163 ゴリアテと『谷間の百合』 1
ルクスブルクに馬車がつき、キルはゴリアテに案内されて彼女について行った。
「あんた、ドラゴン狩った事あるかい?」
「単独でですか?」
「ブッツ!」
ゴリアテが吹き出してからキルを見返す。
「単独では無いですが、パーティーでなら有りますよ。」
慌ててキルが答えを返した。
「勿論パーティーでの話を聞いたんだ。アタイの見込んだ通りの様だな。」
ゴリアテは顎を撫でながら感心した。
ゴリアテの視線を避ける様に横を向きながらキルは続けた。
「鎧竜、ブルードラゴン、レッドドラゴンは狩った事があります。」
「良いね。アンタには、ドラゴン狩りに付き合ってもらいたいんだが、どうだね。」
「ヒ、、東に戻るのは嫌ですよ。」
「南の方にドラゴンが住み着いて困っているらしい。」
ゴリアテは東では無いと否定する。
「レッドドラゴンを2人で狩るのは無理だと思いますよ。」
キルはできれば無理な戦いには参加したく無い。
「これからアタイのパーティーを紹介するよ。それを見て決めとくれ。」
「貴方レベルが5人はいなければ、いやいてもレッドドラゴンは無理ですよ。」
キルはメンバーを見る前から無理だと言った。
なにしろルクスブルク唯一のS級冒険者がゴリアテなのだから。
「あはははは、アンタのパーティーはどれだけ強いんだい。レッドドラゴンを倒したことがあるんだろう?」
ゴリアテが額に手を当てて笑い出した。
「その時は助っ人として参加しただけですよ。」
「なるほど。強い奴らが集められたって訳か。」
1人で納得するゴリアテの誤解は放っておくキル。
「アタイが思うに鎧竜だと思うよ。空を飛んだとは聴いてないからね。」
「それなら貴方1人でも余裕で狩れるでしょう。」
暗に自分の加勢は要らないだろうと言うキル。
「そんなものかい?実はアタイはまだドラゴンとはやりあった事がなくてねえ。アンタみたいな経験者が居ると実に心強いねえ。」
ゴリアテは建物の中にキルを招き入れた。キルはゴリアテの後ろから続く。
「あ! ゴリアテ姐さんが男拉致って来た。」
「バカ言うんじゃ無いよ!誰が拉致って来たってかア!」
怒鳴られた女が家の奥に逃げ込む。
するとドヤドヤと女が5人ほど奥から出て来た。
「その子はどうしたんだい?ゴリアテ。」
まるで誘拐犯扱いだ。確かに誘拐されて来た様なものだと思うキル。
「事情があるらしくて、匿うことにした。事情は聞かないでやってくれるかい。」
5人の目がキルに注がれる。いずれも上級以上はありそうな強そうな雰囲気を発している。怖い。
「なるほどね。訳ありでも助っ人としては頼りになるてことかい?凄い強さを感じるねえ。」
この女も只者では無いらしいと思うキル。どんどんヤバくなっている様な気がする。
「私はシルキー、このパーティーのリーダーで特級聖騎士だ。あなたの名は?」
「コイツは名も言いたくない様なんだ。聞かないでやってくれ。」ゴリアテが助けにはいった。
「すまなかった。追われる身か?なるほど聞かないほうが良いな。強いやつは国から狙われたりする事もあるからな。もう聞くまいよ。」
さっしがいいのは助かる。
それにしてもゴリアテといいシルキーといいコイツらどうしてオレの事情がわかるんだ?不思議になるキル。
「アタイがメンバーを紹介するよ。
さっきの失礼なチビが特級魔術師のプリン。
そこの双子が上級槍使いのマリとリカ。
背のそこそこ高いノッポが上級弓使いのスバル。
これがAランクパーティー『谷間の百合』さ。」
この街ここだけで聖級1人に特級2人とはレベル高すぎだな。他に強い奴はいないのだろうか?
「大丈夫だ。取ってくいやしないよ。」ゴリアテが青ざめた顔のキルに言った。
「名前がないと呼びずらいから仮に此処での呼び名を決めましょう。」
シルキーの提案にゴリアテが答えた。
「アタイが見つけて来たんだからアタイの名を取ってゴテで良いかい。」
何でゴリアテから名をもらうんだ〜。ゴリアテの所有物みたいじゃないか〜。
「アタイんだから良いだろう。」
て、俺はゴリアテのものじゃないんですけど〜と思いながら此処は黙っているキルである。とにかく怖い。
「ゴテさんはジョブはなんなのか教えてもらっても良いかな?」とシルキー。
もうすっかりゴテになってるんですけどー。
「、、、、」
黙っているキルにゴリアテが助け舟を出す。
「それも身バレの元だから聞かれたくないんだろう。許してやってくれ。ただ剣は持ってるな。」
「そのボロ剣は偽装ようだろう。」と言うのはプリンだ。
「コイツ、並々ならぬ魔力を感じるね。魔法系なんじゃないかい。」
「いや、剣も使えそうだな。まあ良いか。どちらにせよ戦力にはなりそうだ。」
シルキーさんもう勝手に戦力に入れてるよ。まだ手伝うって言ってないんですけど。
こうしてキルは『谷間の百合』に匿われることになった。
(拉致られた?)
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