140 メンバーの成長

夜野営をするために第2階層のケーナ達と合流する。

第2階層に移動するに当たってはツインヘッドシルバーウルフとブラッドオーガを倒してからだ。フロアボスの討伐は時間的ロスが無いようにこなしたい。


みんなと合流して今日の様子をクリスに聞いてみた。

「危ない事は無かったかい?」


「大丈夫でしたわ。」

クリスが笑顔で答えた。流石に貴族出身なのでどことなく笑顔にも気品がある。


「このフロアーは余裕っすよ。3階でも大丈夫かなと思うっす。」

ケーナは少し物足りないのか第3階層で狩りをしたい様だ。


「第2階層のフロアボスを8人で倒せたら第3階層で狩りをしてもいいかもなあ?その時は全員が複数の上級職を持っていた方が安心なんだがなあ。」


「⭐︎1〜3のジョブスクロールを買ってレベルアップするんですか?」

とエリスが効いてきた。残りのみんなもキルの方を見ている。


「そうしてくれるとステータスが上がるから今より安心なんだけれどな。」


「私は別にそれでいいわ。」

マリカがそういうとルキアとモレノも「「良いですよ。」」と同意した。

ユリアも頷いている。水色の長い髪が揺れていた。


「みんな同意してくれたみたいだから⭐︎1〜3の盾使いのジョブスクロールを渡す事にするよ。ルキアは剣士で良いかな。費用は精算の時に相殺するからね。」


キルはエリス、ユリア、マリカ、ルキア、モレノに⭐︎1〜3のジョブスクロールを渡した。


おそらくすぐに⭐︎3までの討伐経験値は貯まるはずだ。

全員が二つ以上の上級職を持つ様になりそうだ。

クリス、ケーナ、ユミカはすでに4つの上級職を持っている。

他の上級冒険者より全然強いに違いない。


5人はジョブスクロールを一気に使いこれから経験値を得れば進化していくはずだ。


「5人が今身につけたジョブが上級職に進化したらフロアボスにチャレンジしよう。多分次回か今回の最終日には進化できるだけの経験値は獲得できるはずだ。」


「明日中級になったら前倒しでフロアボスにチャレンジしても良くないっすか?」

「私もそう思いますわ。」

ケーナとクリスは早く第3階層で狩をしたい様で有る。

そして充分にその力があると思っている。


中級への進化はすぐに起きるだろうと思われた。

レッドオーガを10匹倒せばレベル10で中級に進化する。

仮に8人が10匹ずつ80匹倒せば5人は中級に進化するわけだ。

これは1日で可能である。前回8人で1日100匹前後レッドオーガを倒している。

100匹ずつ倒せば上級に進化するわけである。つまり第2階層で狩を続ければ10日前後で上級に進化できるという事だ。


⭐︎1以下の魔物を倒せば討伐経験値は1増えるが⭐︎2の魔物を倒せば討伐経験値は10増えるからだ。討伐経験値はトドメを刺した冒険者に入る様である。⭐︎3の魔物を倒せば入る討伐経験値は50で有る。


8人がレッドオーガ100匹ずつ800匹倒せば全員上級に進化できる計算だ。

その点では第3階層でシザードウルフチーフを倒せば経験値が50増えるのだから早く進化できるに違いない。


翌日の夕刻全員が中級に進化した。キルが第3階層の方から戻って来る。

そして明日は最初からフロアボスに挑むことで話はまとまった。

キルはもしもの時以外は手を出さずに後ろから様子を見る事になった。


キルが合流して3日目の朝、8人はフロアボスのブラッドオーガと戦った。

結果は圧勝であった。⭐︎4のブラッドオーガを圧勝したのである。


考えてみれば当たり前か?

こちらは上級冒険者が8人しかもそのうち3人は上級職を4つ持っている。

残りの5人は中級ジョブを二つ目のジョブとして持っている。

ただの上級冒険者よりステータスが上まわっているのだ。


トドメを刺したのはクリスの魔法攻撃だった。クリスもかなり強くなってきた様だ。


そして第3階層でシザードウルフチーフ達を狩り出した。

こちらも余裕で倒していた。


みんな強くなってきたのだなあ、、と思うキル。

この調子でいけば自分は狩りに参加しなくても良さそうだなと思うキルである。


生産者ギルドで言われたように、もう戦って命を落とすことがないように気をつけるべきなのだ。

それが当たり前の考え方だろう。スクロールをつくっていた方が稼ぎも良いのだから。


そういう考えとは裏腹に強くなりたいという思いも湧き上がって来る。

これは本能なのだろうか。


ボチボチやっていけば良いか?休み休みで、、、ここのところ頑張りすぎていたかもしれないよな。スクロールの材料も彼女達がゲットしてくれそうだしな。


今回はキルは第4階層で狩りをする事にして第3階層のフロアボスを狩りに行く。

もう第4階層での狩も危なげなく鎧竜を狩ることができている。

危ないのは初めの時だけだな・・・と思うキル。


やはり未知の魔物との戦いは緊張する、2度目3度目と戦えば戦うほど無難に戦える様になるものだ。


第4階層で狩りをしているうちにキルの剣士、魔術師その他のジョブが聖級に進化した。

ツインヘッドシルバーウルフの魔石を使って全てのジョブを⭐︎5にしておいたので一気にステータスが大上がりした。これは嬉しい。


そして今回のダンジョン攻略も予定日数を終えて帰途についたのだった。

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