大穴のアミ・メレオゥ群
『──ッッ』
アルフの叫喚あげずと短く押し殺した声が
『来るッ。全騎、
暴発衝撃の
可視化された
メレオゥ共の緑の体表は魔甲弾に連続と撃ち抜かれた反動で次々と奈落穴へと落ちてゆく。どうやらリリィ達が洞窟で襲われた黒曜石色のメレオゥほどの強度は無いようである。だが、数で圧倒とする進軍は魔甲弾の妨害をものともせず這い登り、大口を開けて先端に尖り磨いた魔結晶付きの舌を伸ばし反撃を次々と仕掛けてくる。
その鋭く伸ばす舌を即座の反応で察知したエイモンは〈ハイザートン〉の
隙だらけとなった舌攻撃を放ったアミ・メレオゥへと向かい、エイモン騎の後方から下がっていたダイスの長距離支援〈ハイザートン〉が合着とさせずな
だが、数の利はメレオゥ側がいまだ圧倒的優勢である。這い登る進軍を止めず後続組が次々と地層を勢いよく登りきり大盾へとの仕掛りその体勢を崩そうとしてくる。
『背中のカバーをッ!』
エイモンの声に魔騎装銃を失ったアルフが反応し、大盾装甲〈ハイザートン〉の背部にぶつかり飛ばすように両手支え、崩れかけた体勢を無理やりにでも押し上げる。
『上等ッ』
エイモンは整った体勢を再び圧力で潰されぬように反撃に打って出る。
『そんなに煩わしいなら
エイモンが叫ぶと同時に
瞬間──弾き広げたエイモン騎の大盾へと向かって両脚を踏み締め、
戦熱に彩られた上空を舞う〈ハイザートン〉の双眼は、下方に照らされるいまだ無数と群れるアミ・メレオゥを捉える。
リリィは
連続する
リリィの〈ハイザートン〉は連発した射撃反動をわざと殺さずと中空を舞い続け
『なんて戦い方なんですのっ』
リリィの流れるような早業とした華麗なる中空戦法の流れにウェックスと共に登りきらんとするアミ・メレオゥ群の残りの処理をおこない続けるベティが思わず惚けた声をあげた。
『け、けれど、こんなのを食らわされたらヤツらも突っ込むタマも無しに
ウェックスも目の前で繰り広げられている中空戦闘を信じられないと目で追いながら大穴の底へと戦熱の焔に焼き転げてゆくアミ・メレオゥ共もしっぽを巻いて逃げ出すに違いないと楽観的な一息を吐いた。魔獣であろうとも大地を生きる物。圧倒的な力を見せつけられれば野性本能から獲物ではなく敵わぬ敵だと察し逃走をはかるはずであると。
『ウェックス隊員、油断は禁物ですッ』
『は、はい──ッッ?!』
フィジカの言葉にウェックスが気を入れ、
──アミ・メレオゥの群れの隙間から何かが伸びてきて、ベティの〈ガルナモ〉の脚部を掴む。ベティは悲鳴ひとつあげる間も無くまるで幼子が乱雑に遊ぶ人形のように地表に叩きつけられ瞬時に大穴へと引きずり込まれて行った。
『ベティさんっ?!』
目の前で起こった惨状にウェックスが叫びを上げて追いかけようと手を伸ばそうとするが、アミ・メレオゥの進軍はそれを許さず隙のできたウェックス騎へと組み付き倒してゆく。その間にベティ騎は地表削られながら闇の底へと引き込まれてゆく。
『ひあぅあぁっ!?』
自分の気の緩みから隣りだったベティを攫われ救いきれなかった後悔と目の前で組み付されたアミ・メレオゥ共の不気味に大口を開かせ自身に向けて浴びせられる攻撃への絶望にウェックスはおし殺せぬ悲鳴を上げた。
その時、一瞬にして目の前のアミ・メレオゥ群が緑色の風刃と共に胴と首を両断とされ吹き飛ばされてゆく。
『たい──!?』
それは両手の
「フィジカッ!」
同時にリリィの〈ハイザートン〉も背面に重力低減を集束破裂させた推進軌道で急速落下し、その背を追ってゆくのだった。
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