161 逃亡生活 1
翌朝、キル達レスキューハンズと天剣のキラメキはホーム前から上空へと飛び上がった。
監視していた教会の手の者と思われる人間もなす術がなかっただろう。
キル達はフクラダンジョンまで一っ飛びで移動した。
そして何事もなかったかの様にダンジョンに潜って行った。
第3階層まで寄り道をせずに進みフロアボスの近くで天剣のキラメキと二手に分かれる。レスキューハンズは第3階層が狩場で有る。
キルと天剣の4人はフロアボスを倒して第4階層に移動鎧竜を狩り出した。
フロアボスの近くまで寄り道無く進みフロアボスのレッドドラゴンとの戦いに臨む。
レッドドラゴンとの2度目の戦いだ。聖級精霊4体と共にドラゴンに挑んだ。
土精霊を倒されると言う想定外の事態が起きたが最終的には押し勝ってレッドドラゴンを倒す事に成功した。しかしこの戦いは長丁場になる。
レッドドラゴンは流石に王級の魔物。
聖級が9人がかりでも簡単には倒せなかた。
1時間の休憩を挟んで第五階層のブルードラゴンを狩り始め4時間で5階層を切り上げる。ブルードラゴンの魔石は16個ゲットした。
その後は第4階層で鎧竜を狩り続けた。
夕刻にツインヘッドシルバーウルフを倒し3階層のメンバーと合流、野営の準備だ。
こうして6日が過ぎ帰還の時となった。
レッドドラゴンの魔石は5個、ブルードラゴンの魔石は80個だ。
ツインヘッドシルバーウルフ10鎧竜360と合わせて魔石代は2億7000万カーネルになる。
これを借金返済に充てる為魔石はキルがもらい受けた。
まだ借金は返し切れてはいないがその分はクランの面倒を見てもらう事でチャラにする事に。クランに金を入れてもらっても差し支えない。グラ達ならそうしそうだとキルは思った。
そしてキルは第3階層の野営地にそのまま数日滞在してから人知れず旅立つ予定だ。
第3階層で別れが行われた。
「キル先輩どのくらいで戻ってくるつもりっすか?」
「最低3ヶ月は戻らないほうがいい様な気がするな。すぐには俺の死亡を信じたりしないだろうからな。」
「長いですわね。」
「早く帰って来て下さい。」「うんうん。」
「訓練をサボらずに待つことにするぞ。強くなっているから楽しみにしていてくれ。」
「ユミカらしーわねー。」
「「わーーん。早く帰って来てね〜」」
キルに抱きつくルキアとモレノ。
2人をなだめて送り出した。お父さんか?1歳違いなのに。
皆んなが去ってからツインヘッドシルバーウルフを倒して第4階層で鎧竜を倒し出すキルだった。
冒険者証はグラに預けてしまっているので此処での狩りはギルドに伝わらないはずだ。
聖級精霊4体を呼び出して5人パーティーだ。それでも1日で80体の鎧竜を倒した。
4日間ダンジョン内で過ごしてから地上に戻った。真夜中のことだった。
そしてパリスとは逆の方向に飛行してフクラダンジョンを去っていった。
1時間ほど飛行して小さな街灯りを見つけそちらを目指して飛行を続けた。
真夜中で街に入っても宿屋など開いてはいないことに気づき森の中で野営をすることにした。
翌朝その街に寄って食糧を調達。パンや饅頭などテイクアウトの食糧を目立たない量づつ買い集めてストレージに保存した。その際小銭を使う事は忘れない。
そして昼より前にまた目立たぬ様に空を飛び始める。
できるだけ遠くの街まで足取りは残さないに限るのだ。
3つほど街を飛び越し夕刻4つ目の街に入って宿屋を探した。
あまり高級では無くどちらかと言えば安宿に属するであろう部類の宿屋、地方から出て来た若造がはじめに止まりそうな最低ランクではないがそこそこ低ランクの宿を見つけて宿を取った。
宿帳には偽名でキルではなくキラと書いた。似ていては不味かったかと後で後悔した。
此処で3ヶ月、ほとぼりが覚めるまで暮らしてみるか?あるいは次の街に流れて行こうか?
部屋に篭ってMPを使いスクロールを作る。神級スクロール職人になるまでは続けるつもりの習慣だ。
そして十数日ぶりにベットで深いねむりについた。
窓から差し込む光に目を覚まされてベットから起き出すキル。
この街で暮らすかそれとも次の街に流れて行こうか?などと考えながら部屋を出た。
宿屋の1階に狭いながらも4卓のテーブルと椅子がありそこで朝食が出されるはずだ。
朝飯付きで5000カーネルは部屋を鑑みれば良心的だろう。
「オヤ、お目覚めかい? 朝飯はテーブルにかけて待ってておくれ、すぐ持って行くから。」
宿屋の女将は気さくな感じの人のようだった。
「はい。じゃあそこで。」
キルは手前のテーブルを指差してからそのテーブルに腰掛けて待った。
朝食はすぐに運ばれて来た。
「あんたこの街に仕事を探しに来たんだろう。チョット時期はずれだけれどそのほうが仕事は見つけやすいかもしれないよ。」
よく喋る女将さんだなあと思いながら
「はい。そうです。」と答えるキル。
「あんた可愛い顔してるからきっとすぐに見つかるよ。なんなら紹介してやろうかい。年は幾つなんだい?」
「14ですけど。」
いかんいかん。なんだかこの女将さんのペースにはまってしまいそうだ。
キルは話を打ち切ろうと焦るのだった。
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