211 ユフリンギルド  

久しぶりに安堵の日を送ったキル達一行。


ユフリンをベースに冒険者活動をするのも良いかもしれないという考えのもと冒険者ギルドを訪れることにした。


ユフリン冒険者ギルドは温泉街から離れた街の外れに位置した小さな建物だった。

観光が中心のこの街ではあまり冒険者という仕事は人気のある仕事ではないらしい。


依頼用の掲示板には魔物の討伐依頼が溜まっている。所属する冒険者が足りていない事が窺えた。


「冒険者ギルドとはこういう所じゃったのかのう」

ゼペックは初めて入る冒険者ギルドが物珍しそうだ。


「随分古くからの依頼が多いっすね、1週間以上前から出されているものがほとんどっす、だいじょうぶなんすかね?」


「困っている方がたくさんいそうでなんとかしてあげたいですね」

クリスの顔色が暗い。


「このくらいすぐ片付けてみせるのである。さあ依頼を引き受けようである」

ユミカがそそくさと受付に走り依頼を受けて来た。


「近くの森のゴブリンの間引きと、村の側に現れ出したウルフ退治とBBBが出るから討伐して欲しいの3つである」


「手分けして依頼をこなそうか?収納できる俺とケーナとサキさんをリーダーにしてそれぞれにあたりましょう」

キルが提案するとそれぞれが希望を言った。


「私は村人が心配ですので村の近くのウルフの群れを狩りますわ。」

「BBBと闘いたいであるな」


「BBBはユミカちゃんとサキが行けば間に合うだろうからホドがお目付でついて行ってもらって3人で良いかな。ウルフの群れは俺とクリスちゃんとケーナちゃんとエリスちゃんとユリアちゃんの5人、ゴブリンはロムとキル君、ゼペックさんクッキーちゃん、マリカちゃんにモレノちゃんルキアちゃんの7人で良いかな?」


最終的な組み分けはグラが考えて適切に割り振った。


「ゼペックさんとクッキーちゃんは戦闘には参加しなくても任務自体はこなせると思うのでそこは好きなようにしてください」とグラ。


『15の光』は3班に別れて依頼をこなしに行くのだった。



   *  *  *


BBB出没地点


サキがBBBを見つける。


「ユミカちゃん、あっちにいたわよ」


「わかったである!」

BBBに向かって走り出すユミカ。


「ちょっと先走らないで!ユミカちゃん!」

サキが止めるのも聞かず走りだすユミカ。

ホドが黙って追いかける。


サキもしょうがないなあという表情でゆっくり後を追った。


ユミカはBBBを見つけると走っている勢いそのままに飛び蹴りを喰らわす。

その飛び蹴りの一発で討伐依頼は完了してしまった。


「つまらんであるな」

もう終わってしまったのかと肩を落とすユミカ。

サキが追いついて来てBBBを収納した。



   *  *  *


ウルフ目撃地点近くの村、クリスとケーナが村長と会って情報を集める。


ウルフの群れは想定以上の大きさで、25匹以上の大きな群れだと判った。


「群れのリーダーはグレートウルフの可能性が高いね」

グラが経験からそれくらい大きな群れのボスは上位種のグレートウルフだと断言した。


今のグラならそのくらいの群れは1人で余裕で討伐できる。


5人はウルフの群れがいる森の方に進んだ。


森の中を進んでいるうちに5人は木々に隠れたウルフの群れに囲まれていた。


「この辺で襲って来てもらおうか?武器を構えると姿をみせるかもしれないよ?」

グラが言った。


「囲まれてるけど慌てる事はないわよ」とクリス。


少し広めの場所で5人は武器を取り身構えた。


ウルフ達が姿を現し低い唸り声を上げる。


戦いはケーナの爆射から始まった。


ケーナの射た矢がウルフに当たって爆発する。

一撃で矢が当たったウルフは即死だ。


ケーナは続け様に矢を射はじめた。


クリスもアイスサイランダーを唱え地面から生えた先の鋭い氷の柱に貫かれウルフの生贄が円周上に7本立った。


クリスとケーナの攻撃を潜り抜けて迫ったウルフはグラとエリス、ユリアが斬り殺す。あっという間に22匹のウルフが倒されていた。


残っているのは群れのボスグレートウルフとその取り巻き4匹。


ウルフの群れは27匹だったらしい。


残った5匹にグラとエリス、ユリアが突進した。


グラはグレートウルフまで一直線に詰め寄る。

途中邪魔する2匹を切り飛ばしグレートウルフにアーツ兜割りをお見舞いした。

グレートウルフは頭を割られて即死する。


その間に残りの2頭はエリスとユリアが倒していた。


ウルフの群れはこれで討伐されたのだった。



   *  *  *


ゴブリン増加地点、森の中でキル達7人はもうゴブリンの一団に戦いを挑んでいる。


ロムが最前線でモレノとルキアを従えて群がるゴブリンをシールドバッシュで叩き飛ばす。その横でルキアも同じ事をしている。


王級盾使いと聖級盾使いの2枚の盾を超えてこられるゴブリンはほぼいない。


前方のボスを中心とした50〜60匹の集団が感じ取れる。


マリカが領域魔法セイクリッドアローレインを唱えて光の矢の雨を降らせた。


ゴブリンの集団の周りに数万本の光の矢が降り注ぐ。

領域内の魔物は全てハリネズミのようになって息絶えた。


残りは近くにいたゴブリンだけだ。

そのゴブリンもロムとモレノ、ルキアがほとんど倒している。


数匹のゴブリンが逃げ出したがこれで依頼を完了にしても良いだろう。

ゴブリン退治は4人で済んでしまった。

キルがゴブリンの死体をストレージに集めて7人は帰途に付いた。

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