110 フクラダンジョン第3階層 2
フクラダンジョン第3階層、第2階層の階段を下るとやや通路は第2階層よりも広く天井高だった。
現れる魔獣も第2階層よりも大型の魔獣が現れるかもしれない。
ただ通路が広いとうことは9人パーティーで前衛職が多いレスキューハンズにとっては戦いやすいというものだ。
キルは前衛後衛どちらのジョブも持っているのでどうとでもなる。
ケーナ(弓使い)、クリス(魔術師)、マリカ(聖職師)、は後衛。
エリス(剣士)、ユリア(剣士)、ユミカ(拳闘士)、ルキア(盾使い)、モレノ(槍使い)、は前衛だ。
とは言え前衛職でも遠距離攻撃スキルを覚えているので近接戦闘になる前に集中攻撃で敵を倒す事が理想型ではある。
攻撃される前に倒してしまう事が最高な訳だ。
その辺はレスキューハンズの普通のパーティーとは違うところだ。
普通のパーティーの前衛は遠距離攻撃スキルを持つものは少ないのだ。
スキルスクロールならば欲しいスキルを選んで身につけられる利点があるという事だ。普通は遠距離攻撃スキルが欲しくてもなかなか生えてくれないのである。
第3階層を進んでいくと前方に索敵にかかる気配を感じる。
メンバー全員が戦闘体制に入ったの如く身構えた。
第3階層最初の接敵だ。
もうすぐ第3階層の魔物がどういうやつなのかがこの目で見られるのである。
ダンジョン内の魔物は皆好戦的で此方をみつければ攻撃してくる。
コイツもレスキューハンズに気付くとゆっくりと向かって来た。
人型の魔物が左右に狼型の魔物を従えている。鑑定してみると次の情報を見ることができた。
シザードウルフチーフとシザードウルフ
シザードウルフチーフ
身長1、8m シルバーブルーの毛皮に包まれた二足歩行の人狼
戦闘時に両手の爪を伸ばして戦う。その爪は鋭い金属製
シザードウルフ
体長1、5m シルバーブルーの毛皮に包まれた四足歩行の狼
戦闘時に両肩と背骨から鋭い鎌状の刃物を伸ばして戦う。
なるほどどうやら近接戦闘型の魔物の様だ。
「間合いに入ったら遠距離一斉攻撃だぞ!」キルが落ち着いた声で指示を出した。
黙って頷くパーティーメンバー達。
魔物はゆっくり歩きながら近づいてくる。
ウルフチーフは両腕を胸に上げクロスする。
そしてその爪がどんどん伸びていき銀色の輝く長い刃物になった。
熊手の様な4本の5〜60センチの爪はキラリと光りその切れ味を伺わせた。
両脇のシザードウルフも3本の刃物をその身から伸ばしている。
横を走り抜けられるだけでその刃物に切り刻まれるという訳だ。
魔物の足が射程圏内に入ると同時にパーティーメンバー達の一斉遠距離攻撃が始まる。
シザードウルフチーフとシザードウルフは右へ左へとその攻撃を躱しそして全速で突っ込んで来た。
素早いな!器用にかわすものだ。おっと感心している場合ではないな。
キルはシザードウルフチーフとウルフに中級魔法重力追加をかける。
3匹の魔物が重い重力によって動きが遅くなった。
そしてメンバーの遠距離攻撃が当たり出した。
メンバー達の遠距離攻撃を受けながら間近に迫るウルフ達にルキアがヘイトテイカーをかけ、奴らがルキアに方向転換する間に2匹のウルフは遠距離攻撃で煙と魔石に変わった。
ウルフチーフは両腕の爪でルキアに攻撃するもルキアは盾で防御する。
その時モレノが槍アーツ無限突きでシザードウルフチーフの脇腹を攻撃し煙と魔石へと変えた。
「重力追加をしないと攻撃が当たりませんね!」クリスが驚きの顔を隠さずに言った。
「ウム、そのとおりだ。素早いぞ。」
「これからは初撃は重力追加の魔法でそれから一斉攻撃っすね。」
全員がケーナの意見に頷く。
キルはクリスの目を見て指示を出す。
「次から初撃はクリスが重力追加を唱えてくれ、頼んだぞ。」
クリスはその指示に頷いた。
「それからルキアのヘイトテイカー、良いタイミングだったぞ。」
キルがルキアを褒めるとルキアは耳の後ろの銀髪に右手をやりながら一度その青眼で自分の足の爪先を見てから上目遣いに顔を少し上げた。その頬は照れているのか少し赤かった。
それからはシザードウルフチーフ達を近づける事もなく安全な狩りが続いた。
フロアボスのところに到達するまでに10回遭遇したがいつもシザードウルフチーフは2匹のシザードウルフを従えていた。どうやらそういうものらしい。
フロアボスは索敵で確認したところ巨大な一頭で配下を従えている様子は無かった。
まずは位置だけ確認してこの階層で実力を養う事にする。
第二階層方向に来た道を引き返しながら魔物の狩りを続けると共に脇道の探索も少し行った。
野営は第二階層で行った方が安全なのでそのつもりで引き返していると前方で他のパーティーが交戦中なのが索敵で察知できた。
しかも5人パーティーが4人に減った。苦戦しているらしい。
どうやらフロアボスがいなかったのでこの階層に入って来たに違いない。
多分力不足だったのだろう。
キルは救援に走り出した。他のパーティーメンバー達もその後を追って走り出した。
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