勝機の焔 前
大穴の底でリリィは根絡む
(出涸らしの
もはや本体魔刃騎甲〈グラーゲ〉が影も形も無くなっている中でいつまでも貪り続ける様におぞましさを覚える。それは人の身である感情からくる嫌悪感だろうか。魔獣の身であれば、本能に生きる野性の正しき姿であるかもしれない。
リリィは人である──このおぞましさの覚えは、戦いに投じる人という生物の野性の姿であろう。ならば──己の野性に準じ、生き残るために
張り巡らされた根はもっと大穴全体に展開しているようで、吸い上げの魔力を根絡む巨大装甲に収束させて
地上側に何らかの危機が迫るという直感が直ぐ様に地上に戻るという選択を選びたくはなるが身動きの取れぬフィジカ達を置いて行くという選択肢をリリィが取る筈もない。地を削りこちらへと迫りくる根も易々と見逃してくれそうもなく、巨大装甲に装備された
リリィ自身も逃げるつもりは──無い。
リリィは短く刻まれた時の中で根絡みの巨大装甲を打倒せんと行動を開始する。
前方へと進み
ヤツが最も欲しているのは純度の高い魔力の塊、骸にされた
蚯蚓の如き根と細長な銃口はリリィの〈ハイザートン〉へと向けられる。先ずはこちらを捕らえに動いてきたようだ。リリィの読みは当たったと言える。
『よしココだッ、ワタシを狙ってこいッ』
リリィは
リリィは
(そこだなッ)
〈ハイザートン〉の双眼が再び大きく縦に広がり赤く燃え上がると同時に刃全体に煌々とした焔が噴き上がる。
『燃え尽きろッッッ!!』
〈ハイザートン〉が全力で振り抜いた
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