232 対緑山泊討伐軍 2

ルクスブルグ公爵ベルクレスト、現ベルゲン王国国王ベルゲンダインの叔父に当たる人物だ。


今回の出兵では冒険者者1200、騎士団300、民兵1000を出していた。

当然ながら軍議の場でも発言力は強い。


ルクスブルグ公爵ベルクレストは国王ベルゲンダインの悪政を日頃から憂いている良識ある人物であり、善政を敷いていることでも知られている。

そのおかげかルクスブルグは人も集まり大きな街へと発展したのだった。


「集まるのを待っていても出陣が遅くなるばかりですなあ、ボルターク将軍」


「さようですなあベルクレスト卿」

横で追従するのは兵900を率いてやって来たマークキス子爵ノンシルクだ。

その横では兵800を率いてやって来たダミア子爵ヒンメルとアムテル男爵テルラムが首を縦に振って頷いていた。


「そろそろ出陣といたしましょうか?まだ来ていない方々ももう少しすれば追いついてくるでしょうし、緑山泊軍は総数4500と聞きます。我が王国直轄軍だけでもなんとかなりましょうからな」

ボルタークが貴族達の顔色を見ながら言った。


「それは頼もしい。それでは我々は将軍の後からゆるりとついていきましょうぞ」

「さようですなあ!ハハハハハ」


ボルタークにはわかっていた。

貴族達の兵などやる気がなくて頼りにならんだろうと……


頼りになるのはウェンリー率いる騎兵2000と自分の部下の歩兵3000だ。

残りの民兵や冒険者はいるだけマシというところだろう。


さて使えぬ貴族兵をどう上手く働かせたものかな……



「それではゆっくりと紅月山を目指して進軍を始めましょう」

ボルタークは貴族達に進軍を指示するのだった。



ボルタークは紅月山の手前5キロの地点で陣を張り後続との合流を待った。

そして緑山泊側の動きを偵察するのであった。


「敵は紅月山に1000の兵が籠城の構え、そしてその後詰に紅月山後方3キロの地点に3000の緑光山軍が陣を構えております。」

斥候の報告を聞く王国軍幕僚達。


「なるほど、我々が紅月山に攻撃をすると横から緑光山の軍が仕掛けてくるというわけですかな」ルクスブルグ公爵ベルクレストが発言した。


「それなら我々は紅月山を攻めると見せて、ノコノコ出て来た緑光山の罪人どもを打ち取れば良いということでしょうな!」とボルターク。


「緑光山軍3000を打ち取れば勝負はついたようなもの。紅月山の者どもも降伏することでしょう」ウェンリーもその案に賛成した。


「遅れてすまぬな」

そう言って幕舎に入って来たのは兵2500を率いてやって来たビームルク公爵ベルゲンケルトだった。彼もまた現国王の親戚に当たる。


ベルゲンケルトの後ろからルビーノガルツ侯爵クリーブランド、そしてパリス侯爵メレンハイトがついてきた。


「これから紅月山の攻撃に移るところです。軍議の続きをいたしましょう」

ボルタークが軍議に参加するようにベルゲンケルトを誘う。


「それでは軍議を再開します。まず紅月山を攻め緑光山軍を誘い出す。

そしてその緑光山軍を殲滅する。そうすれば紅月山に立て籠っても先はない。

紅月山の連中も降伏するに違いない。これがここまでの話で良いですね。

あとは役割分担ですが……」


ウェンリーが自信を持って提案する。

「緑光山軍は我が騎馬隊2000がギタギタにしてやりますよ。いずれにしても緑光山軍は王国直轄軍で片付けて見せましょう。」


「そうですね、王国直轄軍1万が主戦力なのは動かし難い事実と思います。

皆さんの兵は紅月山の攻略をすると見せて緑光山軍を誘い出してくだされば良いでしょう。」とボルタークも言った。


「ははは、紅月山1000に1万は多すぎでしょう。5000で十分。我々も緑光山軍殲滅に一役かいましょう」ベルゲンケルトが言った。


「なるほどならば5000の兵で緑光山の後方に回って挟撃といきましょうか」

とボルターク。


「そうしましょう。」ベルゲンケルトが納得した。


「では紅月山の攻略はルクスブルグ公爵、マークキス子爵、ダミア子爵、アムテル男爵の軍5000で当たって下さい。無理に落とす必要はありません。

我々は緑光山軍が出てきたら正面から当たります。

ビームルク公爵、ルビーノガルツ侯爵、パリス侯爵の軍5000は迂回して緑光山軍を挟撃してもらいましょう。よろしいですか?」


全員が頷いて軍議は終わった。

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