266 洞窟の奥
「疲れましたね!」とキル。
「流石に今回はやばかったね、」グラも一息ついて腰を落とした。
「死ぬかと思いましたよ〜」モレノも、もううんざりという感じだ。
「あれはなんなんすかね?別世界の生き物っすかね?」
「揺らぎの向こうにはあんなのがうじゅじゃいるのじゃろうか?」ロムも座り込んで空を見上げた。
「揺らぎは消えちゃったみたいで良かったわね!」とサキ。
「あそこが魔界なのでしょうか?」クリスが暗い顔で言った。
「そうかもしれんであるな」とユミカ。
「みんな〜、無事で〜、よかったねー」
マリカは笑っている。
「もうクタクタよ、だってあの蜘蛛顔強いんだもの」「うん。うん」エリスとユリアも腰を落とした。
「そういえば倒したら消えちゃったね。魔石も残さない」とモレノ。
「普魔じゃなかったんだ」ルキアも頷く。
「不思議であるな」首を傾げるユミカ。
「眷属……って言ってたね?」「うん、言ってた」エリスとユリア。
「魔界の生き物なのかもしれないね」グラが眉根を寄せて言った。
「悪魔の眷属……」キラも首を捻った。わからないものだらけだ。
とにかく倒せてよかった。
「ドラゴンとは関係無かったみたいだけどああいう揺らぎを見たら入らない方が良さそうね。どうする?この奥を調べにいく?」
サキはもう帰ろうかとでも言いたそうだ。
「少し休んだら飛んで見回ろう」
グラの胆力には感心させられる。さすがだ。
奥地を飛行していくつか洞窟を見つけたが中を索敵で調べてもドラゴンの気配は感じなかった。
そして日も暮れそうになった頃、遂に怪しそうな洞窟を発見した。
中に異様な気配を感じるその洞窟はかなりの深さがあるように感じた。
それほど深くに何者かの気配が有ったという事だ。
「此処には何かが隠れ住んでいるかもしれませんね」キルは感じたままを伝えた。
「どうしようか、洞窟内で野営をするのが良いかもしれないね。外よりは多少安全なように思うのだが?」
「私もそう思うわ」
サキの言葉に皆んなも頷いた。
そしてこんばんは洞窟内で野営をする事にして取り敢えず洞窟の奥に入って行った。
そして安全そうな場所で野営の準備を始める。順番に見張りについて残りは就寝するのだ。
翌日洞窟内を奥に奥にと入って行く。
洞窟内は暗いためライトの魔法で照らしながら進んで行った。
ダンジョンのように魔物が襲ってくる気配はないが奥の方に何か強い魔物の気配は感じていた。
進んでいくうちに洞窟の幅が狭くなり4人横並びになれたものが3人にになりそして2人になる。
「少し熱くなってきてない?」サキが額の汗を拭いた。
「地熱のせいですね、きっと火山の火口に近づいてるのかもしれません」
「火山の火口を出入り口にして棲みついてるパターンってドラゴンにはよくあるみたいよね!」
サキの言葉にキルが頷く。
「たぶんそのパターンじゃな!」とロム。
洞窟の奥の方がやや明るくなっているような気がする。
そしてそれは進むにつれて明らかな明るさになっていった。
「ドラゴンの気配は近いですよ。気を引き締めていきましょう!」
キルは索敵でドラゴンの気配を感じていた。
洞窟は火口の下の大きな空洞へとつながっていた。
広く開けたその空洞にドラゴンが休んでいた。
熔岩の熱が肌をヒリヒリと刺激する。
少し先を流れる赤く溶けた熔岩が周りを照らしている。
その高温の世界の中でドラゴンは気持ち良さそうに眠っているようだった。
キル達は身を隠しながらドラゴンの様子をうかがう。
「エンシェントドラゴンですよね?」小声でグラに確認するキル。
「ああ、あれはエンシェントドラゴンだな」グラも小声で答えた。
「狩っていきますか?」
「此処まできたんだしな」
キルはグラの答えに同意するように頷いた。
仲間の顔をみまわす。クリスもケーナもキルを見て頷いた。
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