第6話公認会計士の保志先生

公認会計士の保志先生は中卒である。10代で当時流行していた結核に罹り、東京清瀬の結核患者隔離所で青春を送った。何度も外科手術をしあばら骨を何本か抜いているので身体が傾いていた。


保志先生はヘテロなので、公認会計士になってからなんとか結婚して子供を2人もうけたが2人とも障害児だった。結核治療のため若い頃清瀬で強いクスリを飲まされていたのが原因だろうと後に語っていたそうだ。


保志先生が酔うと隆にこぼしていたのは、

「根岸君。キミみたいに人生まっすぐ来た人間ばかりじゃあないんだよ」


隆は自分が世の中で1番不幸な人生を送ってきた人間のように思い込んでいたフシがあったので、保志先生の話には素直に耳を傾けられた。

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