106 特級魔法 ストレージ
侯爵家から帰ったキルは聖級スクロール職人のアーツ(紋様辞典)で作ってみたいスクロールの紋様を調べてみる。
ストレージのスキルスクロール これが使えればマジックバッグはいらない。
というよりもマジックバッグを貸し出すこともできるのだ。それはつまり二手に分かれたそれぞれの班で狩った魔物を収納できると言う事に他ならない。
特級魔法にストレージがあった。MP10000以上の者がそのMP量に応じた異空間収納スペースを利用できるというものでMP10000で荷馬車10台分ほどの異空間収納スペースを利用できるというものだ。利用できる収納スペースはその者のMP量に依存していて正比例している。つまりMP20000ならば荷馬車20台分という事だ。収納取り出しにMPはわずかな量しか消費しない。
ちなみにキルのMPは聖級になった為160000以上だ。
この特級魔法師のアーツはレッドオーガくらいの魔石の粉を使って作るらしい。早速スキルスクロール作りに挑戦だ。
紋様を思い浮かべて魔力を流す。強い光に包まれて紋様が刻まれた。
そしてそれを自分で使ってみる。ストレージと思い浮かべると異空間が開くのだった。
マジックバッグの中身をストレージに入れ替える。これで狩りの時にマジックバッグを貸し出すことができると思う。
このスキルスクロールはMP10000以上の人でないと使えないことから使えるのは特級魔術師か、特級聖職師くらいの人に限られそうだ。スクロールを作っても売れないだろうと思う。とりあえず後3つ作っておく。消費MPは⭐︎2のジョブスクロールと同等の400MPである。
よく考えるとキルはスクロール職人としてスクロールを作り売った方が冒険者として魔物を狩っているよりも今となっては稼ぎが良いようだ。それがギフトで受け取った才能なのだ。
聖級スクロール職人に進化した為にMPなどがグンと増えて今までよりたくさんのスクロールを作ることができる様になった。
実のところ⭐︎2のジョブスクロールは人気の有る商品の為、だいぶ前からそれを売っていれば金銭面では生活が成り立ち魔物を狩りにいく必要はない。
もうキルの冒険者生活は預かってた子を1人前に育てる事が目的になりつつあると言っても良いようだ。それ以外は材料調達の為という事くらいだろう。
材料の調達、、、上のレベルのスクロールを作る為にはより高レベルの魔物の魔石を必要とする。そういった魔石は市場になかなか出回らず調達することが困難な物である。
そう考えるとキルの目標は、鎧竜レベルの魔物を狩れるようになれること。討伐経験値が多量に必要になる事を理解する。レベル上げと言うことか。
MPが16万も有るとハッキリ言って低ランクのスキルスクロールや魔法スクロールを作っていたのではMPが使いきれない。⭐︎2のジョブスクロールでさえ作るために消費されるMPは400MP、400枚も作らなければ消費しきれないのだ。
⭐︎3でも1000MP、160枚作れる事になる。魔石の方が全く足りない。
それにそんなに作ってもパリスの生産者ギルドでは買い取る資金が枯渇してしまうだろう。正常な市場を維持するためにダンピングは禁止されている。在庫を抱えているしかないだろうな、、、と思うキルだった。
スクロール職人としてレベルアップするためにはスクロールを作ることだけが有効な行為なのだからスクロールを作らないと言うことは成長を止めると言うことなのだ。
やはり成長はしたい。出来ればMPを無駄にせずにできるだけ早く成長したいのだ。自分はこれ程上昇志向が強かったのかと改めて気付くキル。そしてスクロールを再び作り始めようとするとある事に気づいた。
⭐︎3のジョブスクロールを40個、⭐︎2のジョブスクロールを299個作ることができるはず。そしてそれには紙が足りない事に気付き日の暮れないうちに生産者ギルドに買い出しに行く事にする。ついでにスクロールを売るのも良い。
急いで生産者ギルドに行くとギルドのオッサンがキルを見つけて声をかけて来た。
「キル君、待ってたよ。今回は来るのが遅かったね。何かあったのかい?」
「10日ほど魔石を取るためにフクラダンジョンに潜っていたので少し遅くなりました。待ってたんですか?申し訳ありません。」キルは待たせた事を謝る。別に7日後に必ず来る約束をしたわけではないのだが。
「いや、良いんだよ。 で、今日はスクロールを作って来てくれたんだろうね。」
「はい。作りましたよ。今日は蝋皮紙が足りなくなったのでそれも買いにきました。」
「そうかい、それでは奥に入ってくれないか?」オッサンがキルを奥の部屋に誘う。
オッサンについて奥の部屋に入り商談開始。とりあえず蝋皮紙は1000枚買う事にしておく。
「今日は在庫がたくさんありますよ。何を幾つお買いになりますか?」
「幾つくらいあるんだ?」
「⭐︎2のジョブスクロールは各種100ずつは有りますよ。剣士と騎士は300有ります。」
「凄い数だな。しかし引き合いもかなり来ているからな!ここは気張って多めに仕入れよう。 剣士と騎士は300ずつ。そのほかは50ずつでどうだ。600の650だから全部で1250枚の⭐︎2ジョブスクロールで、、、、、18億7500万カーネル、、、ちょっと待て。」考え込むオッサン。
暫く考えてオッサンが結論を出した。「大丈夫だな。 18億7500万カーネル用意してくれ〜」
その声を聞いてキルは⭐︎2のジョブスクロールを取り出す。テーブルの上に金塊と金板が積まれていく。金塊は1億カーネル、金板は1000万カーネルの価値がある。
金塊18個と金板7枚そして最後に大金貨5枚が追加された。18億7500万カーネルが用意された。
「最近の売り上げを全部突っ込ませやがって。持っていけ!」
「毎度ありがとうございます。」キルはストレージの魔法を使って金を収納する。
「オイ、待て、それはなんだ?」慌てて問いただすオッサン。
「ストレージのスキルスクロールで身につけました。」と言いながら笑うキル。
「ストレージのスキルスクロールていやあ、プレミアスクロールじゃないか?2億でともオークションで時価とも言われているな。」
「そうなんですか?でもMP1万以上ないと使えないみたいですよ。」
「なんだMPって?」
「人の持つ魔力量を数値化したものですね。MP1万っていうと特級の魔術師とか聖職師とかのレベルの話になりますよ。」
「そ、そうなのか、で作れるのか?」
「作れるし今3つほど持ってます。」
「今度売ってくれ、キープだ。今はもう金がないから買えんがキープだ。頼んだぞ。」
「3つ全部ですか?」確認するキル。
「全部だ。」汗を拭きながらオッサンが答えた。
「わかりました。⭐︎3のジョブスクロールも有りますよ。」とキル。
「何! 今度もっと大金を用意しておくからな。7日後に必ず来いよ。」
「わかりました。7日後に必ず来ますね。」キルは蝋皮紙1000枚を買って帰っていった。
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