108 クラン結成

キルはパーティーメンバー全員を集めてクラン結成についてまたケイトから打診があった事を伝える。


「実は今、ギルドから正式にクランの結成の要請があったんだが、皆んなの意見を聞きたい。クランともならばみんなの稼ぎの中からクランの維持費の類を徴収したりしなければならないと思うんだが。」


「今だって、充分にたくさんもらってますんで全然問題ないっすよ。」とケーナ。


「私はクランの拠点でみんなで住むの賛成ですね。」「うん。うん。」とエリスとユリアがいうとユミカとマリカも賛同した。


ルキアとモレノも異存は無さそうだ。クリスがニコニコしているところを見ると彼女はそういう暮らしをしてみたい様だ。


「クランの拠点は後で探すとして、クランの登録をお願いしても良いのかな?」

「「「はい!」」」


という事でメンバーの賛同は得られた訳で有る。キルはケイトさんに手続きをお願いする。


「ケイトさん。全員の同意を得ることが出来ました。クラン結成の手続きをお願いします。」とキル。


「良かった。キルさんには新人の教育をお願いしたかったのですよ。キルさんのクランが大きくなって毎年新人を教育してくれるとありがたいんですがね。この紙にクランの名前と代表者の名前を書いて下さい。クランの拠点とかが決まりましたら後で教えて下さい。」と言ってケイトが登録用紙を渡した。


キルはそれを受け取りメンバーの元に戻る。

「クランの名前と代表者の名前を書くそうだ。拠点は決まってからで良いんだと。」


「代表者はキル先輩で決まりっすから良いとして、名前っすかね?今のままにするかこの際新しい名前にするか?」


「新しい名前をつけましょうよ。新しいクランの始まりですし。」とクリスが言う。新人6人には結成当初のメンバーを差し置いて名前を新しくなどとは言い辛いと思ったのだろう。


「そうっすね。新しい名前を考えようっす。なんかないっすか?」というケーナの言葉に考えを巡らすメンバー達。


「いざという時には良い名前って出てこないよね〜」とルキア。


「キルさんってこれからも新人を助けるんですよね?」とモレノ。


「お助け隊であるな。」とユミカ。


「救いの、、、何とか?」とエリス。


「救いの担い手?」とクリス。


「それ、名前通りっすけどイマイチっすよクリス。」とケーナ。


「レスキューハンズ?みたいな?」とマリカ。


「なんか良い感じね。」とエリス。「うん。うん。」とユリア。


「いいんじゃないか、、と思うぞ。」とユミカ。


「良いですわね。」とクリス。


「うんじゃあ、それにしようっす。キル先輩良いすよね?」とケーナが決める。


「ヨシ!クラン名はレスキューハンズで登録しちゃうよ。」とキル。


「「「「はーーーい。」」」


キルは登録用紙に名前を書いてケイトの元に届けた。

それを受け取りケイトが微笑む。


「クラン設立おめでとう御座います。クラン名は、、、『レスキューハンズ』。ありがとうございます。良い名前ですね。これからも辞めそうな人たちに救いの手を差し伸べてくださいね。」


キルは照れながら頭の後ろをポリポリとかいた。


登録を終えてメンバーの元に戻るキル。

「登録完了だ。ホームは今度探すとして、明日からまたフクラダンジョンに潜ります。今度は3層4層を目指しますよ。朝ギルド前に集合です。では、今日はこれで解散です。」


そう言うとキルはゼペック工房に帰って行った。

後に残った皆んなにケーナが言った。「自分らだけでクラン設立祝いに美味しいもの食べに行こうよ。お金は皆んなたんまり入った訳だしさあ!」

「「「賛成〜!」」」

そして女の子達はキャッキャしながら全員で夕飯を食べに行くのだった。




キルは蝋皮紙6000枚購入した後にゼペック工房に戻るとゼペック爺さんと一緒に飯を食べる。そして、今度クランを設立したこと。それに伴って拠点を構える事になるだろうこと。そしてそうなった時にキルとゼペックさんが何処に住めば良いのか相談したい事。そういった事を話す。


ゼペック爺さんはキョトンとした顔でキルを見つめた。

「ワシはどうでも良いが、、、。?」


「俺も拠点を作ったとしてそこに住むのかなあと思ったりもしますよね。工房というか此処に住んでいた方がスクロールは作りやすいですしね〜。」


「それはそうだのう。好きにしたらよかろう。ワシのこと気にせんで良いぞや。それにもうワシはおぬしに教えることもないしのう。此処を出て独り立ちしたら如何じゃ?」


「独り立ち、、、ですか。」突然のゼペックの言葉に思考が停止するキル。


一瞬の間を置いて思考が再開する。


そうか、、独り立ちか、もう教えることもない、、、か。短い間だったがゼペックさんにはお世話になり、一緒に住んで食事も一緒にしてきた。なぜか本当のおじいちゃんの様な親密感を抱いていたがそれはキルが勝手に感じているだけのことだった。


「明日からまたダンジョンに潜るので、その後拠点探しになりますから物件を見てから考えますよ。」とキルは言ってスクロールを作る事にした。


16万MP以上の魔力を使い尽くすには何時間もスクロールを作り続ける事になる。

⭐︎2のジョブスクロールを403個作る事になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る