第4話隆の酔話

隆は酒を飲むとよく上機嫌で碩学的な話をしてくれた。

「フランスのシラク大統領は日本語は話せないが大の日本びいき。何度か来日した際、宴席で、当時の橋本龍太郎、村山富市と歓談したそうだ」

「シラクは「文永・弘安の役の際、つまり元寇のとき日本は「カミカゼ」に2回も救われたが、1回目と2回目の「カミカゼ」は違うらしい。どう違ったのか?」と質問した」

「そこで、橋本龍太郎が説明したんだが、それを聴いた村山富市が「アンタそんなことよく知ってるねぇ!」と感嘆した」

「周囲は「逆だろう」と思った。橋本龍太郎もすごいが、フランス人のシラク大統領が元寇についてそこまで詳しいということに、まず敬意を表さねばと」

「村山富市のトンチンカンなところだ」


「官僚答弁というのは哲学的思考を使った独特の特徴がある」

「例えば、国会で大臣が失言をしたとき。官僚が出てきて、「今の大臣の答弁で間違いはないのですが、敢えて補足して申し上げますと」と前置きして、あとは全然違うことを言ってる」


「2009年の民主党政権時代に行なわれた「事業仕分け」はじつは財務官僚が持たせた「お土産」だったんだ。確かな筋から聞いた話だ。「2位じゃダメなんですか」とか、そういう問題ではない。「事業仕分け」自体が、財務省が民主党に花を持たせるために仕組んだ茶番劇で、財務省が本当に手をつけられたら困る「本丸」には絶対に踏み込ませないようにできていた。「政治主導」などとイキがったところで所詮は民主党政権も財務省の手のひらで転がされていたに過ぎないのだ」


「財務省ってなんであんなに威張ってんの?」

「財務省、旧大蔵省というのは各省庁の予算配分を決める権限を持っている。財布を握っているヤツが一番偉いのはどこの世界でも変わらんのだ」

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