えたフロアボスのゴールデンコカトリスに向かって矢を放った。

エネルギーの矢がその矢を囲んで一点に向かう。


ゴールデンコカトリスが千のエナジーアローに貫かれハリネズミのようになって魔石に変わった。


「へへ!」


得意げに笑うケーナとクリスがハイタッチをした。


フロアボスを倒して第3階層への障害は取り除かれた。キル達は何事も無かったように歩いていった。

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