268 エンシェントドラゴン2

「攻め続けるだけ!」無口なホドが口を開く。


「そういうことじゃな!」ロムも同意した。


「そうそう、回復できるのはこっちも同じだしね」グラも気を取り直して口の端を上げた。


マリカがセイクリッドアローを打ち込む。それを合図に周りから全員が遠距離攻撃を2匹に浴びせ続けた。


エンシェントドラゴンはダメージを回復するためにまた回復魔法をかける。


それからはもう消耗戦になってしまった。

エンシェントドラゴンのMPが尽きて魔法が使えなくなればもう回復はできないのだ。

数回回復魔法を使いながら耐えていたエンシェントドラゴンが状況打開に乗り出す。


翼を広げ飛ぶ準備を見せる。広げた翼は多くの攻撃を受けたが回復魔法を使ってすぐに飛び出す事によって射程の範囲から逃れたのだった。


そして戦いは空中戦へと状況を変えた。ドラゴン達は、一方的に打たれ続け耐え続ける状況から脱出したのだ。


ドラゴンの目には怒りの色が溢れている。

さっきまでキルを狙っていたが今度は狙いを変えたようだ。

2匹は同時に1人を攻撃して1人ずつ減らしていく作戦に出た。

初めに狙われたのはマリカだった。


マリカは2匹のドラゴンに追いかけられながらも飛行スピードで上回りにげまわる。ドラゴンブレスも躱し続けた。その間2匹のドラゴンは残りの12人に追われ攻撃される状況だ。やはりダメージを受け続けるのはドラゴンで時折飛行中に回復魔法を唱えている。


マリカも防御魔法をかけながらの回避行動を取る。時折攻撃を受けてしまった後には回復魔法で完全回復を行なった。一撃で倒される心配もなく回復魔法で回復できるので余裕の対応と言えた。


結局のところドラゴンの作戦は上手くはいかなかった。だがドラゴンとしてもこれ以上はやりようが無いと思える。多少はMPの消費時間が長引いたかもしれないが、キル達の誰を狙っても結果は同じだっただろうし、誰かを倒して数を減らすことはできなかっただろう。


だがドラゴンは攻撃目標をまた変えて今度はモレノに狙いを定めた。


言うまでもなくモレノの対応もマリカと同じだ。モレノだってヒールもハイヒールも使えるのだ。おまけに盾のアーツでマリカより防御はしやすい。


結局ドラゴン達はモレノを追いかけても倒すことはできずに回復をされるのだった。


ドラゴンのMPは徐々に減りとうとう回復魔法が使えなくなる。そして遂には力尽きて倒れるのだった。


エンシェントドラゴン2匹を倒して魔石を取り出す。エンペラードラゴンではないのが残念だ。そして倒したドラゴンはストレージに収納した。


「厳しい戦いじゃったな!」


ロムの言葉に頷くグラ。流石にこれ程の長時間の戦いはグラと言えども体力の消耗が激しかった。


「回復持ちと戦うのはなかなか厳しいものがあるね。防御力が高いと尚更だ」


「一撃必殺の攻撃力がないと、ああいう相手には苦労するわね」

サキが口の端を釣り上げる。


「エンペラードラゴンはもっと強い訳ですよね。まだまだレベルを上げないと……」

キルは浮かない顔をする。


「ダンジョン深層のドラゴンを狩りますか?」とクリス。


「ダンジョンならどんどんドラゴンが出てくるっすよ、レベルアップに最適っす」


「最終のボスが運が良ければエンペラードラゴンという事も有るかも?」「うん。うん」


「楽しみであるな!」


「そお〜ね」


「暇を持て余すよりどんどん戦えるほうが楽しいよね」


「移動や探す時間が1番無駄。その点ダンジョンは良い」


「あはは、そう……だよね」キルは後頭部を掻く。


「一度ホームに戻ってダンジョンの情報を集めましょう」とクリス。


「そうだね。それじゃあ飛んで帰ろう!」グラが話をしめて、フライの呪文を唱える。


全員ルビーノガルツに向かって飛び上がった。

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