121 レスキューハンズ Bランクに上がる

今日はフクラダンジョンに行く。

朝ご飯を食べてフライで3時間、フクラダンジョンに到着した。

マジックバックの中には鍋いりの熱々の料理がたくさん入っている。

鍋の数は5つ。パンもたくさん入っている。

ダンジョン内でも美味しいご飯が食べられるだろう。


11時からダンジョンに入り一直線に第2階層を目指す。

グレートミノタロスは倒された状態でまだ復活していなかった。

そのままスルーだ。


ブラッドオーガの前まで来るのにおよそいつも通りミノタロス10、レッドオーガ10と遭遇して魔石をゲットした。


キルはブラッドオーガを倒して1人第3階層に入って行った。

前回同様の組み分けで同じ様に魔石をゲットしていく。

ただ違うのはクリスが強くなっていた事だ。そして夕方にはクリスの進化が起こった。


夕食の時にクリスが強くなりたいためにジョブスクロールを買った事が知れ渡る。

「自分もスクロール買って強くなりたいっす。」

ケーナも強くなりたかったらしい。


「スクロールはいくらでも売ってあげるよ。」とキルは答える。

みんなが欲しいのなら皆んなに売ってやっても良い。


「私も強くなりたいぞ。ジョブスクロールを売ってくれないか。」

そう言ったのは拳闘士のユミカだ。


「他にはいないかい?今から売ってあげるから言ってくれるかな?」


その他の子達は別に強くなりたいわけではない様だ。


「じゃあ2人にはジョブスクロールを売ってあげるけれど何が欲しい?

クリスは剣士と盾使いと槍使いを⭐︎3まで買ったけれど?」


ケーナとユミカは顔を見合わせてから声を揃えて答える。

「クリスと同じで!」


「わかった。じゃあこのダンジョンから出たら精算って事でスクロールを渡すからね。」とキルがストレージからジョブスクロールを取り出して渡す。

⭐︎1盾使いのジョブスクロールが足りなくてその場で作って渡す。


2人は⭐︎3までの3つのジョブを身につけた。


いつもの様にキルはスクロール作りをし、ブラッドオーガが復活するとブラッドオーガを倒して魔石をゲットした。

ただ前回と違うのはスクロール作りに時間がかからないという事だ。


翌日もその次も同じ様に魔石をゲットし続ける。

予定は5日ダンジョンで魔石を集め6日目に帰るつもりだ。


キルは第3階層のボスをなんとか倒したいが恐らく⭐︎5クラスの魔石を持つ魔物だとするとSクラス、1人で挑むのも危険すぎるし他の冒険者パーティーも第二階層で戦っていて第三階層には入ってこない。


どこか他のパーティーが戦うところを見れば多少は見当がつくというものだがそういうパーティーは現れそうがないのだ。

普通に考えれば最低でも剣士のレベルが聖級になるのを待つのが順当というものだ。


こうしてキルはフロアボスに挑むこともなくシザードウルフチーフ達を狩るにとどまるのだった。暫くはこの方法がルーチーンワークになりそうで有る。


1日フルで狩りをすると1日平均キルがシザードウルフチーフ70、シザードウルフ140、ブラッドオーガ4で、メンバー8人はレッドオーガ97であった。


行き帰りはフルに戦わないので6日間の狩りでフルに狩りをするのは4日だけで有る。

この間にケーナとユミカは剣士、盾使い、槍使いのジョブで上級に進化した。


そして前回同様ブラッドオーガを倒してからパリスに引き上げるのであった。


暫くはこのパターンを繰り返し、キルが聖級剣士に、他の8人が特級に進化するのを待って第四階層のフロアボスに挑む方向で良いのではないだろうか。


パリスに戻って来るとホームの帰り道で冒険者ギルドに顔を出す。

出かける前に解体を頼んだワイバーンの魔石とお金を受け取り、掲示板を見ていると緊急クエストが掲示されていた。


『 ウルテッド森林の魔物の大量発生に対する魔物の間引きと原因の調査  』


森の魔物は見つけにくく急襲され易いので狩場としてはあまり安全性が高いとは言い難い。

索敵を持つキル達ならば急襲されることはないだろうが火魔法は使い辛いし遠距離攻撃も射線が通りにくい。

あまりやりたくない依頼なのは間違いない。


「これはパスだな。」とキルは小さな声でつぶやいた。

昼時の冒険者ギルドにはあまり冒険者はいない。皆働きに出ているのだから。


受付からケイトさんが出て来てキルに話しかけて来た。

「キルさん、こんにちは、今日は依頼をお探しですか?」

ニッコリ笑顔のケイトさん、何か頼み事があるのだろうか?


「いえ、今ダンジョンからの帰り道の途中でちょっと寄ってみただけです。これからホームに戻って一休みしようと思っています。」引き気味に答えるキル。


メンバー達がケイトを囲んで口々に感謝する。

「ケイトさん、キルさんを紹介してくれてありがとうございました。」

「ケイトさんありがとうございます。ケイトさんがいなかったら田舎に帰っていたと思います。」

「ケイトさんがキルさんを紹介してくれたおかげでとても強くなれました。ありがとう。」


ケイトさんって人気があるんだなあと思うキル。


ケイトはキルに話しかける。

「キルさん、この前のワイバーン狩りで120匹のワイバーンを解体に回した件ですが」


驚いて何か不味かったかと思うキル。

「どうかしましたか?不味いことでもあったのですか?」


「イエ、とても評判になってまして、1日であれ程のワイバーンを狩って来るパーティーはランクを上げようという話になりました。」


クリス以外のメンバーは喜びながらもワイバーンの討伐は知らないという顔だ。


「それでレスキューハンズをBランクに認定してメンバーの皆さんのレベルも1つずつあげようということになりました。キルさんがA、ルキアさんとモレノさんがC、他の皆さんはBランクの冒険者になります。これが冒険者者証です。」

ケイトが微笑みながら皆んなに冒険者証を手渡した。

ケーナは据え置きだがそれには納得している。


「本当はAランクのクランにしても良いんでしょうけれどもね。まだ皆さん冒険者になったばかりですし、今後に期待ということになりました。」


皆んなは冒険者証を受け取って大喜びをするのだった。

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