198 土蜘蛛のドトン

正面に忍び装束の男が現れた。

身の丈は180cmくらいのバランスの取れた体型の男だ。


「レスキューハンズのメンバーだな。

やはり仮面のゴテはキルだったようだな」


キルがわざわざ名乗る必要はない。


「俺は土蜘蛛のドトン お前はキルだろう」

名前を知りたいらしいが教えるのは悪手だろう。

何度聞いてきても無駄というものだ。


「ダンマリか。まあいいだろう。

キルだけ殺せば目的は達せられるのだが、もともと皆殺しにするつもりだしな」


土蜘蛛のドトン、名前から考えて土魔法使いに違いない。


「これ以上名を聞いても仕方ないようだな。死んでもらおうか」

ドトンが両手をキルに向けると石礫がマシンガンのように放たれた。


キルは手にしたミスリルの剣の早技で十数発の石礫を切り落とした。


ギョっとするドトン。

「いやはや驚いた剣の使い手だな。

俺のマシンガンバレットをことごとく切り刻むとはな」


ドトンはまだ余裕を見せながら次の攻撃に移る。


ドトンの足元の土が盛り上がったかと思うと巨大な蜘蛛のゴーレムにと変形した。

ドトンはゴーレムの背に乗って上からキルを見下ろす。


「ふふふ、やれ土蜘蛛!」


土蜘蛛ゴーレムの前足が次々にキルへ襲いかかった。


キルは土蜘蛛ゴーレムの攻撃を余裕で躱わす。

そしてキルは土蜘蛛の前足をミスリルの剣で切り飛ばす。


ドトンは土蜘蛛の前足を土から再生させた。


「ふふふ、驚いたか?切っても無駄だぞ。材料はいくらでもあるんだ」

ドトンが自慢げに言い放った。


土蜘蛛の攻撃を避けながらキルは隙を見て土蜘蛛の後ろに周り後ろ足を駆け上った。


土蜘蛛の上でキルとドトンが対峙する。


キルが即座にドトンに切り付けドトンはキルの鋭い斬撃を避けられずに頭から真っ二つに切り裂かれた。


「グワ〜。やられた〜。なんてな」

切られたドトンが土人形になって崩れ落ちた。


土人形?本物のドトンはどこにいるのか?ドトンを探すキル。


土蜘蛛がキルをふるい落とし、前足の攻撃を加えた。


キルはその攻撃をかわしながら土蜘蛛ゴーレムの前足を再び切り飛ばす。


前足一本を失っても事もなげに他の足を使って攻撃を続ける土蜘蛛ゴーレム。


キルは土蜘蛛ゴーレムをメタメタに切り刻んだ。


ブロックのように切り刻まれて崩れ落ち土蜘蛛ゴーレムは動きを止めた。


「それで終わりじゃあないんだぜ」

ドトンの声が響きさっき盛り上がって土蜘蛛ゴーレムが出来上がった場所の土がまた盛り上がりみるみるうちに土蜘蛛ゴーレムができ上がる。


「いつまで続くかな?」

土蜘蛛ゴーレムの背にはドトンが乗っていた。


キルはドトンを睨みつけた。

「同じことを、そんな事で俺を倒せると思うなよ」


土蜘蛛ゴーレムが攻撃を始めた。キルは土蜘蛛ゴーレムの攻撃を交わし腕を切り落とす。


「何度やっても同じ事。こんなゴーレムに俺は倒せないぞ」


キルは土蜘蛛ゴーレムに駆け上りさなかのドトンに斬りつける。


やはり背中のドトンは土人形だった。


背から飛び降り土蜘蛛ゴーレムを切り刻むキル。


3度目の土蜘蛛ゴーレムがまた土の中から盛り上がってきた。


キルは土蜘蛛ゴーレムが立ち上がり前に切り刻む。

またドトンは土人形だ。


「いい加減にしろ!」


キルは土蜘蛛ゴーレムが出てくる地面に剣を突き立てた。


「グワアーーー」


土の中から胸を突き抜かれたドトンがあらわれた。

ドトンは土の中に隠れていたというわけだ。

土遁の術というものだろうか?


「な、なぜわかった?」


「何度も何度もここからゴーレムが現れたら怪しいと思うのは普通だろう」

キルが答えた。


「無、無念だ」

ドトンがばたりと倒れた。


「バカか」


3人目の黒蜘蛛党を倒した。

残りは後4人。


そしてその4人は今キルを取り囲んでいた。



「ドトンを倒すとは…

どうやら俺たちはお前を侮っていたようだ。

全員でかからせてもらうぞ」


2m以上はありそうなゴリマッチョが言った。

こいつが鬼蜘蛛のジャキか?武器はぶっとい鉄の棒、棒術使いのようだ。


鬼蜘蛛の横にはせむしの火炎蜘蛛グレンがいる。


残りの2人が雷蜘蛛のギラリと蜘蛛隠れのスイいうわけだ。


1人は細身で武器は細い金属線のようだ。

時々輝く事で金属線を持っているのがわかるが一見なにも持っていないように見える。


おそらくこいつが蜘蛛隠れのスイだろう。


すると鎖鎌を持ったマッチョ野郎が雷蜘蛛のギラリということになる。

鎖鎌は電撃用か?


キルは油断なく4人に目を配った。


4対1の戦いが今始まろうとしていた。

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