138 フロアボス 第3階層の戦い
キルは覚悟を決めてとうとうフロアボスに挑むことにした。
そして精霊達を引き連れてボスと向かい合う。
フロアボスの姿を見て予想が外れたことに驚く。
フェンリルではなさそうだ。
キルはボスはフェンリルに違いないと思っていたのだ。
だがその大型の犬型魔物には大きな角を持つ首が2つあったのだ。
全身は鋼の様に銀に輝く毛で覆われたその体は高い物理耐性が有ると推測された。
そしてその柔軟そうな筋肉は速いスピードをもたらすに違いなかった。
キルはその攻撃に備えて身構えた。
ツインヘッドシルバーウルフ、、、、鑑定スキルで一部の情報、名前くらいはわかった。Sランクの魔物で有る。
その銀の毛皮は高い物理、魔法双方の強力な耐性が有り寒冷地の冒険者の最高級防具の材料で有る。勿論伝説的素材でも有る。
つまり、、、魔法攻撃も物理攻撃も効きづらい、、、ということだ。
キルが観察している間に精霊達が攻撃を開始した。
キルは後方からサポート役に回ることにする。
ツインヘッドシルバーウルフが攻撃魔法を使おうとした時にマジックブレイクで打ち消すのだ。
特級精霊4体との4対1の戦いが続く。
回避力の高いウルフは半分以上の攻撃を回避している。
そしてダメージも甚大というわけではなさそうだ。
ジリジリと削って行くイメージで有る。
それに反して精霊達のダメージはかなりのものだ。
手数が4対1と圧倒的に多いため避けることが大変でウルフは攻撃がたまにしか出せないがその攻撃は当たれば一撃で見てもわかるほどのダメージを与えている。
キルによって魔法攻撃は相殺されているにも関わらず、物理攻撃のみで4体の精霊達といい勝負になっているのだった。
マジックアビリティキャンセルとマジックリフレクションシールド、この2つをうまく使わなければと思うキル。
アビリティキャンセルはかなりの確率で成功しない様な気がする。相手の方が知力のステータスが高いと成功率が極端に下がるらしいのだ。
だから高レベルになればなるほど魔術を封じ込めるのは難しい。
とにかく試しに封じてみることにする。
魔法を放つ2つの首からの魔法を確実にマジックブレイクで相殺しながら隙を見てアビリティキャンセルを使おうとする。
動きが素早いので狙いが定まらずなかなか打つことができないでいると、炎精霊の火炎が当たり隙ができた。
キルはその隙を逃さずマジックアビリティキャンセルを放った。
そしてウルフの魔法を封じたかに見えた。
だがウルフは構わず魔法を放とうとしてその封じ込めを打ち破った。
ウルフの頭のあたりで封じられた魔法が爆発した。
自分の魔法の自爆で傷を負うシルバーウルフ。
だがおかげでマジックアビリティキャンセルは相殺された様だ。
4体の精霊がそこを逃さず攻撃を加えた。
躱わすことができず何発も攻撃を受けるシルバーウルフ。
耐性を持つといえどもそれなりのダメージを負った様で有る。
キルはもう一度マジックアビリティキャンセルを放った。
ウルフは完全に魔法を封じられる前に相殺しなければ魔法が使えなくなってしまうのでもう一度無理やりのマジックアビリティキャンセルを打ち破るしかないだろう。
そしてもう一度自爆によるダメージを受けるに違いない。
そして思った通り自爆による魔法封じは相殺された。
精霊達はその隙を逃さず攻撃を続けた。
かなりのダメージを受けながらも攻撃をかわそうとしながら遠くに飛び下がるウルフ。
息が上がっている。
キルは3度目のマジックアビリティキャンセルを放った。
これを繰り返していればかなりのダメージを与え続けられる。
だがウルフは今度はマジックアビリティキャンセルを打ち消そうとはしなかった。
完全に魔法を封じられたウルフ、もう物理攻撃だけで戦うことに決めたのだろう。
そして精霊4体に対してスピードと物理攻撃で立ち向かった。牙と爪による攻撃だ。
魔法を封じられたウルフに対してキルも精霊4体と共に剣を取って戦いに加わる。
5対1の戦いだ。
2つの首を持つウルフだったが全ての攻撃を避けきれず受けた攻撃により徐々に動きが悪くなっていく。そしてとうとうキルの剣がウルフの右首を切り飛ばした。
爆炎と共に魔石に変わるウルフ。
キルはその魔石を取り上げてその魔石が⭐︎5で有ることを確かめた。
「ヨシ!」
小さく呟くキルであった。
少し時間がかかったがそれ程危険な思いはしなかったな、、と思うキル。
第4回層を見てみようか?
おそらく⭐︎4レベルの魔物が徘徊しているに違いない。
ブラッドオーガレベルの魔物ということだ。
今のキルならばさほど問題無く倒せるだろうと思うキル。
6時間の間ツインヘッドシルバーウルフは復活して来ない。
帰りにツインヘッドシルバーウルフと戦う余裕が無いと困るので意識しておくことにしよう。
キルは第4階層に踏み込むのだった。
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