22 晩御飯

ケーナとクリスはキルを引っ張って晩御飯の買い出しに行く。


パン屋で人数ぶんのかったいパンを買い、半身の焼き鳥とサニーレタスの様な生野菜を買ってゼペック爺さんの工房へ。


いつもの様に工房の前でボーっとしているゼペック爺さん。


キルはゼペック爺さんに手を振るとゼペックはキルに気がつく。


「お帰り、キル。今日は誰を連れて来たんだい?」


「俺の新しいパーティーメンバーです。弓使いのケーナと魔術師のクリスです。」


「初めまして、クリスです。」


「ケーナっす。キル先輩にはいつもお世話になってるっす。」


「おやおや、キルがいつもお世話になってすまんのう。ワシはゼペックじゃ。よろしくお願いしますぞい。」


「今日はみんなで晩御飯を食べようって訳っすよ。いつもキル先輩は1人で帰ってしまうんで、今日は付いてきてしまったっす。」


「これ、買って来ましたのよ。さあ食べましょう。」




「おやおや、これは美味しそうじゃのう。焼き鳥かい?」


「ええ。」


「ゼペックさん、実は狩りの時に野営をして戻って来れない様な時はゼペックさんの晩御飯はどうしたら良いかと思いまして、或いは護衛任務とかをやろうとすると1週間くらいもどれないこともあるとおもうんですよ。」キルは想定される事態についてゼペック爺さんに対策を求めた。


「そうじゃのう。そう言うこともあるじゃろうて。まとめてパンとか長く持つものを買いだめをしといてくれれば大丈夫じゃろう。ワシだって買い出しにゆくことくらいできるわけじゃしのう。それにこの前クリーンのスクロールが売れて金もあるしのう。」ゼペック爺さんはニヤリと笑った。


「よかったっす!これで護衛任務も受けて大丈夫っすね!」

パンを口に頬張りながら喋るケーナ。


ゼペック爺さんはケーナを見ると顎に手を当てて考え込んだ。


「そうじゃ、ケーナさんとやら、弓の威力が上がるスキルが有るのを知っておるかや?」


ビクリとして目を見開くケーナ。


「ほんとっすか?そんな良いスキルが有るんすか?」


「強射 と言うスキルなんじゃが、スキルスクロールで覚えられるぞよ。80000カーネルするけれどのう。」悪徳商人顔で笑うゼペック爺さん。


「フーーーーーーン。お金が有れば欲しいっすけど、後でにするしかないっすね。」


「ゼペックさん、ここで売り込まなくても。」キルはゼペックに抗議した。


「イヤ、知っといてもらった方が良いのじゃ。知らねば金があっても買えぬからのう。」


クリスは静かにパンと焼き鳥を食べている。我関せずというところか。


「荷物を運ぶのに便利なスキルはありませんかね?」キルは話を変える。


「ストレージの魔法が使えれば便利なのですけれど、あれは空間魔法と言ってとても高難度の魔法なんですわ。それが使えれば運送屋さんで食べていけるとか。」クリスが魔法の蘊蓄を披露する。


「ストレージのスキルスクロールは超高級品じゃ、レベルにもよるが、レベル1のストレージ魔法が使えるものでも10000000カーネルはすると言うのう。わしにも作れんしのう。」苦々しげにゼペックが言った。


「ゼペックさんにも作れないんですか?」とキル。


「ストレージのスキルスクロールが作れたら欲しがる人はたくさん居るじゃろうのう。そしたら大金持ちになれるぞい。上級スクロール職人のワシにも無理じゃ。」情けない顔になるゼペック。


「売りに出されることのない幻のスキルスクロールと言われてますわ。作れるものは皆無だとも。」とクリス。


「聞いたことあるっすよ。時々何年か10何年に一度オークションにかかる事が有るみたいっすね。ダンジョンから出た物らしいっす。」


「ダンジョンではそんなものが見つかったりするんだね。いってみたいな。」


「キルさんはスクロール職人を極めれば作れる様になるかものう。ヒヒヒ。」


「作って下さいっす。」


「それは俺も作れる様になりたいねえ。」笑うしかないキルであった。


「ところで明日はどうするっすか?狩に行くっすか?稼ぎもいいみたいだし狩りが良いっすよね。」ケーナは狩りを希望だ。


「私も狩りでいいと思うわ。」


「それじゃあ明日は草原で狩りをしよう。重い荷物を運んでもらうよ。」


「上手く狩れれば良いんっすけれどね。」


「キルさんが見つけてくれれば大丈夫よ。」クリスはキルを見る。


「索敵とか気配感知とかが使えれば良いんだけれどな。」とキルは答えた。


「スキルスクロールで覚えるかの?」


そう言ったゼペックの元にを3人が、ガバッと視線を向ける。


「有るんっすか?」


「有るぞい。索敵のスキルスクロール。80000カーネル。」何気なく言うゼペック。


「やっぱり高いっすね。」


そのケーナの言葉に「ははははは!」と大笑いをするゼペックだった。

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