271 ダンジョン攻略2
「この先って何がいるんでしょうか?やっぱりエンシェントドラゴンが徘徊しているのでしょうか?」
キルの疑問に皆んなが顔色を曇らせる。
「次の階からは気を引き締めていこう」
グラが皆んなの顔を見回した。
未知の領域に踏み込むのはいつでも緊張する。
蜘蛛顔悪魔みたいな奴が徘徊していたら厄介この上ない。
「入ります」
キルが先頭にたって門を潜り階段を降り始める。
第17階層のフロアに降りると両側はしっかりした壁が有り通路が奥に続いていた。警戒しながら進むキル。索敵では魔物の気配は感じられない。
「魔物の気配がありませんね?かえって不気味です。グラさんはどう思いますか?」
「ああ、確かに魔物の気配は感じないな。ここが最深部かもしれない………」
正面に大きな扉が現れて、ダンジョンは行き止まった。
全員が息を呑んで扉を見つめた。グラとロムが顔を見合わせて頷きあう。
そしてロムがその扉に手をかけて全身の力を込めて押し開けた。
部屋の中央には大きな魔石柱があった。
「これがダンジョンコアに違いない。それにしても巨大だな」
その魔石柱は昔ミノタロスの大量発生の原因になっていた魔石柱よりも数倍大きな物だった。
「これを回収するとダンジョンに魔物が湧かなくなるんでしょうか?」
「そうだ。ダンジョンコアが無くなるとダンジョンに魔物は湧かなくなる」
「ダンジョンコアには手をつけないほうが良いじゃろうな。ダンジョンは地域経済の大きな収入源じゃからな」
「そうね、ダンジョンが無くなったりしたら冒険者の収入源が無くなっちゃうからね……そんな事になったらみんな困るし私たちみんなから恨まれちゃうわよ」
サキもダンジョンコアには手を付けるべきではないと思っている。
「俺の目的はエンペラードラゴンの魔石ですから、ダンジョンコアに手をつけなくても大丈夫ですけど………」
「なら此処を終わりにして別のダンジョンに潜ったほうが良くないっすか?」
「ゴブタダンジョンにはエンペラードラゴンはいなかった事がわかったから、次はフクラダンジョンを確かめよう」
グラが提案した。
「まずはホームに帰還ね」サキが笑う。
それから『15の光』は踵を返して外に向かった。
「私達も強くなったと思うけれど、キル君はすごく強くなったわね。エンシェントドラゴンも1人で余裕で倒せるんだから」
サラがキルを見る。
「普通のエンシェントドラゴンなら余裕じゃな!」
「本当にキル君は強くなったよ」グラも認める。
「でも大悪魔が現れたら勝てないと思います」
キルはグラシャ=ラボラスを思い浮かべてまだまだあのレベルではないと思うのだった。
「そう言えばあの蜘蛛顔の悪魔って、神と戦うとか言ってなかった?」
「はい。神と戦うための軍団だ……とか言っていたような?」
キルはサキの疑問に返答した。
「悪魔って神と戦っているのかしら?」
「わからんな、緑山泊のゾルタン様か、ソンタク様に聞いてみたらどうじゃ?」
「フクラダンジョンを調べた後緑山泊に行ってみるのも良いかもね」
「そうですね。賛成です。こちらの近況も話しておきたいですし」
キル達は4日をかけてゴブタダンジョンの外まで出てきた。現れる魔物は倒しながらとはいえほぼ寄り道なしで外を目指したのだ。
道中この後はフクラダンジョンを調べることは決まっていたしその後緑山泊に足をのばして悪魔のことなどを教えてもらう事にしたのだった。
ゴブタダンジョンを出た『15の光』は夕暮れの空を飛行してホームに戻った。
クッキーが気付いて出迎えてくれた。
「思っていたより早く攻略ができたんですね。何階層まであったのですか?」
にこやかに微笑むクッキー。
ゼペックも気付いてやってきた。
「17階層にダンジョンコアがあったよ」モレノがクッキーの問いに答えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます