236 対緑山泊討伐軍 6

ボルタークの前にキルが降り立った。


「ボルターク将軍、初めてお目にかかります。俺はキルという者です。この戦いはもう勝負がつきました。どうか無駄なことはせず降伏していただきたい。」


「ははは、確かに王国軍は四散した。だがこの俺はここに健在だ。俺を倒せるものがいなければ緑山泊の勝ちはないよ」


「ボルターク将軍を倒せるものがいればあなたは降伏すると?」


「笑わせる。いるのかね?そんな奴が」


「目の前に」


「ククククク、君が強いのは感じるが、魔術師が近接戦闘で剣士に勝てるとでも?」

ボルタークが笑った。


「俺は剣士でもあるのでね、魔術師でもありますが」

キルがミスリルの剣をストレージから手にした。


「ほー、なかなかの剣を持っているようだが腕の方はどうかな?試してみようか」

ボルタークも剣を抜いた。


「俺が勝ったら降伏してもらいますよ」


ボルタークが笑う。

「ククク、剣神ボルタークを倒すと公言するとは楽しみだね」


キルの後ろにエリス達5人が舞い降りる。

「キルさん独り占めはずるいなぁ〜」

「うん。うん」

「であるな!」

「独り占めはずるい!」

「そう」


ボルタークがまた笑った。

「可愛いお嬢さんがただ、腕も立つようだね。あとで相手をしてあげるから少し待ってね」


「キルさんの方が強いから、後じゃダメだよね」

「うん。うん」

「であるな!」

「キルさんも神級剣士だし絶対キルさんの方が強い」

「そう」


「何!奴も剣神なのか!おもしろい」

ボルタークが不敵に笑った。


「そういうわけでそろそろ始めましょうか?ちなみに剣神なら俺の他にグラさんとホドさんがいますから、俺に勝っても安心しないでくださいね」


「いくぞ!少年!」


「待ってました!」


2人は睨み合い間合いを測る。


2人の間で火花が飛び散り剣のぶつかる音が響いた。


次の瞬間2人の姿は別の場所で対峙している。常人には目で追えないスピードの斬り合いが行われていたのだ。


そして今はまた互いの隙をうかがっている。


静から動、そしてまた静に戻ったのだ。


「やーー!」

ボルタークの掛け声。


剣のぶつかる音が響き火花が散る。


「なかなかやるな!」


「あなたもね」


「キン!カキン!ガキ、カン!カン!カン!カキーン!カシーン!」


「……………………」


「カキーン、カン!カン!ガキ!ガツーン! カシーン!カシーン!カン!カン!」


「………………」


「やるなー!」


「こんなもんじゃないんでしょう?」


「そうだな、ここまでやるとは思わなかったよ!そろそろ本気を出すとしよう」


「カン!カン!カン!カキーン!カキーン!ガチ!ガキ!ガシーン、ガキン!」


「……………………」


「たーー!」

「カン!カキーン! キーン!キーン!カキーン!」


戦いは続いた。



「もう待ちくたびれたよ〜」

モレノがブーたれる。


「私も」ルキアももうボルタークと手合わせしたいようだった。


「キルさん、もう私と変わってくださいよ〜」

エリスが剣を抜き進みでる。


キルは仕方なくエリスにボルタークの相手を譲った。


「さあ、今度は私が相手よ!」

エリスが嬉しそうにボルタークと向き合う。


「よかろう、相手をしてやる」


エリスがボルタークに斬り込んだ。

「ガシーン!」


ボルタークはエリスの剣撃を剣で躱わす。


その後エリスとボルタークは10合20合と打ちあった。


「エリス早くかわってよ、次は私なんだから!」

ユリアが剣を抜いて進み出た。


「えー、わかったわよ。交代ね!」


「はいはい〜、それじゃあボルタークさん、次は私が相手ね〜」


「うむ!」


ユリアがボルタークに斬りかかる。


20合と打ち合った頃ユミカが前に出た。

「そろそろ交代であるぞ!」


「え〜もうなの〜はや〜い、」


ユミカがボルタークに殴りかかった。

「セイ!セイヤ!」


ボルタークは左右に身をかわす。


「ター!」

ユミカの右回し蹴りがボルタークの鼻先をかすめた。


後ろに飛び退くボルターク。


間合いを測り一歩踏み込んで上段から袈裟斬りをするとユミカは一歩踏み込んでボルタークの剣を左手の肘の小手で受け止めさらに踏み込んで右正拳突きを放った。


咄嗟に後ろに跳ねて突きのパワーを殺すボルターク。

ボルタークの腹に拳の跡がはっきりと残っていた。


「はいはーい!次は私の番ね!」

モレノが金髪をなびかせながら槍をグルグル振り回す。


「ロケットランス!」いきなりの遠距離攻撃。

「無限突き!」そして連続の突きがボルタークを襲った。


躱し続けるボリターク。


「まだまだ〜!」


モレノが調子に乗ってつき続ける。

剣より槍の方が射程が長い、当然槍の方が有利と言えるのだがボルタークも一筋縄ではいかない。突きをいなして一気に間合いを詰めて斬りかかる。


モレノは後方に跳び下がってボルタークの剣撃を躱した。

「ひえ〜!危ない危ない。流石は剣聖ね!」


盾を持ったルキアがモレノを押し除けた。

「私の番!」

モレノは引き下がる。


ボルタークの攻撃を盾で受けてシールドバッシュで反撃をするルキア。

ボルタークは疲れ気味だ。


「さてそろそろ俺の番だ」

またキルが相手として前に出た。


「ク!」

まいったという顔つきのボルタークだった。

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