117 ゼペック工房の引越し 2

「キルさんや、、、すまないのう。どうも行き来が面倒になってのう。」


「イエイエ、俺としてもその方が都合が良いのです。それでは後で工房の荷物をホームに運びましょう。」


「自分、運ぶの手伝うっすよ。」ケーナがそういうと他のメンバーも手伝うと言い出した。

勢いそのままゼペック工房に行き荷物の運搬が始まった。

といってもストレージに入れてくるだけだから手伝いも何もあまり必要なかったのだけれど。

大きめの家具とかの位置の設定の時に手伝ってもらうくらいしか彼女達の出番は無かった。

でも手伝ってくれるという気持ちが嬉しいのだった。


午後1時くらいにはゼペック爺さんとキルの引越しは終わり残りの時間は自由時間にする。勿論明日はお休みの日の予定だ。


キルは⭐︎2のジョブスクロールを作ることにする。

今日はMPを使い切っても問題ないのでMP20万分だけ⭐︎2のジョブスクロールを作ろうと思う。500枚のスクロールを作る予定だ。


500枚も作るとなると8時間くらいかかってしまう。

晩御飯を挟んでなお作り続けなければそれだけの枚数は作ることができない。

300枚作った時点で晩御飯の時間になった。


晩御飯は全員で食卓を囲みクッキーの手料理で舌鼓を打つ。

「ダンジョンの中だとこういう美味しい料理が食べられなくて困るよね。」

マリカが愚痴をこぼした。


「マジックバッグに鍋ごと入れておけば大丈夫なんじゃないの?」

エリスが言うとみんながエリスの顔を見つめた。


「それ、、、良いね。」モレノがルキアの顔を見る。

ルキアも首をなん度も縦に振った。


「そうだなあ。それは大丈夫だぞ。今度大きな鍋を幾つも買って入れておくか?」

キルは知っていたけれどもパンとか饅頭の様なテイクアウト品しか収納しなかったし鍋ごとと言うのはやってこなかった。

そもそも食事メニューのほとんどが焼肉だったのだった。

肉はストレージにたくさん入れてある。


鍋料理はクッキーに作って貰えばその鍋ごと入れておくことができる。

幾つも幾つも日数分入れておけば良いのだ。


みんなが鍋ごと収納する事に賛成した。


「明日は休みだからクッキーはできるだけ料理を作ってマジックバッグに収納しておいてくれ。ケーナはマジックバッグに鍋ごと入れておいてくれ。できるだけ熱々の状態のものが良いぞ。」


「わかったっす。任せてくださいっす。」ケーナが大きくない胸をポンと叩く。


「明後日はまたダンジョンに潜る予定だから明日は自由行動だけれど、十分に楽しむ様にね。」


「あの〜、」マリカが発言を求め、キルが話を聞こうとマリカを見る。


「もう少し長めのお休みが欲しいんですけれど。ダンジョンは明々後日ではだめでしょうか?」


みんなの目がマリカからキルに向けられた。

どうやらみんな休みが欲しいという顔をしているように見える。


キルは空気を読める男だ。此処は休みにしてやる事にした。

「わかった、ダンジョンには明々後日に出発する。休みも良いだろう。」


「「「やったーーー!」」」

みんなが喜びの声を上げた。


みんなが喜んでる様なのでそれで良いだろう。


食後スクロール作りの続きを行う。

残りの200枚を作り終えもっと時間がかからずに作る事ができないだろうかと考える。

そうだ、何かいいスキルがあるか聖級スクロール職人のアーツ(紋様辞典)で探してみれば良いのだ。

聖級の紋様辞典のアーツでは聖級までのすべてのスクロールの紋様とその詳細を知ることができるのだ。

聖級スクロール職人のアーツでストレージ内スクロール作製というものがあった。ストレージ内に有る材料を使いストレージ内でスクロール作製をするというアーツだ。


もしかするとこのアーツでストレージ内で一気にスクロールを作ることが出来るかもしれない。

聖級のスキルスクロールなので作るには⭐︎4ジョブスクロール同等の魔石とMPが必要な様だ。

具体的にはMP2000とブラッドオーガの魔石の粉だ。

MPが足りないので作るのは明日だ。



翌日、スクロールを売るために生産者ギルドに行った。

ギルドではハゲたオッサンが奥の部屋に入る様にキルに手で合図する。

キルはいつもの様に奥の部屋に入って行った。


「教会が聖騎士の⭐︎2のジョブスクロール500欲しいそうだ。作っておいてくれたかなあ。あと⭐︎3のジョブスクロール、剣士50、騎士50欲しいそうだ。作れるか?」

オッサンが注文を口にする。


キルは言われたジョブスクロールを机の上に出してオッサンに確認してもらう。


「まさか⭐︎3のジョブスクロールも在庫があるとは思わなかったぜ。助かった。」


「まだたくさん有りますよ。必要なら出しますけど。」


「いや、今日のところはこれでいい。あとは金を払わなくちゃな。」


オッサンが計算をし始める。「15億と120億で135億カーネルだな。」


そういうとオッサンが自ら金塊を運んでくる。金塊135個だ。


「金はここに置くぞ。それと次の予定なんだがな、王都で引き合いが有るだけでなく貴族の領地からも引き合いが増えているそうだ。剣士と騎士の⭐︎2のジョブスクロールで良いから500ずつ用意してくれ。あと⭐︎3のジョブスクロールは剣士、騎士、盾使い槍使い、魔術師を50ずつ作ってくれ。また7日後に頼んだぞ。」


ハゲのオッサンはいつも上から目線だなと思いながら了承するキルだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る