27 狩りと荷車1

ギルド前で落ち合う3人。


「キルせんぱーい、如何っすか?」いきなりキルに質問するケーナ。


「如何って言ってもなあ? 昨日は有益だったぞ。」


「違うっすよ! ホラホラ、、、わかんないっすか?」


「わからないって、、、なにがだ?」顔色を曇らせるキル。


「キルさんって、、案外鈍いのね。」とクリス。含み笑いが気に障り顔を赤らめるキル。


「気づかないっすか?これっすよ!」ケーナがピアスを指し示す。


見ればケーナの耳には赤い魔石と金鎖のピアスがブラブラとぶら下がっていた。


「ああ、それか?どうしたんだ?」


「昨日クリスと街で見つけて買ったんっすよ。」


「もーー、キルさん、(似合うよ)くらいの言うものよ。」クリスがプンプンして言った。


「ああ、似合うよケーナ。」


「もう、遅いっすよ。先輩、別に良いっすよ、先輩にそう言うの期待してないし。らしいっちゃらしいしね。」相変わらずご機嫌のケーナで有る。だいぶ耳のピアスがお気に入りなんだろう。


「良いのが買えて良かったな。」今更ながらに取り繕うキル。


「先輩におかげっすよ。今日もバリバリ働いてくださいね!先輩。」


「お、おお。」


「それでは行きましょうか。」


「あ、その前にな、荷車を借りて来よう。格段に運びやすくなるんだ。ゼペックさんに教わった。」


「そうなんっすか。運ぶのは大変ですからね。」


荷車を借り、草原に向かう。


「荷車っていっぱい積めそうっすね〜。」


「モーモウ5頭は余裕で運べたぞ。」


「モーモウ5頭って、凄いっすね。」

大きなパーティーが使ってるのを見たのだろうと思うケーナだった。


草原に着くとキルは索敵でわかっている獲物の元にスルスルと忍び寄りストーンショットの一撃でモーモウを仕留めた。2人が荷車をチェックしている間の出来事で有る。


「エ! もう仕留めたんっすか?」驚くケーナ。


「運ぶの手伝ってくれ〜」キルが叫ぶ。2人は駆け寄り運ぶのを手伝った。


「次いくぞ〜。」荷車を移動して次の獲物の元に忍び寄る。ケーナとクリスがつきしたがった。


身を潜めながら近づくキル。モーモウを射程に捉えてスクロールを発動。モーモウは頭を撃ち抜かれて倒れ込んだ。


「運ぶぞ〜」キルの声に顔を見合わせるケーナとクリス。モーモウを荷車に積むとキルは別の方向に歩き出す。


「いるんすか?」小声で聞くケーナ。「ああ。静かに付いてこいよ。」


少し歩くとモーモウが草を喰んでいた。キルは身を屈めてゆっくり近づく。


キル達に気づいて向かって来るモーモウにストーンショットを撃ち込み、なお近づくモーモウに剣撃を飛ばす。3発の剣撃を受け倒れるモーモウ。


「余裕っすね!先輩!」「運びますわ!」モーモウに近寄る3人。


モーモウを荷車に運び荷車を次のポイントまで移動する。


「荷車はここで良い。狩りに行くぞ。」そそくさとモーモウの方に歩き出し慎重に見つからない様に近づいてゆく。そして頭部を狙撃して1発で仕留めた。


荷車に運ぶとまた別方向に歩いて行くキル。そしてまたモーモウを倒して3人で荷車に運ぶ。


「凄いですね。私達1度も攻撃してませんわ。」


「全部先輩が仕留めちゃったっすね。」


「次は3人で狩るか?まずはギルドに運んで買い取ってもらおう。」荷車を引いてギルドに戻る。そして買取をしてもらう。10万カーネルになった。


荷車を引いてまた草原に戻る。


「キル先輩今日はすごすぎっす。」


「草原に着いたら肉を焼いて食べよう。なんの肉にしたい、コッコキーか1角うさぎか?」


「見つけた魔物で良いですわ。」


「私は1角うさぎが良いかな。」


「2匹狩って食べよう。2匹で充分かな?3匹食いたいか?」


草原に着き荷車を停めるとキルがケーナとクリスに指示を出した。


「その辺に1角うさぎが居るはずだ。任せるぞ。クリス、あそこに1角うさぎが居るはずだ。任せたぞ。俺はあそこにいる1角うさぎを狩ってくる。じゃあな。」


それぞれが獲物に向かって逃げられない様に慎重に近づいて行く。


キルは獲物を射程圏に捉えると鎌鼬の3連撃を放ち隠れている草むらごと切り裂いた。


倒した1角うさぎを拾い、2人の方を見るキル。ケーナは弓矢をつがえ矢を放つ態勢に入っている。クリスはと言うとまだ獲物が見つかっていない様だ。キルはクリスの方に歩いて向かった。


クリスの横に立ち1角うさぎの方を指差す。クリスは見つける事ができない様だ。


キルは大剣を抜き剣撃を3連続でとばした。草むらごと切り飛ばして1角うさぎを拾いに行く。草むらから獲物を拾って来るキル。


ケーナが獲物を下げて戻って来るところだった。


「昼飯にしようか」キルはクリスに声をかけた。

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