31 狩り2

ギルドに運び買取をしてもらう。モーモウ1ウルフ9、9といえども肉を食べたので骨と牙と皮だけの物もある。買取価格は83000カーネルだった。


3度目の狩りをする為に急いで草原に向かう。


「今度はどれを狙うか俺が指示するぞ。」


「「はい。」」


「クリス、索敵で俺がどういうのを狙うかチェックしといてね。」


「はい。」


素直でよろしい。


キルはウルフが近くにいないモーモウでなるべく1匹で行動しているものを狙った。そういう獲物に初めはスタスタと、近くに行ったら慎重に近づく。

そしてストーンショットでキッチリ一撃で仕留めて見せた。


次の狙いも同様だ。

獲物を見つけると今度はケーナにモーモウを狙う様に指示をした。

ケーナは強射でキッチリ仕留める。


モーモウを荷車に積み込んで次のポイントに移動する。次はクリスの番である。

キルが指示したモーモウにジリジリと近づいてファイヤーボムを喰らわした。


「次は俺がやるぞ。」キルは気配を消してモーモウに近づいて行く。

そしてストーンショット。モーモウは倒れた。これで4匹目。


「あと2匹狩っていこう。次はケーナ、その次はクリス、魔力は残ってるか?」


「さっき魔力回復薬飲んでおいたので大丈夫ですわ。」

クリスは魔力が残っている事をアピールする。


おそらくクリスの魔力量は13歳だから80弱、魔術師のギフトだと+20で100に届かないくらいに違いない。


キルは自分のステータスを参考にクリスの魔力を推定した。

とするとファイヤーボムの必要魔力は20〜25というところか?


「先にケーナ。次にクリス。あと2匹狩るからね。それじゃあ任せたよ!」

 狩りの段取りは決まった。


キルがモーモウの元に案内する。ケーナ、クリスは手堅くモーモウを仕留めたので、荷車に載せてギルドに運ぶ。


モーモウ6匹で120000カーネルになった。1日で260000カーネル、この前残った分と合わせて、1人あたり86700カーネルを分配出来る。



お金を受け取る時に、受付のケイトがお金を渡しながらキルに話しかけて来た。


「キルさん、キルさん、昨日今日と、物凄くたくさん狩ってますが何かあったんですか?」


「別に〜。だんだんとコツを掴んできたとか、、?お互いの戦力を理解し出したとか、、、荷車を借りたので運べる量が多くなったのが大きいかなあ?それに、彼女達あまり的を外さないですしね。優秀ですよ。紹介してくれてありがとうございます。」


「そうですか。それはさておき冒険者ランクを上げても良いのではという声が出てますよ。」


「え!嬉しいな。本当ですか?」キルの顔がパッと明るくなる。


「もう数日この調子が続く様ならそうなりそうですね。

ケーナさんとクリスさんもまだ日が浅いとは言えこれだけの数の獲物を1日で狩るパーティーメンバーともなれば、Fランクは卒業しても良いでしょう。

応援していますよ。頑張ってくださいね。」


「はい。頑張ります。」

キルはケイトに挨拶してケーナとクリスの所に戻っていった。


そして今日の稼ぎを分配する。


「あ、じゃあ昨日借りた10000カーネル、返しておくっす。」とケーナ。


「じゃあ、 私も50000カーネルだけ返しておきますわ。」とクリス。


キルは今ケイトさんから聞いた話を2人にする。

「後何日かこの調子で狩りができれば、冒険者ランクを上げてもらえるかもしれないそうだぜ!」


ケーナ、クリス「「ホント!」」


2人は顔を見合わせて両手でハイタッチした。2人の顔が笑い崩れる。


「こんなに早く昇格するなんて有り得ないからその時までは本気にしない方が良いぞ。でもこの調子で数日狩りを続ければ、昇格しても不思議じゃあないぜ。」


「スクロールを買って、 良かったっす。」


「私もよ。有り難う、キルさん。」


「まあ、まだ昇格が決まったわけではないから明日もこの調子で頑張ろうよ。」


「「はい!」」


明日もまたギルド前に集合だ。



その晩キルはストーンショットのスクロールを9個作って明日の狩りに備える。

今日ストーンショットのスクロールは8枚使ったので1枚増えた事になる。


お金もだいぶ溜まって来たので何か良いスクロールが欲しいところである。


「ゼペックさん。何か便利なスクロールはありませんか?」


ゼペックが顎を撫でながら考え込む。


「そーーーじゃなあ?」


暫く考えた後で、「とても高価なスクロールじゃが、鎌鼬の威力も上がるし剣士のジョブスクロールを使ってみるかい?」


「剣士のジョブスクロール?」初めて聞く単語に思わず聞き返すキル。


「とても高いがジョブスクロールを使うとジョブを身につけられる。ギフトでもらえるものと同じ才能を身につけられるんじゃ。わしに作れるのは星1のジョブスクロールだけなんじゃがな。」


「そんな凄いスクロールがある、と言うか、作れるんですか!」キルが驚いて大きな声を出す。


「50万カーネで良いぞ。」悪い顔のゼペック爺さん。


「元は100万カーネルって事ですか?」聞き返すキル。


「上級スクロール職人でやっと作れるスクロールじゃからのう。」


「借金で良いですか?」


「ええぞい。」ニヒルに笑い、ゼペック爺さんは奥にスクロールを取りにいった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る