114 キル、武器を新調する。
生産者ギルドからゼペック工房に向かう道、ゆっくりとボチボチ歩く2人、歩くほどに家は減り古臭い家ばかりでどんどん周りは寂れていく。
「だいぶ金も出来ましたし、拠点の側に店を移しませんか?俺、店と工房をプレゼントしますよ。」
「イヤ、栄えたところは税も高くなるからのう。あまり嬉しく無いの。」
「なるほど、そういうものですか。」
ゼペック工房について古びたドアを開ける。ギギーという音を立てて開いたドアから中に入った。工房の中を掃除し始めるキル。1週間ダンジョンに行っていたので少し埃も溜まっている。
ゼペック爺さんは日向ボッコを始めキルは掃除が終わるとスクロールを作り始める。
⭐︎2の聖騎士のジョブスクロール500個、レッドオーガの魔石125個を使い3時間かけて注文の数だけ作っておく。MPも後千数百しか残っていない。
「さて、、、と。」肩を叩きながら立ち上がるキル。
時間はもう昼を過ぎて1時半というところだ。
外に出て伸びをしてゼペック爺さんに声を掛ける。
「もうチョット良い剣が欲しいなあと思うのでバッカス工房に顔を出してきます。晩飯はクランのホームで食べますので夕方にはきていて下さい。」バッカスは鍛治師でゼペック爺さんの工房まで案内してもらった縁でたびたび利用している。
ゼペックにそう言うとキルはバッカス工房に向けて歩き出した。
今までの戦いでかなり剣が痛んでいる様に感じていたしもう少し上質の武器を調達しておきたかったのだ。
剣以外の武器も使ってみたい気もしていた。盾や槍も。
ストレージに入れておけば邪魔になると言うことはないのだから余分な武器が邪魔になると言うことはないのだ。
バッカス工房に向かう途中色々なことを考える。
レッドオーガの魔石も1日で125個も使ってしまうとどれだけあっても足りない気がする。
MPを使い切るほどスクロールを作るにはもっと上位のスクロールをたくさん作った方が良いのだが、今の所売れ筋は⭐︎2のジョブスクロールだ。
それ用の魔石を調達するのが良いだろう。明日からまたダンジョンに潜る事になりそうだ。
バッカス工房に入るとバッカスは奥で仕事をしているらしく金槌を叩く音が響いている。
バッカスの奥さんが店番をしていた。
「オヤ、キルちゃんじゃないか。今日は女の子を連れてないんだね。」
「ハイ。今日は仕事を休みにしたもので。」
「へーー、休みならデートでもすれば良いじゃないか?」キルを揶揄ってくる奥さん。
「ハハハ、 そんな子いないから。冗談は美子さんですよ。そんなことよりこの剣見てください。もうボロボロなんで新しいもっと良い剣が欲しいんですけれど。」苦笑しながら話を剣のことにもっていくキル。
「おやおや、これは随分と使い込んだね〜。まだそんなに経っていないのに。アンタどれだけ狩りまくったんだい?これならだいぶ稼いだんだろうね〜。」奥さんは真剣にキルの剣を見てから向き直りニヤリと笑う。たんまりと金を持っているだろうと踏んだらしい。
「まあ、それなりに。フクラダンジョンに潜ってたんで強力な攻撃を受け止めたりしたから剣も結構傷んでしまって、、、。なのでミノタロスとかオーガを相手にできる剣を買いに来たんです。」恥ずかしそうに奥さんから目を逸らしオドオドと小声になる。
奥さんが真顔になってキルを見つめる。
「アンタ、フクラダンジョンって言ったらAランクのダンジョンじゃないか?」
奥さんは両腕を胸の前で組み難しい顔で考え込んだ。
キルとAランクダンジョンが釣り合わないのだ。
それにしてもミノタロスだのオーガだのって言えばその攻撃で剣を折られても不思議はない。
「アンタ、どえらいパーティーに入っちまったんだね。気をつけるんだよ。」
心配そうにキルを見る。キルのことをパーティーのお荷物に違いないと踏んだ様だ。
14歳のキルを見れば普通はそう思うに違いない。それは仕方のないことなのだ。
「まあうちの剣だとここいらがいい剣だね。」奥さんが一番奥の一角を指差した。
キルはそこにある剣を見て身体の合う剣を1本選んだ。
「それは200万カーネルだよ?金有るのかい?」奥さんは最高の1本を選んだキルに驚いて聞く。
キルは大金貨2枚を出して見せる。
「あと、槍と盾もほしいです。全部でいくらですか?」側にある槍と盾を選び値段を聞く。
「槍は柄まで金属だから150万カーネル、盾も100万カーネルの高級品だよ。大丈夫かい?」驚きながら奥さんが聞く。
キルは大金貨4枚と小金貨5枚で450万カーネルを渡した。
「アンタ見かけによらず凄いんだね。でも剣だけでなく槍や盾も使うのかい?」
奥さんはニコニコ顔だ。
「これからは使ってみようかな〜なんて、、、。」
「よくわからない子だね〜。」
キルは良い武器を手に入れてバッカス工房を後にした。
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