226 魔石柱回収とトリンドルの街

キル達はミノタロス殲滅のためにトリンドル方向に向かった。


フライで空を飛びルクスブルクを飛び越して次の小さな街に宿をとる。

次の日もフライで空を飛んでパリスの南の草原で野営をした。

此処から南東に1日飛べばトリンドル近くまでは行けるだろう。


「また何処かに魔石柱が埋まってるんでしょうか?」


「たぶんそうだね」


「進化してるところを探せば見つかるじゃろう」


「王国軍や騎士団には近づかないようにしましょうね」


「そうですね、その方が無難ですね」


キル達は明日に備えて英気を養う。



翌日眼下にはヌーヌーとミノタロスの群れが広がっていた。


「まず初めに魔石柱を探さないとね」

グラが皆んなに魔石柱探しを指示した。


大空を飛び回りたくさんのヌーヌーがミノタロスに進化してるところを探す。


飛び回った末にケーナがとうとう見つけた。

「あの辺っす、あの辺でいっぱい立ち上がってるっすよ!」


「本当だ!!あの辺次々にモーモーが立ち上がって進化しているぞ」

グラも指をさす。


「キル君あの辺りに魔石柱が埋まっているに違いない。掘り出してくれ!」


キルは聖級土精霊を呼び出して土の中から魔石柱を探させた。


土精霊に力で地面の中から埋められていた魔石柱がニョキニョキと生えてくる。


そして全体が地上に出るとズシーンという音を立てて魔石柱は転がった。


「これが進化の原因だ!今回は壊すことなく手に入れたぞ」

キルは魔石柱をストレージに収納した。


「魔石柱の魔力量ってすごいですね」

キルが今更ながらに驚いた。


「さあ、あとはミノタロスを倒すだけだな。」とグラ。


「それにしても前回よりかなりミノタロスが多いですね」


「そうっすね、きっと魔石柱を始末するまでにだいぶ時間があって、相当な数のヌーヌーがミノタロスに進化したっすよ、きっと」


「腕がなるであるな!」


「トリンドル方向に向かって殲滅しながら移動するぞ」


「ストレージ持ちは収納よろしくじゃぞ!」


ダンジョン内と違い倒してもミノタロスが魔石に変化することはない。


だから、そのぶん素材として利用できるのでストレージに収納しておく。


ヌーヌーは見逃してミノタロスだけを狩って行く。


こうして少しずつミノタロスのいない地域が広がっていった。


日暮まで狩りを続けそして野営する。


次の日もひたすらミノタロスを狩り続ける。

一つの群れに10数万匹のヌーヌーがいるのでいくつかのヌーヌーの群れで進化が起きたとすればミノタロスも10数万匹はいると考えられた。


「そろそろ王国軍や騎士団の気配を感じても良さそうな物なのにな?」

グラが疑問を口にした。


「そうじゃな!この先のトリンドルを守っているならそろそろ防衛線の兵の気配を感じるはずじゃ。」


「もう少し進めば、気配を感じるわよ。きっと!」

サキは楽観的だ。


「それにしてもミノタロスの数が多過ぎますね。かなり群れの進化が進んでしまっていたようです。もう少し早く来ていればここまでの数にはならなかったでしょうに、遅かったですかね?」


「仕方がないさ、これでも情報が入り次第駆けつけているんだから」


「先にトリンドルの具合を確かめた方が良いような気がしますが?」


「その方が良かろう!それも全員で行く必要がある。ミノタロスがトリンドルに入る前にじゃ」


「そんな感じなの?グラ」


「そうだな、一度全員でトリンドルを見に行くぞ!」



全員がフライで空に上がりトリンドルに向かった。

眼下に広がるのはミノタロスの絨毯だ。


しばらく飛行するとトリンドルの街が見えてきた。


街は破壊の限りを尽くされてミノタロスの絨毯に飲み込まれていた。


「ひどい」クリスが呟いた。


そこには目も覆いたくなるような悲惨な状態が広がっていた。


国軍、騎士団ともに全滅したかあるいは撤退したかで戦っている様子はなく、無数の死体がミノタロスの絨毯の合間から確認できた。


「うーん。此処はもうダメだ。群れの先頭を確認しよう。行くぞ!」

グラの指揮の元キル達は飛び続けた。


ミノタロスの絨毯はまだまだ先まで続いている。


此処まで数がいるとはグラもキルも考えてはいなかった。


数十万のミノタロスが移動し続けていたのだった。


「次の街まで急ごう!」

グラが大声で言った。

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