30 狩り1
その晩、キルは明日のためにストーンショットのスクロールを9個作ってから寝た。
次の日もまた荷車を借りて草原に狩りに向かった。
今日はケーナとクリスのやる気が漲っている。
「キル先輩、今日は私達に狩らせてくださいね〜。」
「索敵もバッチリですわよ。」
「今日は2人に任せようかな。」
「「任せてください!っす!。」」
キルは苦笑しながら任せることにする。
草原に到着するとクリスが近場のモーモウに狙いをつけて近寄っていった。
キルは周りの魔物をよくチェックする。
モーモウを狩ってその時近くのウルフの群れの動きに気をつけなければな、、、と思いながらクリスとケーナの狩りを見守った。
ケーナがスキル強射を使ってモーモウを射る。モーモウの頭に命中してモーモウがぶっ倒れた。右手でガッポーズするケーナ。ケーナとクリスはハイタッチして喜び合う。
その時警戒していたウルフの群れがこちらに駆け出した。血の匂いを嗅ぎつけたのか?
「ウルフが右から8匹来るぞ。ケーナ弓を構えろ。俺を先頭に三角陣形を取るぞ!」
キルはそう指示するとケーナの右に移動してストーンショットのスクロールを両手に準備した。クリスは魔法の準備。
ウルフが右手からモーモウの死骸の方に走って行く。途中でキル達に気づき方向転換。ケーナが強射で1匹のウルフの頭を吹っ飛ばした。
7匹のウルフが怒って突っ込んで来る。キルはストーンショットでウルフを2匹討ち取る。続いて、クリスのファイヤーボムが炸裂してウルフが1匹吹っ飛んだ。
残りのウルフはファイヤーボムの爆発に度肝を抜かれその場で急停止。反転して逃げようとするもケーナの第2射目がもう1匹のウルフの肩を吹っ飛ばした。
キルが次のスクロールを取り出す間にウルフ達は逃げてキルの射程からどんどんと離れていった。
「ウルフは3匹にげたから注意しながら獲物を運ぼう。」キルが指揮をとる。
荷車にモーモウ1、ウルフ5を積み込んで今回は、もうギルドに運ぶことにする。今日はペースが早いかもしれない。3往復をめざそう。
ギルドの買取価格は57000カーネルだった。
12時前に草原に戻り2度目の狩りに挑む。今度はクリスがモーモウをファイヤーボムで仕留めた。続いてケーナがまたしても強射を使ってモーモウを倒すとウルフが近寄ってきている。9匹の群れだ。クリスは近くにウルフの群れがいないモーモウを狙うという考えが足りないようだ。
前回同様にケーナの強射から闘いが始まった。キルがストーンショットで2匹、クリスのファイヤーボムで1匹を吹っ飛ばした。5匹のウルフは数を頼りに寄せて来る。
ケーナが2度目の強射でウルフを1匹頭を吹っ飛ばし直ぐに後ろに逃れてウルフとの距離を取る。
キルが2度目のストーンショットで2匹のウルフを射殺した後は背中の大剣を抜いてウルフにかかっていった。
クリスのファイヤーボムが遠くの1匹に命中して爆殺し残りの1匹、キルの鎌鼬が最後のウルフを襲う。傷つきながらもウルフはキルに肉薄し、ウルフの牙をキルは身を翻して交わしながら大剣の一撃を喰らわせて最後の1匹を倒すことに成功した。
「フーーー、危なかったぜ!うちには盾使いがいないからケーナとクリスを護るのが楽じゃないかもな。2匹残ってたらやばかったぞ。」
「危なかったんっすか?キル先輩。余裕で5匹倒してましたよ。」
「クリスとケーナが外さずに2匹づつ仕留めてくれたから俺が5匹倒せたけれど、もし外してたら2対1になって危ない橋を渡らにゃならんかったぞ。」
「て事は、2対1でも何とかなるんじゃないっすか?」
「両方俺に向かって来るとは限らんからな。1匹相手してる間に2人の方に行かれたら護れんぞ。近くにウルフの群れが居たらその数とかに注意して狩場を変えた方が良いだろうな。」
「ごめんなさい、気をつけますわ。もうこういう事態は起こしません。」クリスがシュンとして言った。
「俺にも責任がある事だから気にするなよ。」
「これ全部積めるっすかね?」ケーナが話題を変えた。
「無理でも積んでギルドに運ぶぞ、、とその前に昼飯にしよう。ウルフ肉にするか?それとも何か狩るか?」
「ウルフ肉を食べれば運ぶ物が減るっすね。ウルフ食いましょう。」
「ウルフの肉も結構美味いらしいぞ。」
「食べた事無いんですの?」
「俺は無いけどな。」
「自分は有るっすよ。焼いて食べても美味しいっすよ。」
昼はウルフ肉の焼き肉を食べる事になった。
「ウルフの肉も美味しいですね。」ウルフ肉の焼き肉を頬張りながらクリスは満足そうだ。キルもバクバク食べている。
「美味いっしょう!続けて何回でも行けるっすよ。」とケーナ。
食事を終えて、膨れた腹で3人は重い荷車を押してギルドに運ぶのだった。
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