233 対緑山泊討伐軍 3

ルクスブルグ公爵ベルクレストを中心とした貴族軍5000が紅月山の攻略に向かった。


続いて1万の王国直轄軍、それに続いてビームルク公爵ベルゲンケルトを中心とした貴族軍5000が予定の行動をとる。

彼らは緑光山軍を狙っている。


紅月山を前にルクスブルグ公爵ベルクレスト、マークキス子爵ノンシルク、 ダミア子爵ヒンメル、アムテル男爵テルラムは、紅月山攻略の軍議をおこなった。


「我が軍は無理をして紅月山を占領する必要はない。軍議の上では……

だが通常5000の兵が有れば1000で守る城を落とすのは楽にできるはずだ」

とルクスブルグ公爵ベルクレスト。


「その通りです。我々だけで紅月山を占領して見せましょう。このノンシルクが先鋒を務めましょうぞ!」


「いや、先鋒はこのヒンメルにおまかせを!」

「いえいえ、このテルラムにお任せを!」


3人とも血気盛んだ。


「ではノンシルク殿の軍に先鋒をお願いしよう」

ベルクレストがノンシルクに先鋒を任せた。


ノンシルクの軍が紅月山の砦の城門に攻めかかった。

紅月山に造られたその砦は天然の要害に守られて攻め手は城門をまずは突破しなくてはならない。


城門を打ち破る前に散々に矢を射かけられバックドカンの魔法も浴びせられた。


城門前は良い的になってしまうのだった。


ノンシルクの兵達は無理な強攻はせず引き返す。


「敵の守りも侮れません。かなり優秀な攻撃魔法使いもいるようですし、回復魔法を使う者も優秀です。白兵戦もかなり強い。この城を落とすには5000では厳しいかもしれません」とノンシルク。


「なにをいうか、このテルラムが突破口を開いて見せよう!」


「うむ、では頼むぞ。テルラム卿」


今度はテルラムの兵が城門を攻撃するが結果は同じだった。

ボコボコにされて引き返してきた。


「城門以外の所から攻めれば良いのですよ、このヒンメルにお任せ下さい」


「そうだな!意表をついてこそ有効な攻撃になるという。ヒンメル卿お願いいたす」


ヒンメル軍が後方に回り込み崖を登って攻撃をかけたが崖の中腹で攻撃を受け撤退することになった。


「くそ!これでもダメか」


そして砦を囲んで睨み合いの状態になっていった。



     *  *  *



緑光山軍幕舎


「紅月山ではソンタクさん達が危なげなく守りを固めているようですね」

不死身のゾルタンが笑った。


「はい。敵の狙いはやはり我が軍が紅月山の助けに向かった時のようです。王国直轄軍1万が待ち構えているようです。それから別働隊5000が裏に回る動きを見せそうですね」ジルベルトが敵の作戦を言い当てた。


「敵の先鋒は騎聖ウェンリーの率いる騎馬隊2000、こいつの相手は苦しいですがウェンツ、ヤンゴン、トクダゼ3兄弟の騎兵にお願いします。ただ先んじて空爆で敵の騎兵を減らしておかないと戦いにならないと思います。『15の光の13人』明日空から先制攻撃を仕掛けますよ」


「馬を集中して攻撃すれば良いのですね」

グラが攻撃目標を確認する。


「そうです。こちらの騎馬隊は300程度、敵の騎馬隊もそのくらいには減らしたいですからかなりしつこく騎馬を狙って下さい」


「2000を300にまで減らすという事は空爆で敵の騎馬隊を壊滅させるという事ですね?」


「そうです。此処が初戦のキモです」


「わかりました。明日の早朝に奇襲をかけましょう」


ジルベルトが大きく頷いた。


キル達13人も顔を見合わせて頷く。


「明日の奇襲の結果次第で今後の作戦も変わります。敵の騎馬がどのくらい残るかは大きいですからね。それから空爆は数回行うことになるでしょう。敵の魔法使いからの攻撃に気をつけるように」


「「「はい!」」」


「それから別働隊5000は後方に回り込もうとするはずです。後方に回り込むまでには時間がかかるでしょうが、その位置は逐一知らせるように」


クリープが頷いた。




    *  *  *


王国直轄軍幕舎


「なかなか動いてきませんね。紅月山を見捨てたわけではないでしょうに」

とウェンリー。


「もうすぐ動いてくると思いますよ、敵には賢い軍師がいそうです。明日あたり気をつけて下さい。逆に我が軍への決死隊による奇襲も考えられます」


「素直に紅月山救助には向かわないと?」


「どうやらここまで動かないとなるとその可能性も出てきました。我が軍1万にまともに3000で突っ込んではこないでしょうから、考えられるのは奇襲くらいしかないかと」

ボルタークは緑光山軍の奇襲を予想していたがそれが空から来る事は想定できなかった。


「なるほど、気をつけましょう」

ウェンリーもそれは同じことだった。

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