61 生産職ギルドで鑑定を
ギルドで精算を済ませて晩御飯を買って工房に戻る。
今日はジョブスクロールがちゃんとできているか生産職ギルドで鑑定してもらうため、工房にスクロールを取りに戻ったのだ。最近では在庫が多いためその日に使わなそうなスクロールを工房に置いている。
生産職ギルドに行くとこの前のオッサンがキルを見て声をかけた。
「オヤ、この前のスクロール職人君だね!今日は何か欲しい物があるのかい?」
「いえ、どちらかと言えば何か買ってもらえる物があったらと思います。ではなくて、作ったスクロールがちゃんと出来てるか鑑定してもらえるって聞いて来たのですけれど?」とキルが答える。
「ああ、いいよ。作ったものを見せてごらん。ちゃんと出来てるか観てあげるよ。」
オッサンは奥の職員にも声を掛ける。「スクロール鑑定機持って来て。」
キルがジョブスクロールを4枚取り出してオッサンに渡した。
「これなんですけれど〜。」
「フムフム、どれどれ! コレ、、、まあ鑑定が先だな。」オッサンが驚きながらスクロールを鑑定機にかけてみた。
「ウソだろ! ちゃんと出来てるじゃないか! まじか!」キルの方を二度見するオッサン。
「君何君だっけ。コレ君が作ったの?」
「はい。キルと言います。それを作ったのは俺です。」
「凄いぞ、ゼペックジジイにも作れなかった奴だ。この前売ったのとは違うもんなあ。で、コレを売りたいのか?」
「買ってもらえますか?」恐る恐る聞くキルである。
「在庫はないんだけれどもなあ〜、コレ1つ50万カーネルだよなあ。うーーーん。」
「ダメですかね〜。」
「こういう物は貴族様とかでないと買わんからなあ?」恨めしそうにキルを見るオッサン。「王都にでも行かねば売れんのだよこういうもんは。」
「王都の商業ギルドとかなら買ってくれるんですかね?」
「知らんな。悪いがコレは高級品すぎて買ってやれんな。」
「ですよね〜」ガッカリするキル。この街の商業ギルドなら買ってくれるかしらと思うキルである。
「何か買ってもらえるスクロールはありませんかね?」
「回復系のスクロールはそれなりになあ。」
「ハイヒールとかどうですか?」
「良いぞ。いくつあるんだ?」
「70有ります。」
「作ったな〜。そんなに買えんぞ。20個買ってやろう。1つ5000カーネルだから20個で10万カーネルだ。10万カーネル? うん、10万カーネルだな。うん買ってやるぞ。
コレからも頑張って作れよ。」というとオッサンは金貨を1枚取り出した。
キルはハイヒールの魔法スクロールをオッサンに渡す。
キルはハイオークの魔石をその金で5個買って金貨を返した。
「ありがとう御座います。また買ってくださいね。」愛想笑いをしてギルドを出るキルであった。
キルは商業ギルドに行って確かめてみたが買ってもらえそうにはなかった。
仕方なく工房に戻るキル。でもジョブスクロールはちゃんと出来ていたことは嬉しい。
食事の後はスクロール作りだ。
ゴブリンジェネラルの魔石も粉にして、コレでもジョブスクロールが作れるか試して見る。実験は成功して拳闘師のジョブを身に付けた。続いて斥候、騎兵、聖騎士、アサシン、召喚師、モンスターテイマー、錬金術師のジョブスクロールを作り身に付ける。ゴブリンジェネラルの魔石の粉も使い切り8つのジョブを身に付けた。MPは200必要だったので上級魔力回復薬4個を必要とした。
200人もの冒険者が集まったため珍しいジョブを持つ冒険者も居たらしく多くのジョブスクロールを作る経験をつめた。
⭐︎2の紋様も見て来たしそれ以上のA、Bランクの冒険者の持つ紋様を見られたのは素晴らしい。後で作成を試みようと思った。
強力な魔物の魔石を使えば上のクラスのジョブスクロールを作れるのではないかと思っているキルであった。
「キルさんや、ジョブスクロールをこんなにも色々作れるようになるとは凄いのう。おかげでワシも作れる気がするわい。魔石が問題だったのじゃのう。しかし作って売れないと材料費がかさむから難しいのう。魔石が高価な物を使わにゃならんとはのう。」
ゼペック爺さんの顔が悪徳商人のそれになっていた。きっと売れた時のことを想像しているに違いない。
「貴族様とかでないと買ってくれないだろうって、ギルドのオッサンが言ってたよ。」
「お貴族様か、、、、そこじゃな! ポイントはお貴族様じゃ。」
爺さんの顔がますます欲深い顔になる。何を企んでいるのだろう。多分夢で終わるに違いない。
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