28 狩りと荷車2
1角うさぎを捌いて焼肉にして食べる。勿論素材の角、毛皮は剥ぎ取って血抜きをしてからの調理である。
1人1羽ぶんの肉を焼いて食べるのはチョット多過ぎたらしい。
ケーナは上機嫌でムシャムシャ食べているが、クリスは浮かない顔で食も進んでいない。狩りで1角うさぎを見つける事が出来ずキルに助けられた事にプライドが傷つけられたのかそれとも自信を無くしたのか、いずれにせよさっきのキルの行動が影を落としたのは間違いないだろう。
「自分で狩った肉は5割り増しでうまいっすね。」
ビクリとするクリス。やはりさっきキルが手を出してしまったのが良くなかったのはまちがいない。キルは何とかフォローしておかねばと感じた。
「クリス、さっきは余計な手を出して悪かったな。」
「イエ、キルさんは当たり前のことをしただけですから、、、自分が獲物を見つけられなかったのが悪いので。」
「イヤ、俺は索敵をスクロールを使って身に付けたから獲物をすぐに見つけられるのさ。スキルのない人が見つけられないのはさっきの場合普通だぞ。」
「索敵!スキル、、、スクロールで身につけた、、、」クリスが呟いた。
「さっさと食べて狩りを始めようぜ。」
「キル先輩またおねがいするっす。」ケーナはキルに狩りを丸投げするつもりのようだ。
「午後も5頭のモーモウを狩って、ギルドに持って行くぞ。」
「今日も大儲けっすね。荷車最高!」ハイテンションのケーナである。
食事を終えて狩りを再開する、キルはさっさと狩りをこなして行く。
何事もなく予定通りに5頭のモーモウを狩り終わりギルドに運ぼうとする。
5頭全てキルが仕留めたものである。
上機嫌のケーナと浮かない顔のクリス、、、対照的だ。
買い取ってもらって金の分配をする、今日は20万と1角うさぎの角皮のぶん900カーネル、1人あたり66700カーネルとあまり200カーネル。
均等に分けるキルに対してクリスがそれを制した。
「そんなに受け取れませんわ!」
「あ、、、、そうっすね。ほとんどキルさん1人の活躍っすからね。」
「イヤ良いんだよ。パーティーは均等に金を分配しないと解散の元になるだろう。」
「でも流石に均等って訳にはいかないっしょ。8:2でももらいすぎって感じっすから。」
「私は今日は何も出来なかった。」とクリスは嘆く。
「だから今日はお金は受け取れませんわ。」
「オイオイ、そこは気にしないで良いんだよ。運ぶだけでも助かってるんだしな。誰が狩って誰が狩らなかったとか細かいこと言い出したらキリがないだろう。」
「でも、これからもずっとこんな調子ならキチンと活躍に見合った割合で分けるべきっす。実際自分ら荷物運びしか出来てないし10000カーネルでももらいすぎな感じっすよ。」
「困ったな。そこ気にするか?」
クリスとケーナはコクリと頷いた。
暫く考えてキルが提案をする。
「それじゃあ、スクロールを買ってくれ。俺からでもゼペックさんからでも構わないから。その原資に充(あ)てるということで、均等に分けるけれど多すぎる分はスクロール代として貯めとくことにしとけば良い。強力なスキルを使えばパーティーに貢献できる様になるじゃないか。」
キルの提案に2人は考え込んだ。
「まずはケーナ、強射のスキルスクロール80000を買って強射を身につければケーナも狩りで活躍できるだろう。クリスも何か良さそうなスキルスクロールを買えば良い。」
「索敵!索敵のスキルスクロールを買えば索敵できる様になりますわよね。」
「そうだな。なるぜ。」キルが同意する。
「じゃあそれで行ってみるっすか?」とケーナ。
「それで良いな?」
クリスも頷いた。
キルはお金を均等に分ける1人66200カーネルずつ渡すのだった。
「キルさん、索敵のスキルスクロールっておいくらですの?」
「80000カーネルだ。」
「私は一昨日のぶんが残ってるので80000カーネル有りますわよ。索敵のスキルスクロールを買いたいのですが?」
「ゼペックさんに言って明日持ってきてやろうか。それともこらから一緒に来るかい?」
「行きますわ。」
「それじゃあ自分も一緒に行くっす。出来たらキル先輩、10000カーネルほど貸してくれないっすかね。強射のスキルスクロールを買いたいっす。」
「勿論いいぜ。どうせ明日返って来るんだしな。」キルは即答する。
3人はまたゼペック工房に行くのだった。
「今日の晩飯は俺の奢りだ、買い物も付き合ってくれよ!」
「「じゃあ明日は私達が奢りますね!」」
「六角亭の肉饅頭を買いに行くぞ!」キルは上機嫌である。
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