168 ゴリアテ と お買い物  2

しばらくすると店の奥からゴリアテ姐さんとオカママッチョ店員が出てきた。

このオカママッチ店員がマジキモい。


ゴリアテと店員が並ぶとあまりにも似ている。

店員は店の制服、ゴリアテはビキニアーマー、着ている服こそ違えどもそれ以外は髭の濃さくらいしか違いがわからないような気がする。


ゴリアテさんは女だから良いとしても、店員は男だ。男だよなあ。

まさか髭の濃い女なんて事はないはずだ。


そのオカマ店員がやたらとキルのことを見つめて声をかけてくる。

「ゴテちゃんっていうの?良いお名前ねえ。」


いえ。本当の名前はキルです。ゴテなんてどこが良い名前なんだよ。

なんて口には出せないキルである。


「ゴテは幾つなの?歳よ〜。歳はいくつ?」


押し黙るキル。


「まあ〜。恥ずかしがっちゃって。可愛いわねえ。ゴテちゃん。」

寄るな!触るな!マジキメー!と叫びそうになるのを必死に堪えるキルである。


ゴリアテはビキニアーマーのフィット具合を確かめている。

助けてゴリアテさんと言いたい。


「どうだい?似合うかねえ?」


「今までのと違うんですか?」

違いがわからない男、キルであった。


「同じのだけど調整してもらったからさあ。」

おなじなんかーい。


「似合ってましたよ。前から。」

お世辞でなく似合っていると思う。

完璧怖ーいアマゾネスだが。


「新しいのを買いに来たんですよね?」

不審に思って確かめるキル。


「1式作ってもらう事にした。サイズは測ってもらったから出来上がる頃またくるのさ。」


「なるほど。流石にすぐにはできないんですね。」


「ゴリアテちゃんのはパーツが1つ1つ特注なのよ。だからすこーしお時間がかかっちゃうの。」


そうなんですか、そうですよね。


「よし。次は剣を見に行こう。鍛治屋に行くぞ。」


「あーら。もういっちゃうの〜ン。」


「2週間くらいでできあがるかい?」


「そうね。その頃までに仕上げておくわ〜。じゃあ、またね。ゴリアテちゃん。」


キルとゴリアテは踵を返す。


オカママッチョ店員が投げキッスで見送った。




街をしばらく歩き次の店、鍛冶屋にはいる。


「マーサはいるかい。」店に入りながらゴリアテが言った。


鍛冶屋にはオカママッチョの職人が・・・違う。マッチョな女鍛治師がいた。


「オヤ、ゴリアテじゃないか。剣を作る金ができたのかい?」


「この前グリーンドラゴンを狩ってね。ちょっと金ができたのさ。これで材料揃えてアタイに合う大剣を作っておくれ。」

ゴリアテが金のごっそり入った重そうな袋を渡す。


「ほー。ドラゴンかい。これでアンタもドラゴンスレイヤーだね。で、その子はなんだい?」

マーサはキルに目を止めた。


ゴリアテがキルに目をやってから得意げな顔をする。

「アタイの良い人さあね。ゴテっていうんだ。」


キルは急いで手を振って否定する。

「ゴリアテさん。よしてください。」


「ゴリアテの片思いかい。でもゴリアテは自分より強い男にしか興味ないんじゃなかったのかい?」

キルがゴリアテより強いとは思えないと暗に言っていた。


「コイツはアタイより確実に強いよ。聖級の召喚士なんだぜ。」

この前からキルは召喚士だと思われている。特に否定はしていない。


キルも飾られている盾や槍に目をやった。

ミスリル製の盾や槍は見るのは初めてだ。

パリスでは見なかったなあと思う。


「それは高いぜえ〜。」とゴリアテ。

言われなくても高いのはわかる。


「その盾と槍はミスリルが一部使ってあるから一億カーネルするんだよ悪いねえ。」

マーサがすまなそうに言った。

一億カーネルを持っていないという思い込みからの言葉だ。


キルは金塊を2つ出して台の上に置く。2億カーネルだ。


「手にとって見させてもらっても良いですか?」

目を瞬かせているマーサとゴリアテを横目にキルが槍を手にとった。


「魔力を流して見ても?」


「どうぞ。どうぞ。」マーサが答える。


キルはわずかな魔力を槍に込めた。

槍の輝き方を確かめながら魔力量を調整すると槍の輝きが強くなっていく。


「悪くない。」

つぶやくキル。


剣と比べればかなり劣るようだがこれは職人の腕に起因するのだろうか。

だがミスリルの武器を作れる職人は少ない。

この武器は手に入れておくべきだろうと思うキルだった。


次に盾を手に取る。

そして魔力の通り方を確かめる。


「マーサさん。この2ついただきます。」


マーサはあっけに取られて固まった表情のままカクンと頷いた。

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