166 ゴリアテと『谷間の百合』 4
洞窟に入っていく『谷間の百合』のメンバー達。キルも最後からついて行く。
先頭はゴリアテ、シルキー、マリ、リマ、中衛がスバル、後衛がプリンだ。
つまりキルはプリンの横にいる。
プリンはさっきからキルへの態度が一変している。
さっきまで何か突っかかって来ていたが今は丁寧だ。
尊敬の眼差し?なのだろうか。
突然ゴリアテの怒号が飛んだ。
「ブレスだ!プリン、相殺しろ。」
「@¥###¥¥%〜/」
プリンがハイスピードで魔法を詠唱し大きな火の球が飛んでいった。
前方でぶつかり爆風が戻ってくる。
多少の毒気は残っているようだが影響はないレベルだ。
続けざまにプリンが火の球で攻撃を仕掛け、ゴリアテ以下5人がダッシュしてドラゴンに向かった。
プリンとキルも皆んなに続きダッシュして距離を詰める。
ドラゴンを射程にとらえるまでは近づかなくてはならない。
スバルがドラゴンを射程に捉えて矢を射掛けた。
「強弓!爆弓!」
アーツの二重掛けのようだ。
上級弓使いにしてはハイレベルな事をするなと思うキルである。
キルとプリンがスバルの横に並び、プリンがまた呪文を詠唱し出した。
「@£€###¥€€$〆$$#¥#//¥#¥/」
さっきより強力な炎がグリーンドラゴンを襲う。
「ゴゴゴゴーン」
グリーンドラゴンが爆炎に包まれた。
そこをすかさずマリとリカが槍でつく。
ゴリアテはグリーンドラゴンの爪の攻撃を2本の大剣で受けて防御している。
ゴリアテは本気を出していないなとキルは感じた。
シルキーが剣にエネルギーを込めて何やらアーツを使う気配。
「聖剣ルクスカリバーン!力を見せろ!」
シルキーが叫び剣を振り下ろした。
剣自体の特殊スキルのようだ。
斬りつけた傷から光が広がり、ドラゴンの身体から煙が上がる。
ドラゴンが腰を落として反撃の手が緩んだ。
ドラゴンの身体は光の走った内部から破壊されていたようだ。
聖剣ルクスカリバーンね〜。
聖剣なんて物も有るとは知らなかったと思うキル。
動きの鈍ったグリーンドラゴンをマリとリカが容赦なく突きまくる。
トドメをさしたのはマリのアーツ、無限突きだった。
グリーンドラゴンが倒れて息を引き取る。
ダンジョン内とは違い煙になって消えるということはない。
魔石や牙、鱗などドラゴンの素材は無駄になる所がないと聞く。
これからここで解体が始まるのかと思ってみているとシルキーがマジックバッグを取り出した。そしてグリーンドラゴンを収納する。
ゴリアテが寄ってきて自慢げにささやく。
「凄いだろう。マジックバッグさ。もっともアンタの剣もマジックバッグにしまってるんだろうけどね。」
「かなりの容量のマジックバッグですね。凄いです。」
「アンタのはどのくらい入るんだい?」
「俺のはストレージという魔法スキルです。魔力量に応じて入る量は決まりますね。今はどのくらい入るのか知りませんね。試した事がないので。」
「フーン。容量オーバーになった事はないということか。さすがだね。」
ゴリアテが感心して顎をなでた。
「ゴリアテさん、シルキーさんの剣ってなんなんですか?聖剣なんて叫んでいたみたいですけれど?」
「フフーン。あれかい?」
ゴリアテは得意げな顔をして答えをじらす。
「あれは〜、そりゃあ凄い剣さね。」
凄い剣なのは見ていてわかった。早く教えてほしい。
「あれは聖剣ルクスカリバーンと言ってシルキーの家に先祖代々伝わる剣なんだとさ。シルキーの先祖は勇者だったんだと。その割にはあいつは聖騎士なんだけれどな。」
勇者の末裔って、凄いんじゃないの?
聖剣持ってるの?凄いなあ。そんな人初めて見たと思うキルであった。
聖剣の力で特級以上の戦闘力を手にしているということか?それでリーダーなのか?
「どうしたい。シルキーに惚れちまったか?」
ニヤニヤしながら聞いてくるゴリアテにキルは答える。
「あ、それは全然ないですから。そんなので人の価値は決まりませんよ。持ち物で決まったら大変です。」
だが戦闘力は武器によって大きく変化する。
それは間違いない事実だとキルは思った。
「さあ、帰ろうかねえ。」
シルキーの言葉に『谷間の百合』はホームに帰るのだった。
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