139 第4階層の怪物
キルは第4階層を進んでいった。
索敵によればもうすぐ敵と遭遇するはずだ。
目の前の角を左の曲がった少し先にいるから角を曲がればすぐに視認できるはずで有る。
鎧竜の様に感じていたが、確実かと言われればそうとも言えない。
なにせ戦った事も見た事もない相手。ただ魔石を使ったことがあるだけだ。
角まで来てからキルは慎重に覗き見た。
そこには鎧竜の恐ろしく強そうな姿があった。
鎧竜はドラゴンの仲間だが空を飛ぶ羽は持っていない。
その名の通り硬い鎧の様な外皮に覆われている。
亀の様な甲羅というのが近いのかもしれないが亀ほど丸くはないし少し違う。
体型的にはコモドオオトカゲで有る。
センザンコウという動物を知っているならそれの方が似ていると言える。
頭から長い尻尾、手足まで硬い板状の鱗が覆い尽くしている。
それがまるで鎧の様に身を守っているのだ。
口はワニの様に大きく裂けていて牙は鋭く攻撃の主体はこの顎と歯による噛みつきで有る。動きはそれ程遅くは無く普通に早いと言える。
鱗の集まった鎧は可動域が多く柔軟な動きを可能にしている様で有る。
そして爪も長い。
特に前足の爪は長く穴を掘り進むのに使っているらしいが攻撃に使っても強力な武器で有る。
防御力特化型だが物理攻撃力もスピードも侮れない。魔法はブレス以外は使え無さそうだがそれでも流石は竜種と言っても良いほど強そうであった。
並の攻撃では鎧の防御を貫通できそうがなかった。
3体の特級精霊に攻撃をしてもらう。
水精霊の攻撃水牢獄に閉じ込めて窒息を狙う。
防御力が強いのでこれが1番効果的だ。
と思ったがブレスを吐いて牢獄を壊してしまった。
簡単にはいかない。
やはり攻撃の量でダメージ効率の低さを補うしかないだろう。
時間をかけてダメージを蓄積させて遂には倒す。
これしかない。
なんとも面倒だがキルと3体の特級精霊に総攻撃されて結局は倒すことはできた。
次からはもっと切れる剣を手に入れておく必要がありそうだ。
鎧を切り裂ける剣があればもっと簡単に倒すことができるはずだ。
1匹倒すのに5分以上攻撃し続けやっと倒すことができるようだった。
3時間で18匹倒し魔石を手に入れた。
キルは回避力が高いので攻撃を躱わすのは容易だが精霊達は時折攻撃を受けて倒されることもあった。
精霊はまた呼び出せば呼び出せるのでそれで戦力ダウンという事にはならなかったが。
3時間で第4階層を引き上げ第3階層に戻る。
第3階層のフロアボスの魔石が欲しいので復活に備えて楽をするつもりだ。
同じ⭐︎4の魔石ならブラッドオーガの方が倒しやすい。
それに数が必要なのは⭐︎3や⭐︎2の魔石なのだ。
キルは、半分の時間はシザードウルフチーフの魔石を集める事にした。
そしてブラッドオーガの復活を待ってブラッドオーガを倒し、引き返してツインヘッドシルバーウルフの復活を待つ。
ツインヘッドシルバーウルフとの2度目の戦いは一度目よりも楽に倒すことができた。
いつの戦いでも初めての魔物と戦う時は勝手が判らず苦戦するものだが2度3度と戦うほどにその戦いに慣れてきて楽に戦える様になるもので有る。
2度目の戦いも最後はキルがウルフの首を切り飛ばして魔石に変えた。
ウルフの防御力よりも鎧竜の防御力の方が強いようで有る。
その後はまた第4階層で鎧竜の狩りで有る。
前回同様精霊の助けを借りながらの近接戦闘だ。
しかしこれ程防御力の強い魔物を立て続けに攻撃していては剣の痛みが早いのは当たり前だ。キルの剣ももう限界が近いかもしれない。ついこの前剣を新調したばかりだというのにだ。
とにかく硬い奴らと戦うのは武器の寿命を短くする。
こいつらと戦うのは予備の剣をいくつか持っていた方が良さそうだと思うキルだった。
キルは剣をしまい槍を出して使ってみる事にした。
柄まで全て金属でできている高級品だ。
そして重い。
木の柄の槍とは重さが圧倒的に違う為その槍を自在に振るのは相当な力持ちで有る。
初級、中級の槍使いでは振り回す力はないだろう。
だからこの手の槍の使い手は上級職以上なのは間違い無い。
槍で殴られた時の威力も圧倒的に強力だ。
木の棒で殴られるのと鉄の棒で殴られるのではダメージが全然違うのは言わずもがなだろう。
しかし鎧竜相手では大したダメージにはなっていなさそうだ。
それ程に外部装甲の鎧が強力なのだ。
こういう相手には大斧やハンマーの様なものの方が有効なのかもしれない。
槍で殴っても大したダメージにはならないし槍で刺しても正面からでは鱗の間を突き抜くこともできない。
唯一有効なのは後方から鱗の間を突き抜くことだが角度的にも狙うのは難しい。
結局は硬い鱗を貫くだけのパワーが必要なのだ。
こういう硬い装甲を豆腐を切る様にスルリと切れる武器が欲しいものだと思うキルで有る。
戦っていくうちに鱗に守られていない口の中や目から頭部を貫くしか狙い目はないという結論に達した。
鉄の槍は折れる心配はあまり無い。深々と突き刺しても槍に回収は可能だろう。
キルのスピードと器用さのステータスの高さから言えば目や時々開ける口の中を狙うことはやさしかった。
そして狙い目が決まってからは鎧竜の討伐はやりやすくなった。
そのおかげで3時間で24匹の鎧竜を倒すことができた。
そしてまた第3階層に戻りシザードウルフチーフ達を狩るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます