184 キルの進化

レッドドラゴンと戦うのももう何度目になるだろう。


初戦の時と比べればだいぶ余裕で倒せるようになってきている。


できればキル単独で倒せるようになりたいところだが流石に⭐︎6のレッドドラゴンだ。

王級冒険者と互角とされるレベルの強さとされるだけのことはある。


キルも王級スクロール職人だが残り15の戦闘職はまだ聖級だ。

とは言え15職種の進化ボーナスを得ているのでステータス上は王級並みのはず。


手応え的にも最近では単独で討伐が可能ではないかと感じているが、確実に勝てるかと言えばまだ勝率的には50%くらいの期待値だろう。


単独で挑むにはもう少しレベル上げをしてからでないと安全に倒せるとは言えない。

もっとも安全に倒せるってどんだけ強いの?ってことなんだが。


グラ達4人もレベルを上げて王級冒険者を目指している。



レッドドラゴンを退けて第5階層に突入する。

今日は1日この階層でレベル上げの予定だ。


分かれ道に来ると時短のためにキルは4人と別れて別方向に進んでいく。

精霊4体を召喚して5人パーティーのような編成だ。


第5階層は⭐︎5のブルードラゴンが歩きまわっている。


レッドドラゴンより一回り小さく弱いため今のキルやグラ達にとって苦戦する相手ではない。レベル上げには丁度いい相手だ。


5分で見つけ10分で倒しても1時間で4匹しか倒せない。いかに早く見つけ早く倒すかが多くの経験値を稼ぐ秘訣と言える。


6時間後のレッドドラゴン復活に合わせて集合するため、その間に倒せる数は30匹前後だった。それを3ターン繰り返して120匹前後のブルードラゴンを狩った。ダンジョン内でブルードラゴンが湧いてこなければブルードラゴンが全滅する数だ。


ザックリ計算する。

ブルードラゴン討伐1日で経験値にして72000程度。レッドドラゴン4匹で4800。全部でだいたい77000前後1日で稼げるようだ。レベルにして7700という事。

王級になるにはレベル10万にならねばならない。


ここでレベル上げをしていればそれほど遠くない未来で達成が可能だ。

ブルードラゴン、レッドドラゴンの経験値はそれほど大量なのだ。


キルは効率よく経験値を稼ぐために素早い移動に努めて移動時間の節約に努めるのだった。


当然だがブルードラゴンとの戦いも時短の工夫をする余裕ができ出している。

と言うよりこうすればブルードラゴンが爆発と共に魔石に変わるという方法を見つけたのだ。


それはミスリルの剣を突き刺して魔力を剣に流し込む事だった。


そう、シルキーが聖剣ルクスカリバーンでやっていたようにしたのだ。

いや、その前にどこかで同じ事をやった事があるようにも思うのだが、シルキーのやりようをイメージしたのは間違いない。


ミスリルの剣に魔力を流し込むことでそのエネルギーが魔物を破壊するのだった。


これは出来の良いミスリルの剣の持つ力なのだろう。

鋼の剣ではこの現象を起こす事はできない。


おそらく極端に魔力伝導率の良い名刀と言えるほどのミスリルの剣のみに起こせる現象に違いなかった。


その意味で今持っているミスリルの剣は聖剣ルクスカリバーンに近い名剣なのだと思う。


同じミスリルの剣でもグラの持つ剣ではそこまで魔力を流せない。


ミスリルの剣に魔力を流すとその流れ方に抵抗が感じられるのだ。

そして流し続ければ剣が溶解するに違いないと想像できた。


おそらく剣を買った時初めに渡された剣では魔力を流し過ぎると剣自体が溶解するだろう。


今使っている剣だからこそこういう現象が起こせるのだ。

神剣には及ばないまでもそれに近い出来の良い名剣なのだと思う。


「2億は安かった。あの爺さん名工だな。」

キルは独り言を呟いた。


「2本買って良かった。」



夕刻3階層で皆んなと野営をする。

こういう生活を続け6日目には皆んなはパリスに戻りキルはダンジョンにとどまった。


キルは第五階層で1人野営をしながら7日後に第3階層での再会を待つ予定だ。


キルは独りブルードラゴンを狩り続けた。


そして5日目に剣士のジョブから王級に進化が始まった。

⭐︎6のジョブスクロールで高めた15のジョブが次々に王級に進化した。


ステータスが爆上がりしたのだった。

それは神級のステータスに近いレベルのものだ。


そして次の日、スクロール職人のジョブが神級に進化して圧倒的なステータスを身につけたのだった。

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